リハビリテーション(前編) | 八光流 道場記

八光流 道場記

京都で約30年、師範をやっております。
つれづれなるままに書き綴ってまいります。

おれは、師範になって3ヶ月後 不運な不可抗力が重なる事故で右手を負傷した。

怪我は、右第三中手骨開放性複雑骨折と診断された。要するに右手の甲の真ん中に鉄骨が刺さった事により皮膚が裂けて骨が砕けていた。

骨の骨折部にステンレスのプレートを4本のボルトで固定する手術を受けた。
約1年程で骨は、再生すると言う事だった。
問題は、右手の機能が、完全に回復するか否かだ。

おれは、担当医に「右手は、元通りに動きますか?」と聞いた。担当医は「リハビリ次第です」と言う。「柔術と指圧って出来ますかねぇ?」と更におれが聞くと担当医は「明日からでもリハビリはOKですよ」と励ましか慰めか分からない事を言った。

怪我の状態から見て 通り一遍のリハビリで完全に右手の機能が戻ると思えない。

1週間後退院したおれは、おれ独自のリハビリテーションを始めた。

手を動かした時に起こる激痛は、柔術で鍛えたおれにとって どうって事はない。しかし闇雲に手を酷使しているだけでは、今一つおれの獣なみと言われる回復力を引き出せない。

そんなある日 神社の森の木に右手だけでぶらさがるリハビリをした帰り道 ふと立ち寄った本屋で 右手のリハビリに最適な方法をみつけた。

おれは「面白くなりそうだ」と呟いた。


後編に続く