元々 協調性のないおれには、おあつらえ向きの職業だと言える。
おれの協調性のなさと遅刻癖は、子供の頃から現在に至るまで治らない。
遅刻と言えば思い出す男が居る。
中学二年の1学期初日 その日も おれの目前で校門は閉ざされた。
「お前二年になっても遅刻か!しかも初日から」と ゴリラみたいな体育教師が怒鳴った。
朝っぱらからうるさい奴だと思いつつ校門の方へ目をやると 校門にもたれて立っている男が居た。
この男も 校門前の常連で よく見る顔だった。
おれ達は、二人並んでゴリラ教師に遅刻の理由を聞かれた。
「おれは、夜行性なんで朝は弱いって前にも言いましたっけ」と おれが言うと もう一人が「フッ」と ゴリラを小馬鹿にしたように笑った。
ゴリラは、激怒して「お前ら 舐めてんのか!」と おれに掴みかかりそうになったが そこへ国語教師が止めに入ったのでその場は収まり おれ達は、自分の教室に向かった。
いざ教室に入ろうとして おれ達は、顔を見合わせた。
二人は、同じクラスだった。
おれが「今日は妙に縁があるなぁ」と 言うと奴はまた「フッ」と クールに笑った。
これが、おれとあいつの出会いだった。
後編に続く