さらば大男 (前編) | 八光流 道場記

八光流 道場記

京都で約30年、師範をやっております。
つれづれなるままに書き綴ってまいります。

散髪屋のオヤジの紹介で治療する事になったのは、100キロ以上もある大男だった。

彼は、数年前ある事故で頭を強打したのが原因で左半身不随になり知能も3歳児程度になっていた。大男は、姉と母親と共にアパートの一室で暮らしていた。

一回目の治療で指圧中 彼は、終始眠っていた。
二回目も やはり眠っていたが少し足を開閉運動させてた。
三回目行くと 大男が上半身を起こして座っていた。
「おっ 機嫌よさそうだね」とおれが言うと彼は「あぁ あぁ」と何か言っていた。

そして彼は、右手に花札を握っていた。
彼の姉が、試しに事故前好きだった花札を持たせてみたら嬉しそうにしているそうだ。

おれと大男の交流が始まった。

それからの話は、次回に続く。