駿河湾と大井川が合流する河口(汽水域)
先日の過去記事「地球温暖化狂想曲の不都合な真実」に引き続き、「地球温暖化問題に仕組まれた偽装 政府やマスコミは情報をコントロールしている」をお伝えいたします。
今日も伊勢雅臣さんのメルマガからご紹介させていただきます。
この2件の記事をお読みいただくだけでも地球温暖化問題の概要を捉えていただくことができて、この問題の真偽を知る上でとても参考になると思います。
また、これらの記事は地球温暖化問題について書かれていますが、実は伊勢雅臣さんは、これらをきっかけに国際政治や政府、マスコミなどが情報操作をして一方的に垂れ流すニュースに対し、私たちが振り回されずに適正に判断するクセづけをするように言われているように思います。
国際政治、時事、歴史、環境、自然、教育など様々な問題をクローズアップされていますので、ご興味のある方は下記の無料メルマガの申込をおすすめいたします。
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地球温暖化問題に仕組まれた「偽装」
政府やマスコミは情報をコントロールしている
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1.「首都に迫る海」
今を遡ること23年前、昭和59(1984)年の元日朝刊で、朝日新聞は「海面上昇で山間へ遷都計画」と題した記事を掲載した。
「6兆円かけて20年かかり」「脱出進み人口半減」という見出しが躍る。
「首都に迫る海。警戒水域まであと1メートルに」というコメントのついた架空の航空写真まで掲載されていた。
世界の平均気温は50年前の15度から18度に上がり、この結果として極地の氷の融解が加速度的に進むことによって海岸都市の一部が水没する。
実は、この記事は「50年後の2043年1月1日の新聞にこのような記事が載るだろう」という但し書きがついたシミュレーション記事なのだが、それが架空の物語であるという記載はどこにもない。
だから、多くの読者は現実的な予想と捉えただろう。
これが「地球温暖化問題」のはしりとなった記事だった。
2.北極の氷が溶けても海面の高さは変わらない
朝日新聞は、事実を正確に報道したり、相対立する見解の両方を公平に紹介することよりも、自らの考えで読者を説得(時には扇動)することに熱心ではないか、という印象をかねてから持っていた。
慰安婦募集で悪徳業者を取り締まろうとした陸軍省の文書を「慰安所、軍関与示す資料」と報じて、さも陸軍が「関与」したかのように見せかけた記事などが、その例である。[a]
この「首都水没」記事も、その類である。
武田邦彦・中部大学教授の最近のベストセラー『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』には、地球温暖化説のあちこちに仕組まれたウソが暴かれている。
最も単純なウソは、北極の氷が溶けても海面は上昇しないことだ。
中学生が学ぶアルキメデスの原理で簡単に説明がつく。
たとえば、いま、1トンの氷の塊が海に浮かんでいるとしよう。
アルキメデスの原理から、その1トンの重量は、氷が沈んで排除している水1トン分の浮力で支えられる。
1トン分の水の体積は1立米である。氷の比重は0.9168なので、1トンの氷は1.09立米である。
差し引き0.09立米の氷が水面上に浮かぶ。
しかし、この1トン、1.09立米の氷が溶けると、1トン、1立米の水になって、ちょうど水面下に沈んでいた体積と同じである。
だから水面の高さは変わらない。
逆に言えば、水が凍って容積が膨らんだ分だけが水面上に浮かんでいるのであり、水面の高さは、氷が溶けても、固まっても変わらないのである。
北極の氷とは、まさにこのように海面上に浮かんでいる氷であり、それがすべて溶けても海面の高さは変わらない。
tabicoffret.com
3.南極の氷は増える
一方、南極の氷は陸地の上にあるので、それが溶けたら確かに海面は上昇する。
南極の氷がすべて溶けると、単純計算では海水面は60メートルもあがるそうだ。
しかし、世界の平均気温は上昇していても、南極の気温は逆に下がっている。
1950年頃にはマイナス49.0度だったが、1984年頃にはマイナス49.5度に下がり、最近ではマイナス50度に近づきつつある。
その一方で南極周辺の海域の気温があがると、南極の氷はかえって増える。
海水面の温度上昇により、蒸発する水蒸気が増え、それが冷たい大陸の方に吹く風で運ばれて、凍って大陸側に積もる。
南極大陸の気温が下がり、周辺の海洋の気温が上がることで、南極の氷が増え、その分、わずかに海面を下げる方向に働く。
4.環境省の正反対の誤訳
国連には「気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)という研究機関が設けられている。
世界有数の科学者が参加して、地球の温暖化がどう進んでいるのか、その原因は何か、どのような影響を与えるのか、を検討している。
そのIPCCの結論は、北極の氷は当然ながら「関係ない」とし、南極の方は平均的な予測としては「南極の周りの気温が高くなると、僅かだが海水面が下がる」となっている。
ところが、IPCCの報告書を日本語に訳している環境省の環境白書は「地球が温暖化すると極地の氷が溶けて海水面が上昇する」と書いてある。
武田教授の研究室の一人の学生が、環境省の係官に電話して、なぜ逆の訳をしたのか、と聞いた所、「IPCCの報告書が長かったので、それを短い文章にしたらこうなった」と答えたそうだ。
意図的な誤訳なら、悪質な世論操作である。
5.海面上昇は100年で数十センチ
実は、IPCCは、様々な要因を検討して、温暖化によって海面が上昇するとの結論を出している。
それによると、極地の影響は上述の通り、ゼロ、またはマイナスだが、陸地より海水の方が膨張率が高いために、温暖化により水位が上がる、としている。
しかし、その程度は、最も悲観的なシナリオでも、21世紀末までの100年間で、2.4度から6.4度ほど気温が上昇し、海面が26センチから59センチ上昇するというものだ。
最も楽観的なシナリオは、温度上昇が0.3-0.9度、海面上昇が18-38センチである。[2,p13]
朝日新聞の記事のように、海面が何メートルも上昇して、首都の移転まで必要になるという状況にはほど遠い。
しかし、朝日の記事は商業的には大ヒットだった。
この年から、地球温暖化と海面上昇に関する各紙の報道が急増し、記事数は年約500件のレベルとなった。
マスコミ業界としてはそれだけ読者の不安を煽る記事で、紙面を賑わせることができた。
しかし、購読者の方も、毎日1.4件ほども、こんな記事を読まされていたら、誰でもが真実だと信じてしまうだろう。
6.現代は寒い時代
温暖化の影響として深刻なのは、海面上昇による首都水没というSF的なものよりも、地域的な豪雨による洪水・地崩れ、旱魃、異常高低温、局地的な台風増加といった異常気象の方だろう。
ただ「異常気象」というのも、あくまで人間から見たものであり、生物全体の歴史から見れば、現代はかつてない寒い時代なのである。
・3億5千万年以上前の古生代では、地球の平均気温は35度ほどで、現在よりも20度も高かった。
そのために、この時代は生物が大いに繁栄した。
・3億5千万年前から2億5千万年前には、第一氷河期を迎え、地球上の生物の95%が死に絶えたとされる。
しかし、この時期でも平均気温は22度で、現在よりも7度高い。
・2億年前から、25度に気温が上昇し、恐竜全盛の中生代となった。
・6700万年前から第2氷河期に入り、15度にまで急降下する。
恐竜を含め、多くの生物が絶滅した。
多くの生物にとっては、温暖化の「最悪」のシナリオが実現して平均気温が20度くらいまで上がった方が生存しやすくなる。
ただ、人間だけがこの異常に寒い時期に合わせた文明を築いてしまったので、「異常な温暖化」と騒いでいるわけである。
その人類にとっても、気温が上昇した方が緑地面積も広げやすく、作物も多く取れるようになるので、暮らしやすい面も出てくる。
ただ、その変化があまりにも急激だと、環境変化に急いで適応できないので、様々な被害が増える、というのが問題の本質である。
7.京都議定書の気温抑制効果は最大でも0.05度
急激な温暖化の主要因は、やはり石油石炭から排出される二酸化炭素などによる温室効果である。
そこで、各国で協力して二酸化炭素の排出量を削減しようと約束し合ったのが、京都議定書である。
先進国が「1990年に出していた二酸化炭素の量を基準として、2010年までに6%削減する」というものである。
この京都議定書を各国が守れば、地球温暖化はストップできるような認識を多くの人々は抱いているが、実際はどうなのか?
まず、地球温暖化を招いている要因には、太陽の活動や地軸の傾きなど他にもあり、温室効果ガスの影響は全体の60%程度と仮定してみよう。
温室効果ガスには、メタンなどいくつかの種類があり、二酸化炭素の寄与度は全体の60%程度である。
人類が排出している二酸化炭素の総量のうち、先進国が排出している量は全世界の約60%である。
さらに、そのうち京都議定書を批准した国は60%である。
最後に、数値目標としては1990年を基準として、その6%削減である。
とすると、京都議定書による温暖化の抑制は:0.6x0.6x0.6x0.6x0.06=0.00777と0.777%に過ぎない。
ということは、IPCCの最も悲観的な気温上昇が100年間で2.4度から6.4度だったが、その最悪値の6.4度でも6.35度へと、0.05度抑制されるだけである。
海面上昇もそれに比例して抑制されると仮定すると、最悪値の59センチが58.5センチと、5ミリ下がるだけである。
常識的な判断力を持つ人なら、これを「焼け石に水」と呼ぶだろう。
8.森林では二酸化炭素の削減策にならない
京都議定書には、もう一つ大きな「偽装」が仕組まれている。
それは「森林が二酸化炭素を吸収する」という前提から、二酸化炭素の吸収対策として森林を認めている点である。
林野庁のホームページの「こども森林館」というコーナーには、次のような説明がある。
人間1人が呼吸により排出する二酸化炭素は年間約320kgですから、・・・およそスギ23本の年間吸収量と同じになります。[3]
たしかに成長しているスギは二酸化炭素を吸収するが、それは成長している間だけである。
やがて木材として最終的には燃やされるか、あるいは枯死して微生物に分解されて二酸化炭素を排出する。
だから森林は同じ本数のまま世代交代を続けても、二酸化炭素の貯蔵庫に過ぎず、23本のスギ林が、一度、人間1人分の二酸化炭素を吸収したら、それで満杯になってしまう。
日本の現在の二酸化炭素排出量3.43億トン/年の6%をスギ林で吸収しようとしたら、毎年15億本ほどの植林をしなければならず、1本4平米として6千平方キロ、すなわち毎年国土の1.6%づつ森林面積を増やさねばならない。
日本の森林面積はすでに国土の67%を占めており、世界トップクラスの森林国である。
残りすべての33%の国土を毎年、1.6%ずつ森林にしていっても、20年しか持たない。
だから森林を維持する事は大切だが、造林は二酸化炭素吸収策としてはほとんど意味がない。
ヨーロッパの国々は、森林が二酸化炭素を吸収する対策になるという論理が破綻していることを知っていたので、京都議定書の対策方法の一つに入れるのには反対だった。
しかし、日本が強硬に対策として認めることを要求したために、政治的配慮からこれを受け入れたという。
「こども森林館」には、「この(京都)議定書では、森林が二酸化炭素の吸収源として重要であることが改めて認識されました」とPRしているが、日本の森林関係者が圧力をかけて、偽装の対策として「認識」させたのだろうか。
9.「政府やマスコミが情報をコントロールしている」
朝日新聞は、本年5月5日付社説で「温暖化防止一刻の猶予もならない」と題して、こう述べた。
先進国に温室効果ガスの排出削減義務を課した京都議定書の第1期は来年始まり、12年まで続く。
ところが最近、カナダが目標達成の断念を表明、米豪両国はすでに離脱しており、枠組みが揺らぎかけている。
日本は目標を追求し続けることで逆行の流れを阻むべきだ。[4]
朝日新聞は京都議定書を金科玉条のように絶対視しているようだが、その議定書が守られたとしても、上述のように気温をせいぜい0.05度下げる程度の効果しかない。
それよりも、この社説のように、京都議定書を「死守」することが、地球温暖化にさも効果的であるかのような「幻想」をふりまいている事の方が、マスコミ報道として問題なのではないか。
地球温暖化に対して、我々はほとんど実効を期待できる方策を持っていない、という冷厳な事実を覆い隠しているからである。
「温暖化で首都が水没する」というSF記事、環境庁の「極地の氷が溶けて海面上昇」という誤訳、林野庁の「森林が二酸化炭素を吸収する」という虚構、そして効果のほとんど期待できない「京都議定書死守」の主張、、、
ある東大の若手の先生が、武田教授に「現代の日本は民主主義ではない」と言ったそうだ。
その理由は「民主主義ならば国民が主人公である。
従って、国民が最初にすべての情報に接しなければならないが、日本では政府やマスコミが情報をコントロールしている」面が大きいからだと言う。
この情報コントロールを打破するには、我々が日頃からマスコミや政府の「定説」を批判する「異論」に注意を払っていく、ということが大事だろう。
この武田教授の著作のように。
(文責:伊勢雅臣)
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