この記事は「職に転じる」 の続きです。
登場人物
Cさん:今回の相談者 開発部所属 26歳の女性
Tさん:営業部に入ってきた 役職付の43歳の男性
Kさん:営業部の32歳の女性
Nさん:Cさんの上司 39歳の女性
部長:営業部の要 55歳の男性
社長:46歳の男性
CさんはTさんと営業部の部長との出張後、Tさんと一緒のプロジェクトに大きく関わることになりました。
その際、Cさんは上司のNさんに
「メールは私にもCCで送ってね、資料も私の分までお願いできる?手間かけて悪いけど・・・」
正直Cさんは
「なんでこのことにこだわるんだろう・・・意外と小さいことを言う人だな」
とも思ったそうです。でも、Nさんの言われるままにメールも資料もお渡ししていました。
毎日TさんはCさんに
「ちょっと質問があるんだけど・・・」
「○○の資料って、持ってます?」
「○○の売上の資料がほしいので、用意してください」
というような質問がおびただしく来るようになりました。特に「売上の資料」についてはCさんもさすがに「それは・・・営業部の人に聞けばいいのに・・・」と思ったそうですが、言い返せずにいたそうです。
Cさんは営業部の女性に聞きました。
「あの、Tさんから売上の資料を出してほしいって言われたのですが・・・」
「えーCさんが聞かれてるの?なんでだろう・・・っていうか自分で過去資料見ればいいのにねぇ」
Kさんは快くCさんに資料をくれました。
あっという間に出てきた資料を見て、Cさんはため息が出たと言います。
私との面接の中でも何度か
「Nさんに相談するのがいちばんですよ」
という話になったのですが「Nさんは忙しい人なので、こんなことで相談できない。Nさんの時間がもったいない」と繰り返すばかりでした。
ある日CさんはNさんに呼ばれます。
「この資料だけれど、これ・・・Tさんから売上の数字について聞かれたの?」
「あ・・・はい、なので営業部のKさんに数字を教えてもらいました」
「それって・・・TさんとKさんの間で済む話じゃないのかなぁ」
「まぁ・・・確かにそうですが・・・」
「細かくて悪いんだけど、先週と、3日前と、今日と同じような質問がTさんからメールで来てるでしょう?」
「・・・」
「大丈夫かな、何か困ってない?」
Cさんは、やっとNさんに事情を打ち明けました。
Tさんはいつも資料資料と要求するけれど、全く読んでいる様子がないこと。
打ち合わせでもメモをとらず、相手によって意見がコロコロ変わってしまうこと。
お客様へのメールや電話の様子が、あまりにもフランク過ぎてハラハラすること・・・。
Nさんは最後までCさんの話を聞いた後にこう言いました。
「私から社長に言ってみましょう。その前に、営業部長もその様子を知ってるだろうから、話してみますね」
「すみません・・・」
「Cさんが謝ることではないですよ。でも、もっと早く一緒に話せたらあなたも安心できたわね」
「はい・・・」
「年上の人で役職ついていると言いにくいかもしれないけど、業務を円滑に執り行えない人は、この会社に必要ないからね。意識変える気があるか確認してみるしかないね・・・。」
結局・・・。
鳴り物入りだったこれまでの営業資質も、実は粉飾だったこと。
前職の退社の理由は「早期退職制度」を使ったこと。
この会社の仕事が「あわないから、会社から辞めろと言ってもらえたらいいな」と思っていたこと・・・。
そのようなことが判り、会社とTさんとで話し合った結果、試用期間終了時点で、契約終了となりました。
Cさんは
「なぜこんな人が面接に通ってしまったのか・・・会社を不安に思うこともあります」
と言っています。
でもそのあと続けて言ったのが
「でもNさんに早く伝えていれば・・・もっと早く解決できていたので、自分にも甘いところがあると思いました」
カンタンに転職できる時代です。
若い世代だけではなく、40歳以上の方の転職も珍しくはありません。
だからこそ、職を転じる時にお互いの仕事人生をムダにすることのないよう、求人する側・応募する側の思いに重みが必要なのです。