(顚末書の要点)

 

 山口少佐の判断

 1 ……この露営はあらかじめ期したるものなるを以て行軍の目的はたとえ田代に至らざるも概ね達成したり

 1 露営地より田代に至るは……本日帰営するは益々困難なるべし

 1 昨夜一般に給養特に睡眠不十分なり……天明を待つは凍傷を起こすの患あり

 1 払暁前熟地を出発するは日暮れ夜行するに優れり

 ……

 以上の山口少佐判断により、即時出発帰営すべき決心をなしこの旨を神成大尉に命ぜり

 

 神成大尉の命令(1月24日0130

 1 中隊は午前二時半露営地出発帰営の途に就く

 2 (以下略)

 

 行軍状況

 吹雪は激しく四面暗澹

 神成大尉及び伊藤中尉は最先頭となり、約30分前進したが方向を誤り、再び露営地に戻ろうとして転回行進を命じた。

 

 

前進経路

『遭難始末』第二図「遭難地之図」

 

 赤太線は私の修正(露営地付近まで戻ったとする伊藤元中尉の証言をもとに修正)、青点線遭難始末の24日経路

 

 真っ暗闇で視界がきかず、ごく近い距離でも見分けがつかない中、演習部隊は前進したのだった。

 その後、部隊の運命を左右する事態が起こる……

 

 そもそも、演習部隊の露営地における5時間余りの混乱は露営といえるのか?