ブッちゃん 20 | ミータの愛猫物語(連載)

ミータの愛猫物語(連載)

愛するにゃんこ達との悲喜こもごもを綴ります。

 「ブッちゃん! ごめん!」

 まさか少しの留守の間に死んでしまうとは・・

もう息をしていないブチの体を何度も撫でた。

 「ブッちゃん、ごめんねー!」

ブチを看取ってやることができなかった。ずっとそばに

ついていてやるつもりだったのに・・最後についていて

やれなかった・・まさかこんなことになるとは・・

九仭の功を一簣に缺くとはこのことだ。私はいつもこうだ。

 「まさかあんたが出て行ってるとは思わなかった」

胸をえぐられるような言葉を言われた。

 「俺が帰ってきたらブッちゃんがグルグルまわってた。

手をかけたら、その場でオシッコをしてバタッと倒れた。

それから体がビクビクと何回か動いて死んだ」

 ブッちゃん何時から起きてたんだろう。夫はいつ帰って

来てたんだろう。

 「あなたが帰ってから出て行こうと思って待ってたのに、

遅かったね。どこに行ってた?」

 「ゆっくり歩いてた」

 『えっ、こんな時にゆっくりー?』

言葉にはしなかったが悔しかった。

床の上にブッちゃんのオシッコが残っていた。床の間に

フリースを敷いてブチを置いた。ちょっと前まで同じ空間で

息をしていたブチの体が硬くなっていった。

 「ブッちゃん・・」

猫の死にはある程度慣れている。今まで8匹の猫を看取った。

でもブチの死はまた格別だった。何が格別かというと、ブチと

私たちは20年も一緒に暮らしたのだ。