いい感じのイタリア山岳小説を読んだ。
新潮クレストブックス
ミラノに住む10歳のピエトロは、山好きの両親に連れられ、毎年夏休みの間だけ山裾の小さな村で過ごす。
その村には同い年で放牧を手伝うブルーノがいた。仲良くなったふたりは、近郊の山小屋や沢を探検する。毎年夏ごとに探検範囲が広がっていく。
ブルーノは中卒で石積み職人になり、二人の接点はなくなるが、30代になってからまたポツポツと交流が始まる。その間に親が亡くなり、彼女ができて、子供が生まれる。
ピエトロはネパールの山々を歩き、ブルーノは地元の山で牧場を経営する。それぞれのやり方で山を愛する二人は、ときどき会っては旧交を温める。
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大事件が起こるわけでもなく、ピエトロの半生を淡々とたどるストーリーなんだけど、なぜだか読みすすめたくなる。
自然の描写がとにかく美しい。登山をする人なら共感しまくりだろう。
二人の友情にも好感が持てる。口数はかなり少ないのだけど、お互いのことを信頼し、想っているのが伝わってくる。
残念ながらハッピーエンドではないのだけど、なんというか、そのラストは腑に落ちた。