真夜中の青年ララバイ | 忘れちゃうひととき

忘れちゃうひととき

青臭い駄目人間の、イカ臭い日常を、小便臭い文章で、つらつらつらと書き綴っていく予定です。それ以上でもそれ以下でもそれだけでもありません。


家から一歩も出なかったので、「えいやっ」とばかりに、弟とコンビニに行ってきた。

我が家から最寄りのファミマまでの間には、遊歩道がある。
その遊歩道にはベンチが点在しているのだけれども、夜も深まりに深まったこの時間帯に、ベンチに座ってたたずんでいる青年を一人見かけた。
遊歩道に散らばっている蝉の死骸を踏んづけないように、下を向いて歩いていた僕と弟は、その青年のすぐ近くへ行くまで彼に気が付かず、彼を見つけた時は動揺を隠せなかった。
青年は、街灯の明かりで本を読んでいた。この深夜にである。遊歩道のベンチで。
しかも、青年の横を通る時によく観察したところ、彼はイヤホンで音楽を聴いていた。更に、傍らにはウヰスキーの瓶である。

素晴らしい。

深夜に、遊歩道のベンチで、街灯の明かりで読書して、音楽を聴いて、ウヰスキーを飲んでいる。

素晴らしい。

青年は何を読んでいたのだろうか。個人的には、スタンダールの『赤と黒』とか、ゲーテの『若きウェルテルの悩み』とか、そういうのを読んでいてほしい。
そして、願わくば、女の子にフラレていたりしてほしい。
それならば百点満点である。

あぁ、素晴らしい。

あんな風に、自分の世界に浸りきって、恥も外面もなく、自己陶酔できるなんて。偉大である。
僕もよく自分に酔っていたなぁ。酔いすぎて、二日酔いになっていたよ。

今はもう空も白んできたけれど、青年はまだいるのだろうか。
まだいたら、ちょっと怖いな。

コンビニから戻ってきたら、マンションの駐輪場の蛍光灯横に、アブラゼミが張りついていた。
正直、いきなり鳴かれたりバタバタされたら怖いし、青年よりもびっくりした。
なんとなく激写。なぜか高画質。

寝ましょうか。


♪今の気分的一曲
ナイトクルージング / フィッシュマンズ