DJハカセ公夫(小林公夫)のブログ
  • 02Jul
    • 日大医学部入試、なんか変だぞ?

      私のTwitterの原稿で情報を公開したように、来年度の日本大学医学部医学科の入試が大きく変わる。従来、日本大学医学部医学科は、A方式を受験する受験生が多かった。ところが来年度はこれが無くなる。日本大学全学で統一的に行われているN方式が必須となり、これが1次試験となる。試験日は1次試験 2月1日、合格発表は2月6日。2次試験 2月11日、合格発表は2月16日となる。全学統一のN方式1次試験では理科2科目、数学、外国語が課されるが、2次試験は理科が無く、数学と外国語、それに面接が課される。配点は数学60点、外国語60点、面接60点だ。面接の配点が学科と同じ点数である。かなり本格的な面接試験をしてくる可能性がある。内容はMMIだろうか。この状況から見て取れることは、現役重視ということだ。N方式の1次試験で課される理科は全学共通だから、医学部受験生に特化した内容ではない。つまり易しい内容だろう。2次試験は数学と外国語に面接だから、学習の進度が遅い現役生でも、何とか対応できる。難しい理科が課されないので、不利にはならないだろう。募集人員5名の校友子女選抜に出願した者はN全学統一方式第1期に出願できないから、漏れた受験生が、1期を受け皿として復活ということも無い。だが、2期は出願できるから、ここが校友子女受験生の隠れ蓑になるだろう。ちなみに、新たにできる日大医学部の2期試験は1次試験が3月4日、合格発表は3月12日、2次試験が3月17日、合格発表が3月23日だ。来年は、このあたりで繰り上げ合格の玉突き衝突が強烈に出てきそうだ。医学部入試、複雑すぎるな。入試情報は今後も随時報告していく。

  • 24May
    • 蛇脱走と青い鳥の共通点

      アミメニシキヘビがマンションから逃げ出して、その後、同じマンションの屋根裏から発見された事件は一つの大きな教訓を我々に示している。この話から、まず思い出されたのは、メーテルリンクの「青い鳥」だ。家から逃げ出した青い鳥をチルチルとミチルが探し回る話だ。でも、青い鳥はどこを探しても見つからない。皮肉なことに、青い鳥は家の鳥籠の中にいたのである。アミメニシキヘビと青い鳥では、人々がそれを探す目的が異なる。前者には、危険な生物を捕獲するという目的がある。だが、2週間以上も探し回り見つからなかった蛇が、青い鳥同様に同じ住居に潜んでいたという点がとても興味深い。「燈台下暗し」ということわざがあるが、一番身近なところに人は目が届かない傾向があるのかもしれない。メーテルリンクの「青い鳥」について、中学の頃、教科書で学んだ。師曰く「人は幸福(青い鳥)をどこか遠くに追い求めるが、実は自分の身近に幸福は存在するものだ」なるほど、当時は師の解説にうなずいた。そのような思想には美しさが感じられるため、人は妙に説得されてしまうのだ。

  • 04May
    • トルストイの言葉

      先日、予備校の「医学部2次試験対策」の講義で、過去の医学部小論文の出題について少々解説しました。その中で、杏林大学医学部2019年の問題「人を評価する」ということについて、800字程度で論じよ、という問題を取り上げました。私はこれを最終的に「チーム医療の」話に集約されるとして解説しましたが、受講生の中にこれは「トリアージ」の問題だと答えた人がいました。そうすると、かなりストレートに医学的問題になります。私の考えを少し述べておくと、社会生活における評価は、自己には厳しく、他者の評価は甘くということが肝要だと思います。周りにいる人の良い点を見出して評価してあげる、すると組織であれば良い方向に回転していきます。文豪トルストイは人間の真価について、これを分数のようなものだと言いました。分母には自己の評価が入り、分子には他人からの評価が入る。だから分母が大きくなればなるほど、結局その人の真価は小さくなる、というわけです。これは、つまり、分子が大きくなるように他者を見てあげれば、その人の真価が上がることにつながります。その様に人を評価してあげれば、人は生き生きとしてくるはずです。人を動かし、組織を動かすということは難しいですね。

  • 29Apr
    • 「行為の意味」について

      宮澤章二さんの「行為の意味」(ごま書房新社刊)と聞いても、ほとんどの方はご存じないでしょうね。いや記憶にないと言うほうが良いかもしれません。実は皆、どこかで耳にしている詩なのです。10年前、東日本大震災の直後、テレビCMが自粛の状況で、毎日のようにテレビで流れていた詩です。公共広告機構のCMで流れていました。 ―あなたの〈こころ〉はどんな形ですかと ひとに聞かれても答えようがない自分にも他人にも〈こころ〉は見えないけれど ほんとうに見えないのであろうか 確かに〈こころ〉はだれにも見えないけれど〈こころづかい〉は見えるのだそれは 人に対する積極的な行為だから…… 宮澤さんはこの詩の中で、心や思いは見えないけれど、それが人間の内側から積極的に現れると見ることができると、記しています。 つまり心→心づかい、思い→思いやり、という風に「形」になると、社会の中で美しく生きるというわけです。私が医師に必要な能力資質としてよく説いている「公共性」に通じる話です。詩の全体は、ごま書房新社刊「行為の意味」108頁-109頁をご覧ください。本日の「ハカセ公夫の受験ホットほっとライン」で私が朗読しています。

  • 26Apr
    • 入試に出ました→ 自分の体の組織を利用した研究

      「ある研究者が自分の体の組織を利用して研究を始めた。こんなことが許されるか。意見を述べよ」これも、今年の医学部入試で問われた問題のようです。随分、難しいことを聞くものです。一体どう答えたらいいのか、それなりの知識がないと答えようがないと思います。米村滋人教授の「ヒト組織の研究利用の現状」によれば、ヒト組織というのは一般的には、①患者や研究対象者から新たに研究目的で提供されたものであり、また②手術等の医療行為により採取されたり、他の研究のため提供を受けたりした後、大学等に保管されているものを指すようです。①と②に書かれていることを参考にすると、どうもこの問い自体が矛盾しているように思われます。つまり、検討の視座として、まず、患者や研究対象者の中に自分が入ることが前提とされていないのではないかということです。おそらく含まれることが想定されていないのではないか。米村滋人教授の先の論文には、「ヒト組織は患者や研究対象者から提供されたものであり、誰もがどのような目的でも勝手に使ってよいわけではない」との記載もあります。この記載はどうでしょうか。もし扱う対象が自分の組織であるならば、慎重に扱うという流れになるのかどうか。いや、それはならないでしょう。米村教授の論文の表現からも、他者の同意を得ずに自由自在に研究対象となりうる自己の組織は、研究者の研究の対象としてはそもそも排除されているのではないでしょうか。それでは、もし仮にヒトの中に自己が含まれるとした場合、どうなるか。平成29年2月28日に一部改正された「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」には、第2章の研究者等の責務等―1研究対象者等への配慮⑴に、「研究者等は、研究対象者の生命、健康及び人権を尊重して、研究を実施しなければならない」との記載があります。この指針に則るならば、自己の組織が研究対象となる場合は、ここに示された配慮は実行が難しくなることでしよう。競争が激しい研究の現場で、自分の健康や人権に配慮せずに研究の成果を優先する研究者が出てくるのではないかと思います。現状よく耳にする研究不正も、競争の激化の産物です。これに近似する事態が生じると思います。それこそがまさに危惧されるところです。

  • 23Apr
    • 東京の私立医学部>地方の国立医学部

      4月22日公開の幻冬舎ゴールドオンラインの連載記事では、東京の旧設私立医学部は地方の国立医学部よりも人気があるという話を書きました。もちろん、受験生が東京周辺に在住のケースです。連載記事に出てきた教え子は、横浜市立大医学部と慈恵、昭和などに合格して、横浜市立に進学しましたが、もし後期で山形大医学部を受験して合格しても慈恵に進むつもりでした。周囲の講師何人かに尋ねても慈恵がいいだろうとのことでした。同様なケースは他に結構あります。数年前に、東京医科歯科の医学部に行かずに慶応医学部に進んだ受験生がおりました。今年のケースでも、岐阜大学医学部の他、東京の旧設私立医学部4校に合格して、そのうちの私立医学部に進学したケースや、香川大学医学部、日本医科大学に合格して日本医科大学に進学したケースなどがあります。学費が安いのだから、国立がいいのにと我々は考えがちですが、費用の側面のみが決め手とはならないようです。卒後の就職先、学閥の力、先進医療を学ぶ機会など様々な要素を考慮すると、伝統的な私立医学部は魅力的なのかもしれません。

  • 21Apr
    • 動物実験の正当化について

      先日、今年の入試でお子さんが聞かれたということで、以下の質問を解説して欲しいと親御さんからお問い合わせ頂きました。「動物実験をどう思うか」なかなか答えるのは難しい問題です。又、それゆえに、他の受験生と異なる視点で強い主張をしなければなりません。答える内容で差がつきそうな問題です。ポイントはいくつかあります。まず、前提として社会における動物の地位はどうかということを考えてみるといいでしょう。こういう視点は重要です。社会が考える動物の地位は低いのではないかという切り口ですね。少し整理してみます。一口に動物と言いましても、大きく二つの類型があります。一つは所有者がいる動物、もう一つは所有者のいない動物です。後者は所有者がいない点で、そもそも「物」でもありません。前者は所有者がいますので、「物」の地位は与えられますが、生き物なのに、生命という評価は与えられません。これは我が国の、民法とか刑法の世界での話です。動物については、長くこの状態が続きました。けれど、これではあまりにひどいじゃないか、生きているのに、生命体ではないのかということで、動物愛護管理法の2条には「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ…」なる条文ができました。更に、41条には動物を科学上の利用に供する場合の方法、事後措置等なる規定もあります。医学部入試の面接の場は、法律論を語る場所ではありません。しかし、社会が動物をどのように把握しているのかを考えることは重要です。刑法上、民法上は動物は「物」ないし、「物」未満であり、動物愛護管理法では、「物」ではなく、「生命体」という位置付けであるというのが実状です。いわば、動物の評価は物から生命体へ向上したとは言えます。しかしながら、動物を生命体として尊重する動物愛護管理法でさえ、その41条で、条件付きで動物実験を正当化しているのです。いや、むしろ、それを明確化するためにこの法律ができたとさえ言えるかもしれません。重要なのはこの事実をどう考えるかです。動物実験は科学とりわけ医学の利益に供しているのは事実です。そして、そうであるならば、41条に述べられているように、3R、すなわち①代替法②使用数削減③苦痛の軽減に最大限の配慮を払い進めていくしかなさそうです。この問題をさらに深く考察していくならば、「動物の地位と権利」について今後どう改善できるかの議論に収斂しそうです。現在も様々な専門論文がありますので、動物の地位と権利は向上しそうです。それに伴い動物実験の施行にはより厳格な制限がかかることでしょう。答えの方向性はこんなところでしようか。

  • 09Apr
    • 横浜市立大学医学部医学科に進んだK君(小林公夫)

      昨日公開になりました、幻冬舎ゴールドオンラインの原稿に登場するのは、私の教え子で、横浜市立大学医学部医学科に進んだK君です。クエスト予備校で教えました。大変な読書家で内田樹さんとかも読んでいましたね。それでいて野球も得意という不思議な受験生でした。あれから6年以上になりますので、既にお医者さんになられているかもしれません。塾の方法では解けない…開成、麻布、灘の「入試算数」の解き方 | 富裕層向け資産防衛メディア | 幻冬舎ゴールドオンライン近年、医学部志願者が急増している。その要因として、医師という職業に対する安定志向の高まり、私大医学部の学費値下げ(東京女子医科大学など、現時点では数校値上がりしている大学がある)などがあげられる。これによって、従来からの医師家庭や富裕層にサラリーマン家庭が続々参戦。全国の82医学部入試が難易度が上昇している。では、どうすれば難関の医学部を突破できるのか。わが…gentosha-go.com小林公夫

  • 02Apr
    • 産科の女性医師の日常(小林公夫)

      4月1日公開の幻冬舎ゴールドオンラインの記事は、産科の女性医師の日常について書いています。ご主人も医師であるこのご家庭は、日頃、子供の学校行事にはなかなか参加できない状況でした。医師の仕事は、国民の生命の保護と健康の増進を目的としますから、仕事が優先されるのは致し方ないことです。しかし、子供さんはその状況を素直に受け取ることはできません。このご家庭の場合、子供さんは恐らく寂しい思いをされていたのでしょう。親の背中を見て医学の道に進むのではなく、他の道を選択されました。東大の文系に進まれた息子さんは今、どうされていますでしょうか。もし、省庁などにお勤めであれば、医師の仕事同様、かなり苛酷な仕事の環境におられるのではないか。公共的な仕事に自己犠牲はつきものです。どうしてもプライベートな時間が減少傾向になりがちです。参観日も不在の超多忙な医師を両親に持つ息子が選んだ大学は | 富裕層向け資産防衛メディア | 幻冬舎ゴールドオンライン近年、医学部志願者が急増している。その要因として、医師という職業に対する安定志向の高まり、私大医学部の学費値下げ(東京女子医科大学など、現時点では数校値上がりしている大学がある)などがあげられる。これによって、従来からの医師家庭や富裕層にサラリーマン家庭が続々参戦。全国の82医学部入試が難易度が上昇している。では、どうすれば難関の医学部を突破できるのか。わが…gentosha-go.com小林公夫

  • 16Mar
    • 研究者の独創性(小林公夫)

      先日、「実験医学」なる少々専門的な雑誌の論文を読みました。内容は分かりやすいもので、研究者の独創性に関するものです。その論文の中で私が気になりましたのは、研究の独創性を生み出す際に、「オンリーワン」を目指しなさいと述べている点です。著者はこうも言います。凡人が独創性を生み出すことはそんなに難しいことではなく、ナンバーワンになることを求めず、オンリーワンになることを考えることが最も近道である、と。これは、優秀な研究者が既に多く参入して、しのぎを削っている分野ではなく、未だ誰も対象としていないような分野に分け入りなさい、という趣旨の言葉だと思います。私はこの考えには半分賛成であり、半分反対である。昔、秋山仁さんにお会いした時も、同様なことを彼が言っていたのを思い出します。彼は数学の研究の過程でテーマを選択する際に、離散数学という、まだ多くの人が参入していない分野を選んだそうです。優秀な研究者が既に研究し尽くしている分野では勝ち目がないと考えたことが、その理由です。この考えは合理的かもしれません。ただ私は、最も難度の高い分野で苦労してわずかな果実を見つけだすことが研究の醍醐味ではないかと考えてしまいます。いかがでしょうか。小林公夫

  • 10Mar
    • 東京慈恵会医科大学医学部の2次試験(小林公夫)

      私のFACEBOOKで触れましたが、2021年東京慈恵会医科大学医学部医学科の2次試験の小論文はなかなか面白い問題です。BMIに関する出題です。BMIというと、一般には腹囲の話と勘違いしそうですね。でも違います。ブレイン・マシン・インターフェースの略です。具体的には、脳の機能を機械により補助する、あるいは人工的に接続する技術のことです。現在、すでに存在しています。たとえば考えただけでコンピューターを操作しロボットに命令を出すシステムなどがすでに存在します。又、米国にいるサルの脳活動で日本にいる人型ロボットを制御することも実現しています。いわばインターネットを活用した双方向通信ですね。今回の問題は医学部の入試問題なので、BMI技術の医療への応用に関して述べると、感覚機能と中枢機能についてはすでに実用化されています。具体的には人工内耳、人工網膜、人工前庭器官などです。また、脊髄損傷などで失われた運動の能力を再建して治療する運動制御型BMIなどの研究が進んでいます。革命的な技術革新の陰に、何やら危険性も感じますが、今、声高に言われているのは、BMIに関する倫理の原則です。分かりやすいものを二つ紹介しましょう。まず第1に犯罪や戦争にこれが使用されてはならないということです。第2に本人の意思に反して、この技術で心を読まれてはならないということです。第1の問題は、米国のサルと日本のヒト型ロボットの事案で容易に想像がつきます。第2の問題は犯罪の取り調べの場面で想起される問題です。現在もウソ発見器なるものが存在しますが、BMIにより犯罪者の心を読むということになると、これは日本国憲法の38条に抵触する恐れが出てきます。不利益供述の禁止ですね。又、技術が確かなものでなければ冤罪の温床にもなりかねません。なかなか難しい問題が内在しています。小林公夫

  • 08Mar
    • 気になるキーワード(小林公夫)

      今日は栃木県の学力検査(公立高校入試)ですね。RADIOBERRY「ハカセ公夫の受験ホットほっとライン」でお話ししきれない内容を前回、お話ししましたが、今回は気になるキーワードなどをさらにお話ししておきます。5点あります。① 異常気象のところで触れましたが、球磨川の氾濫について。番組では省略されていましたが、日本三大急流は確認しておきましょう。九州の地理なども私ならば問う。私はそういう有機的なつながりの問題が有益だと考えます。日本3大急流は→「球磨川、富士川、最上川」② 人物で1人、気になる方を確認しておきましょう。新1万円紙幣の顔、「渋沢栄一」です。日本経済の父と呼ばれる人ですから、私ならば問うと思います。③ コロナの問題、これもRADIOBERRYの番組ではかなり省略されていたので、気になるキーワードを1つ。「DV」です。ドメスティックバイオレンスですね。配偶者などパートナーに対する暴力のことですが、昨年1年間の被害は17年連続で最多を更新し、その数は82643件もあったそうです。気になるキーワードです。コロナによる自粛生活が影響していると考えられます。④ 栃木県の担当者は、基本的人権に大変興味があります。放送でもお話しましたが、その中でも憲法の13条と25条です。幸福追求権と生存権ですね。その観点からは、「生活保護」、「非正規雇用」などの基本的なキーワードの定義を確認するようしておいてください。⑤ 番組で詳しくお話しできなかったエネルギーの話。19年度の日本の電源構成→再生可能エネルギー18%、原子力6%、火力(化石燃料)76% これが50年度の目標では→再生可能エネルギー50から60%、水素(アンモニアを含む)10%、火力(化石燃料と原子力)30から40%です。再生可能エネルギーとは、太陽光、地熱、中小水力、風力、バイオマスです。これぐらいは知っておくといいと思います。それでは皆さん頑張って下さい。小林公夫

  • 05Mar
    • 栃木県の公立高校の学力検査(小林公夫)

      3月4日の「ハカセ公夫の受験ホットほっとライン」では今までと趣向を変えて栃木県の公立高校の学力検査の話をしています。もともとこの番組は医学部受験が最大のテーマですが、高校受験を終えて大学を目指す際に医学部を目指される方もおられるだろうから、3月4日は受験というくくりで、学力検査の話を取り上げています。で、栃木県の学力検査の問題ですが、過去2年分に目を通しました。英語や数学の話はできませんので、ピンポイントで得点のUPが狙える、社会の問題について少し触れてみたいと思います。その中でも公民の分野ですね。私が予想しているのは、時事的な観点と、この県の問題作成者が興味を抱いている分野についてです。まず時事的な観点は、1アメリカ大統領選挙、2地球温暖化対策、3中国国内問題、4異常気象、5第32回五輪の開催、6コロナウイルス、7菅内閣発足、8SDGs、9スーパーコンピューターです。→公民はかなり断片的な事柄が聞かれている。→キーワードを書かせることが多い。1→民主党のジョーバイデン、2→アメリカがトランプ政権時にパリ協定を離脱、この2月に再度バイデンで復活、3→全人代の正式名称、香港との関係で一国二制度、4→熊本県の球磨川の氾濫、線状降水帯、5→競技数や参加人数の削減であるコンパクト五輪、6→中国武漢、テレワーク、オンライン授業、IT格差、子供への虐待、DV、7→デジタル庁の創設、8→持続可能な開発目標、9→富岳ですね。問題作成者の興味→憲法の3原則(国民主権、基本的人権の尊重、平和主義)の中では基本的人権の尊重に興味がある。→さらに新しい権利に興味がある。憲法13条(条文は確認してください)→幸福追求権が重要です。13条をもとに憲法上保護される権利として、以下のものが出てくる。プライバシー権、肖像権、環境権(公害、騒音、日照など)、自己決定権あと注意すべきは「公共の福祉」というキーワードです。小林公夫

  • 04Mar
    • 東邦大学医学部医学科の2次試験(小林公夫)

      今日は、2021年出題の東邦大学医学部医学科の2次試験の問題を考えます。【問題】「宇宙エレベーターにはどのような問題点があるか。その理由とともに述べよ。またこれを解決するための具体的な研究計画は?」なかなか難しい問題ですが、これは医学部の入試問題です。工学部の入試問題ではありません。ですので、その場の現場思考で答えられる範囲でいいのです。私ならどう答えるかいくつか箇条書きに記してみます。(1)エレベーターと言っても、ビルのエレベーターとは違う。宇宙に伸びるエレベーターである。どのようなケーブルを使用するのか。強度は大丈夫なのか。(2)そのケーブルはどのぐらいの長さになるのか、どういう具合にそのケーブルを宇宙空間に張るのか。ケーブルをどう固定するのか。風や雨、雷、台風などの気象条件からどう保護するのか。空間で安定するのか。(3)宇宙エレベーターは、地球から36000キロメートルのところに静止軌道ステーシヨンを作り、その上下にケーブルを伸ばすということだが、地上の部分はともかく、宇宙側はどう固定するのか。(4)ケーブルはエレベーターの重さに耐えららえるのか。(5)地上のエレベーターでも地震時には揺れる。災害時にはどうなるのか。(6)宇宙エレベーターの建設時の安全性は担保できるのか。研究では、ケーブルの長さは全長96000キロメートルにのぼるという。そのような長さの建造物が、理論上はともかく、実際に建設できるのか(7)ケーブルはエレベーターの重力などで伸びてしまわないか。ケーブルの張力は保全されるのか。(8)静止軌道衛星が地球と宇宙をつなぐため、地球上の発出基地は赤道上に作る必要があるが、基地まで行くのに時間がかかりすぎないか。(9)ケーブルには遠心力、重力、コリオリ力などが働く。そのような外力の影響はどう計算するのか。(10)費用はどう捻出するのか。国の予算ではなく、世界の予算として考えるのか。(11)従来の宇宙工学が作り出したロケットなどの開発技術は無駄にならないか。問題点は様々ありますが、若い方には関係がありそうな話ですから、勉強してみるのも良いでしょう。とにかく壮大な話すぎて、私の手には負えません。次回また考えます。小林公夫

  • 25Feb
    • 愛知医科大学医学部の入試問題(小林公夫)

      先日収録した「ハカセ公夫の受験ホットほっとライン」で、「サザエさん」の漫画を題材とした愛知医科大学医学部の入試問題を扱いました。「サザエさん」は著作権が厳しいので、赤本にも掲載は省略されておりこの漫画については記載がありません。たぶん使用料が高くて掲載できなかったのでしょう。内容はこうです。1)カツオが週刊誌を読みながら、「この小話面白いや」とつぶやいています。2)その小話の内容はこうです。患者「右足が痛むンですが」医者「それは年のせいでス」患者「だって左足も同じ年だのに」3)カツオは笑いますが、傍らでその様子を見ていた、近所の高齢男性から、その患者の主張は理に適っており、もっともなのに、なぜおかしいのですかと詰問されるというものです。4)カツオは困り果ててしまいます。この漫画を見たうえで、問に答えます。問いは、1.この4コマ漫画のどこがおもしろいのかを200字以内で説明しなさい。2.2コマ目の患者と医師のやり取りについて、患者の主張、医者の主張のいずれかの立場になって、あなたの医学的な主張を500字以内で説明しなさい、というものです。さて、番組では、1番の参考答案を示しましたので是非聴いてみてください。番組では時間の都合上、2番に関して舌足らずになりましたので、少しここでお話しします。まず、問題には医学的主張とありますが、まだ医学部に入学していない受験生には酷ですね。いわば、論理的主張ならできるでしょう。患者の側の主張は番組でお話ししていますので、ここでは医師の側の主張を少し考えてみます。そもそもこの漫画は、医師の説明があいまいなため、患者から反論されてしまう話です。考えてみれば、右足も左足も同じ年齢を重ねています。それを「年のせいで」と医師から言われれば違うだろうということになる。ただこういう弁明は立ちますね。高齢の患者に、あまり医学的かつ科学的な話をするのが良いかということです。つまり、この医師はまず入り口としては、加齢による障害だという大きなくくりの話をしているという流れです。この流れからは、第2段階として医師から、片側性すなわち片側だけに何故障害が生じているかの話が出てくるのです。専門の医学書などによると、足がむくんで痛いなどの場合は、下肢静脈瘤やリンパ浮腫などが疑われるようです。難しい話ですね。徐々にそういう話に移行していくほうが、高齢の患者さんには良いのかもしれません。2コマ目の会話を断片的にとらえてはいけませんという話を記述するわけです。番組の放送は、3月です。ぜひ聴いてください。小林公夫

  • 24Feb
    • 私立医学部の入学金の問題(小林公夫)

      私立医学部の入試も後期試験、Ⅱ期試験を除くと最終段階に入りました。正規合格が出ていない受験生はここが踏ん張りどころですが、補欠合格であれば、私はある意味それも幸運なのかなと考えています。何故なら補欠合格なら無駄な入学金を払わなくて済むからです。6年前の教え子で、優秀な生徒がいました。国立大学医学部志望でしたので、私立医学部は本当に数校だけ受験していました。まず昭和大学医学部に特待生合格して、その後、慈恵医大を受験する予定でした。昭和大学医学部に特待生合格したとの報を受け、私は彼におめでとうと言いました。しかし彼の返事は浮かないものでした。何でも母親が入学金を払ってくれなかったというのです。「あなたの実力なら、慈恵医大に合格するだろうから」というのがその理由でした。母親の言い分は分かります。しかし、彼にしてみたら、ハラハラドキドキですよね。結果として彼は慈恵医大に合格し、更に国立大学医学部に合格したので、無駄な入学金を払わずに済みましたが、もし、昭和大学しか合格しなかったら悲劇でした。1次合格していない人から見ればうらやましい限りですが、台所事情を考えると、私立医学部に何校も合格するというのも困りものなのです。何故なら、順天堂、慈恵、日医、慶応などは入試の日程が後ろで、すべて合格してしまうと、入学金を納めなければならない数が増加するからです。難しい問題ですね。小林公夫

  • 22Feb
    • 順天堂大学医学部の2次試験での出来事(小林公夫)

      順天堂大学医学部の2次試験での出来事です。教え子がそれまで全く口を開かなかった端に座る面接官から、ポツリと「命の選別」について問われたそうです。この問題は、コロナの関連問題で、「ハカセ公夫の受験ホットほっとライン」でもお話ししています。「2名のコロナ患者が同時に搬送されてきました。1人は20代前半の若者で、もう1人は、70代で既往症のある高齢者です。この病院にはすでに入院患者が多く、人工呼吸器は残り1台しかありません。さて医師であるあなたはどうしますか」という問題です。通常は、①命の価値は同じである、②ただ、救命可能性の観点からは、20代の若者を優先するという判断もありうる、ということになろうかと思います。ここには価値の対立を調整する利益衡量論が背景にあります。また、更に大きな概念としては、「法は人に不可能を要求したりしない」という原理が存在します。さて教え子は私の指導の通りに答えましたが、その面接官から、「聞きたいことはそういうことではないんだよね」とぽつりと言われたそうです。この方は産科の教授だったのかな、と私は彼にコメントしました。恐らく新型出生前診断の話を聞きたかったのでしょう。面接が終了し、帰り際、彼は主査の先生から、「命の選別」の話はよく話せていたねと言われたそうです。不思議な感じの面接です。小林公夫

  • 19Feb
    • 日本医科大学の2月11日実施医学部2次試験の集団討論について(小林公夫)

      課題は「加齢は病か正常か」でした。なかなか面白いテーマです。まず、加齢の定義ですが、これは老化とは異なり人の誕生から人の死に至るまでのプロセスのことです。人がもし100歳で亡くなるとしたら、その人の場合、加齢は0歳から100歳までの時間経過を指すことになります。そしてこの100年間の間に、途中に老化という現象が生じてきます。所謂、老化現象というものです。ですから加齢を問題視する場合、老化現象が始まり、その人が死ぬまでの時期が重要となります。最近、東京のある医院などでは、このような状況を先取りして、アンチエージングに特化した抗加齢医学なる診療科(?)を設けている医院もあります。胎盤ホルモン注射や高濃度酸素カプセルでの酸素吸入などです。で、ここでポイントとなるのはこれらの抗加齢対策が自由診療だということです。ものすごいお金がかかる。高齢の経営者とか地主とか、余裕のあるお年寄りでないと手が出ない。そういう意味では、世田谷区や目黒区などの高級住宅街や銀座などにこの種の医院が作られれば需要はあると考えられる。ただ保険適用されず、自由診療ということを考えても、やはり加齢というもの自体を国は純粋に病と考えてはいないのでしょう。もう一つ高度な論点。侵襲度が低いがゆえにこの種の再生医療の範疇にあるものは、過誤が生じても、司法が動かないということがあります。正式な治療行為と考えていないのか。これは、クエストの医学概論講義で話している論点ですね。小林公夫

  • 17Feb
    • 日本医科大学の2次試験の集団討論(小林公夫)

      日本医科大学の2次試験(10日実施)の集団討論のテーマは、「遠隔診療」でした。教え子からの情報です。どうも、私の考えているような話にならない討論だったようですが、うまく喋れたようです。ポイントは医師法の20条ですね。医師法の20条には概略、医師は、自ら診療しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付してはならない旨が記載されています。ですので、基本、遠隔診療は医師法の規定に反しているわけです。このような状況下で、厚生労働省が平成9年に厚生労働省健康政策局局長通知を発出し、へき地や離島の患者に対して遠隔診療を行うことが直ちに医師法20条に抵触することはないとの見解を示しました。ここに存在する考え方は、利益衡量論ですね。複数の価値衝突の調整です。まあ、こういう高度な議論は出てきていない討論だったようですが、正規合格したのでよしとしましょう。小林公夫

  • 16Feb
    • 2021年聖マリアンナ医科大学の2次試験の小論文(小林公夫)

      2021年聖マリアンナ医科大学の2次試験の小論文は、「積極的安楽死と尊厳死」でした。私の授業で1時間半講義した内容ですね。よく書けたことでしょう。注意しなければならないのは、日本の尊厳死=消極的安楽死=治療の中止ということです。名称は同じだが、アメリカの尊厳死とは異なる。この点を理解していない生徒が多い。つまり前提として、アメリカの尊厳死が日本の積極的安楽死に近いものだということを理解していないといけない。両者の違いはどこにあるのかというと、日本は医師がKCLや筋弛緩剤を投与するのに対し、アメリカは薬物を医師が処方するという点である。アメリカの医師はいわば自殺ほう助の役割を果たすわけである。なお、アメリカと言いましたが、すべての州でこの尊厳死法があるわけではなく、オレゴン州とかワシントン州とか一部の州に限られます。この点もご注意ください。小林公夫