ブッちゃん 5 | ミータの愛猫物語(連載)

ミータの愛猫物語(連載)

愛するにゃんこ達との悲喜こもごもを綴ります。

 その家には15年間住んだ。

 狭い庭に立派な楓の木と小高いはんてん木があり、いい気を

出してくれていて私は大好きだった。意外と木登りの上手な

ブチが時々楓に登り、太い枝に座って大きなかわいい目で

私を見おろしていた。ブチも私も若かった。

 猫を飼っていると、持ち家でも団地住まいでは近所に

気遣うことも多かった。

 結局もっと田舎の人家のまばらな田舎に引っ越すことにした。

 運よく、古屋付きの土地が見つかった。今の家を売り、

古屋を解体して、新しく平屋をたてることにした。猫のことを

第一に考えての引っ越しだが、夫の好きな土いじりもできる。

 引っ越しを翌月の終わりごろにと考えていたある日。朝から

はっきりしない曇り空で、洗濯をしようかなどうしようかな、

と思いながら結局洗濯機を回し始めた。でも洗濯が終わるころ

になると朝よりも暗くなってきた感じがした。

『しょうがない。家の中に干そう』

と思っていたら、夫が出がけに

「今日は雨降らんよ」

と言った。

夫はいつもパソコンで雨雲レーダーをチェックして出ていく

ので、そうなのかな~と、その言葉を信じて外に干した。