ブッちゃん 19 | ミータの愛猫物語(連載)

ミータの愛猫物語(連載)

愛するにゃんこ達との悲喜こもごもを綴ります。

 日没の早い季節だったので、明るいうちに帰って

きたかった。

 『もう帰ってくるだろう』

きっといれ違いぐらいに帰ってくるだろうと思って、

私はブチの様子を見もせずに、バタバタと用意をして

玄関を出た。雨上がりの霧のかかったような夕方の畑の

風景に何故か殺伐としたものを感じた。いつもは感じたこと

のなかった凄然とした空気が襲い掛かって来るようだった。

 夫が帰りを急いでいる姿が見えないかと見渡したが、

人影は見えなかった。

 『急いで行って来よう』

私は濡れた道路を急ぎ足で歩き始めた。曲がり角に来た時

変な気持ちになった。

 『帰ろうかな‥』

でも夫はもう帰ってきてる頃だろうと、そんな気持ちを振り

切って歩き始めた。何となく落ち着かない。いつもよりは

ショートカットのコースをに歩くことにした。

 急いで帰っていると家から100メートルくらいの所で着信音

が鳴った。夫からだった。

 『もしもし』

 『ブッちゃんが‥』

 『ブッちゃんが!?』

急いでリビングに行くと、ブチがフリースの近くの床に横に

なっていた。手足が伸びていた。