何が変かと言えば そいつは、非常に不潔だった。
風呂は、滅多に入らないし 顔を洗わず歯も磨かず 下着は勿論 服もなかなか着替えない。
あいつの家は、パン屋と麻雀屋営んでいて そのパン屋の看板に大きな字で「フジパン」と書いてあったので おれは、はじめの内あいつを「フジパン」と呼んでいた。
あいつは、小2の頃から6年生と間違えられる程大きかったが 驚く程 喧嘩が弱く よく苛められたりバカにされたりしては、泣かされていた。
おれは、別に正義感に溢れた少年じゃ無かったが デカい図体してピーピー泣かされている奴を見ている内に何だかイライラして つい苛められているフジパン君を助けてしまった。
それが切っ掛けで フジパン君とおれは、妙に仲良くなってしまった。
おれは、昔から変わり者と意気投合する癖があった。
クラスの女子が「あんた よくあんな奴とつき合ってるなぁ 臭いが移るで」と 言った。
「かもなぁ」と おれが笑っていると「おぉーい」と フジパン君がドタドタと走って来た。
後編に続く