第2章は読みごたえのあるところである。
中ごろにおいては我流を戒めている。
現代でもそうであるが、自己流の表現にこだわるあまり我流の書が横行し、本来の芸術から本流を逸してきている。
側筆で書かれた汚い線、日本ではこれが芸術だと言わんばかりに頻繁に書かれている。
中国伝統書法では基本は常に「中鋒」であることは先に述べた。(ブログ:中国書法正傳)

「書譜」では我流を次のように戒めている。
好んで偏狭な我流に溺れている人たちは、芸術の普遍性を自らふさいでしまっている。
心と手が一体となった境地というのは、基本は同じでありながら、表現方法が異なっているだけである。
それは、同じ水源から異なった水派の流れるようなもの、1本の樹から多くの枝が分かれ出るようなものである。
同じ基本から個性的作品は生まれてくる。
$オバマ13のブログ-法書ガイド


「書譜」について学習したい人は、二玄社の「中国法書ガイド」をオススメする。
第2章(余志学之年~明心者焉)
余(わたしは) 志学の年(15歳のとき) 心を翰墨(かんぼく)に留め(志を書道に抱き)・・・・・
$オバマ13のブログ-書譜


孫過庭(そんかてい)は自分の経歴を述べている。
第1章で登場した4人の書家から伝統的な書法を学び取り、一心に努力して24年を過ぎたところである。

そして、ここで書の本質に触れる。
「懸針(けんしん)」「垂露(すいろ)」・・・というのは書における点画法であり、大自然の様相から名前を付けているのが面白い。
重いところは崩れ乱れる雲のようであり、軽いところは蝉の翼みたいである。
しかし、このような表現は簡単に極めることはできない。
自然と一体になり、見識に優れ、技法にも優れていなければならないとし、心も手も自由に動くことが大切であると説いている。

今回は「書譜」の臨書作品を載せてみた。
上手に書くことはなかなか難しい。
孫過庭(そんかてい)の「書譜(しょふ)」は草書の古典として書を学ぶものにとって必須の課題とされている。
と同時に、書論の中で最も優れたものの一つとして読み継がれている。
書譜を臨書している時、我々はただ文字を書いているだけで、内容まで理解していない場合が多い。
ここでは「書譜」に書かれていることを少し紹介していきたい。

$オバマ13のブログ-書譜

全体は6章から成っている。

第1章(夫自古之善書者~無或疑焉)
最初の部分で、書の上手な人の代表として、後漢の張芝(ちょうし)、魏の鍾繇(しょうよう)、晋の王羲之(おうぎし)・王献之(おうけんし)を取り上げ、4人の書について評価している。

さらにここから一般論に入り、現代の人は古の人に及ばないと言っている。

また、どんな芸術にも共通なことであるが、伝統性を重んじながらも時代感覚から外れないことが大切であると強調する。
しかし、その意味するところは、現代に適応しながらも、現代の弊風に流されないようにということである。
それを「文」と「質」という言葉で説明する。
「文」とは文飾すなわち美しく飾ること、「質」とは質実なことの意。
「文」と「質」の程よい調和を求めている。
言い換えれば、現代性と伝統性との調和を身に付けて初めて立派な人物となっていくということか。






先日友人に内田樹氏の講演会CDをお借りした
平成22年10月23日(土) グランドホテル浜松で行われたもの
タイトルは「生き延びる力 ~成熟した社会を目指して~」
$オバマ13のブログ-内田樹

歯切れのよい話しぶりに 聞く方はどんどんと引き込まれていく
講演の途中に内田氏の携帯電話が鳴るアクシデントがあって 会場が盛り上がった

成熟した社会にするためにはやはり成熟した「大人」の存在が必要不可欠であるということだ
7%ていどの「大人」がいれば十分なり得る
7%とは40人の集団に対して3人程度のこと
しかし「大人」になるきっかけは人によって様々であるので 意図的には難しい


現代の教育についても深い考えを解いていた
学力低下の原因
AO入試のこと
シラバスの是非
などなど

最後に会場からの質問に答えることで 内田氏の考えをさらに深く聴くことができた


友人はこのCDと一緒に1冊の本を貸してくれた
「先生はえらい」(内田樹) 筑摩書房 760円
$オバマ13のブログ-先生はえらい

ここでは「教習所」と「F1ドライバー」の2人の先生を具体例として教育について考えている
教習所の先生は「君は他の人と同程度に達した」ということをもって評価する
プロのドライバーは「君は他の人とどう違うか」ということをもってしか評価しない
ここに違いがあることを指摘する

さらに
資格を取るとか免状を手に入れるとか そういうことは「学び」の目的ではない
そしてそれを目的とする限り 「先生」に出会うことはできない
と言っている

「学び」について改めて考えさせられた
第6回は南インドの魔術師  ~シュリニヴァーサ・ラマヌジャン~

貧しかったが正統派バラモンに属していたため 母親はバラモンとしての教育を彼に施している
例えば幼少の彼に「マハーバーラタ」や「ラーマーヤナ」などの叙事詩を聞かせることに積極的だった
彼女は何千ページからなるこれら書物のかなりの部分を暗誦していたらしい
そんな教育を受けたラマヌジャンはバラモンの戒律を忠実に守っていた
死の直前ですら 肉を食べず菜食主義に徹したほどだった

ラマヌジャンは天才的に多くの定理を次から次へと発見した
それを大学教授ハーディが論文で証明を与えていった
ハーディがいなかったらラマヌジャンの存在は世間が認めていなかったに違いない

ラマヌジャンについてもっと知りたい人には
「無限の天才 ~天逝の数学者・ラマヌジャン~」 工作舎 5500円+税
をお勧めする
$オバマ13のブログ-ラマヌジャン

32歳 結核で死ぬまでのことが細かく書かれている
数式はほとんどなく物語形式になっていて読みやすい
2001年8月 NHK教育テレビで放映された「人間講座」のテキストである
先日 友人からこのテキストと映像をお借りした
$オバマ13のブログ-数学者列伝

藤原正彦氏が8回にわたって講師を務めている
天才数学者の業績をわかりやすく説明するだけでなく 生身の人間であった彼らの影の部分を紹介している
藤原氏の独特のユーモアで織りなすこの番組はとてもおもしろい
またテキストだけを読んでも十分わかりやすい

第1回は神の声を求めた人  ~アイザック・ニュートン~
44歳で「プリンキピア」を書いて燃え尽きるまでの生い立ちから業績までが紹介されている
母の再婚など恵まれなかった幼少期を送ったニュートン このころ心に深い傷を負ったと想像される

$オバマ13のブログ-解析入門


「プリンキピア」について専門的に学習したい人は
「解析入門 Part1」(シュプリンガー・フェアラーク東京) A.J.ハーン 2400円+税
をお勧めする
第6章 ニュートンの微積分法
第7章 プリンキピア
数式をあまり使うことなく 読み物としてわかりやすく紹介している
この長編小説 最初の部分が分かっていると読みやすいかな
少しだけお手伝い

ではラスコーリニコフが犯行に至るまでの道のりを振り返ってみたい
最初の部分に犯行の動機が細かく描写されている

犯行の動機① マルメラードフとの出会い
マルメラードフは「行きどころがない」とラスコーリニコフにこぼした
娘ソーニャは買春でお金を手にしている
どん底の貧困に行きどころがない状態だった
ラスコーリニコフも同じく行きどころがない状態だった

犯行の動機② 母親からの手紙
妹ドゥーニャがルージンと結婚を決意した近況について書かれていた
その中でルージンの本質を見抜く
そして母と妹はお金のために結婚を決意したことを悟った
これも行きどころがない状況だったと推測する

犯行の動機③ 安料理屋で耳にはさんだ会話
このとき「非凡人」と「通常人」の運命の差異を意識した
ラスコーリニコフ 自分は「非凡人」に属すると思った
「宿命」「啓示」という単語を耳にする
自分は選ばれた存在という意識が働いた



そして犯行を決意し下見に行く
高利貸しの老婆宅を訪問
距離は730歩と正確に記憶する
古い銀時計を質草に渡す
お金を受け取るまでの時間 部屋の様子を観察する

ついに老婆殺害に至る
死刑執行への道と感じていた
そしてリザヴェータも殺害

ここまで理解できればあとは流れるように読むことができると思う
秋の夜長を利用して読書を楽しんでね
ドストエフスキー「罪と罰」

$オバマ13のブログ-罪と罰

ロシア文学の最高峰として名高いこの小説
最初から殺人のシーン

主人公のラスコーリニコフが金貸しの老婆アリョーナを殺害
さらにそこに偶然入ってきた娘リザヴェータも殺害
そこからこの小説は始まる

普通の探偵小説は犯人を追い求めていく
そこにある謎解き スリルとサスペンスを楽しむ
それとは反対に「罪と罰」はあらかじめ犯人とその犯行が示されている
謎解きではない
犯人の心理 犯罪の動機 そしてその結果を書いた犯罪レポートである



主な登場人物を書き出してみる

主人公はラスコーリニコフ(愛称ロージャ)
ペテルブルグの貧しい大学中退生

ラスコーリニコフの母プリヘーリヤと妹のドゥーニャ

マルメラードフ(退職官吏)
その妻カチェリーナと娘ソーニャ

ラズミーヒン
ラスコーリニコフの大学の友人

ゾシーモフ
ラズミーヒンの友人で医師

ルージン
ドゥーニャに求婚する弁護士

レベジャートニコフ
ルージンの友人

スヴィドリガイロフ
ドゥーニャを追い回す地主

アリョーナ
金貸しの老婆
その娘リザヴェータ

ポルフィーリー
予審判事

ザメートフ
警察署の書記

ミコライ
ペンキ塗りの職人


ラスコーリニコフの名はラスコール(分裂)から来ているらしい
二重人格的存在
最初の部分(犯行に至るまで)に犯行の動機がいくつか事細かに描写されている

犯行後は読み進めるごとに 人間性というものの中に奥深く潜む意外性にハッとさせられる
おもしろい
今年の3月のこと
退職される方に色紙を書いてほしいと頼まれた
その方は多趣味で バイオリンを弾いたり 絵を描いたりする
色彩に対する感受性が強い

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「華」
退職しても華やかに着飾り華やかに人生を歩んでください
メッセージを添える
「華」を華やかに書く









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「融」
学問と芸術の融合 芸術と日常生活の融合 学問と日常生活の融合・・・
を目指してこれからも切磋琢磨してください
メッセージを添えた
本来の墨で書く




お礼にバイオリンを頂いた
ありがとうございます

「観自在菩薩・・・」
最もみんなに慕われているお経は何と言っても般若心経
262文字の短いお経
これなら1回書くにもそんなに時間はかからない

「色即是空 空即是色」
内容は空(くう)の思想
つまり あらゆる存在・現象には実体というものはないという思想である

内容は難しい
初心者はまず書くことから始めてみよう

売られている写経用紙はB4判程度の大きさ
文字は小さい
初心者はなかなか書けない
そこで少し大きめの紙に書いてみることをオススメする
オレは全紙に書いてみた

$オバマ13のブログ-般若心経

書体は行書
柔らかい書風で書きやすい
お手本は「王羲之 集字聖教序」
この最後に般若心経が付いている
全紙10行でちょうど収まる長さ
写真を参考に挑戦してみてはどうですか