大手の広告会社で、新入社員の子が過労を苦に自殺した事件がありましたが、個人的には、残業時間の量の問題だけではないように感じています。

もちろん、100時間を超える残業が慢性化していたと言うのは相当に過酷かと思いますが、残業が100時間となるケースは、自分の周りでも少なからず聞いたことはあります。

また、残業時間が一定時間を超えると、それ以上はつけないように会社が圧力をかけると言うことは珍しくないように思います。

 

一方、この事件ではパワハラがかなりあったとも言われています。

http://biz-journal.jp/2016/10/post_16958.html

その子が死に至った原因は、こちらの方が大きいように思います。

パワハラであれば、それが体罰であろうと暴言であろうと、攻撃を加えられると言うことになるでしょうから、その恐怖は相当に強いと思います。

たとえば、偶然居合わせた場所で攻撃を受けたなら、逃げることができますし、そこに行かないようにすることもできるでしょうが、会社であれば、そのようなことはできないですから、パワハラをする者がいる限り、半永久的に、その恐怖に曝されることになります。

こうなれば、たとえ定時に終わる会社であっても、多大な負荷がかかるでしょう。

 

また、少し思っているのは、本当にそれだけの残業が必要になるくらいに、仕事があったのかと言うことです。

本来であれば、自分の仕事自体は終わっていたにも関わらず、新人ゆえにチェックが必要となっており、会社のやり方を叩き込もうとして、大勢に影響無いことまで、何度も何度も修正の無限ループをかけられ、結果として遅くまでかかってしまい、心が折れてしまったと言うことはなかったのでしょうか。

 

さらに、これをやられたら、もっと辛いであろうと感じるのは、仕事自体は余裕を持って早く終わっていたのも関わらず、周囲が忙しいのでチェックを散々後回しにされ、本来の期限ギリギリになって、全面修正に近い作業を強いられることです。

これをやられると、自分が期限に間に合うようにやっていても、結局周囲に振り回されて期限に遅れる(特に広告会社では期限に遅れると損害賠償を請求されると聞いたことがあります。)不安に直面することになり、期限との間合いをコントロールできず、心理的圧迫は相当なものになることが推測されます。

 

こういう事件が起こると、いつも残業時間のことが問題視されますが、仕事量そのものよりも、周囲に振り回されることの方が余程、心理的に負担となると思います。

そのことを改善しない限り、たとえ表面的に残業が減ったとしても、こういう事件は後を絶たないと思います。