翌年、意を決して車で10分程の所に中古住宅を購入した。
山側に峠をひとつ超えたところにあり、不便にはなったが、
持ち家となったので、晴れて猫を飼うことができた。
秋、ミータとブチにとって初めてのお引越し。色々あったが
楓の紅葉が散るデッキにいるミータとブチを見て、心が和んだ。
しかし運命は意地悪だった。しばらく経ってミータの体調が
悪いのが二人の目にも明らかになってきた。何度も動物病院に
連れて行ったが、原因がわからなかった。猫エイズだと
わかったときは、もうかなり病状が進んでいた。
ミータとブチは私達が初めて飼った猫だ。飼い始めるときは
いつかはお別れがあることなど、まったく考えなかった。
永遠に生きることなどないのに・・・
ミータが死んでブチが残った。
その家は小さい団地の中にあったので、捨て猫や野良猫を
よく見た。うちに猫がいて匂いがするせいか、捨て猫がよく
庭に入って来た。子猫は保護して、ネットで飼い主を探して
貰ってもらった。成猫は貰ってくれる人がいないことが多く、
そのまま家に残った。でも成猫で保護した子は、それまでに
野良として過酷な生活をしていたため、皆長生きはできず、
その間沢山の猫が出入りして、時にはMAXで10匹位に
なったが、ブチは誰に対しても平和的に接した。ブチに
ちょっかいをだす猫がいると、夫が
「コラーッ!平和主義のブッちゃんに何するか!」
と怒った。