儚月の詩  -917ページ目

オルゴール

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祖母からもらった古いオルゴール
流れていたのはショパンのノクターン


鍵を失くした古いオルゴール
君からの手紙や写真が詰まった
開かずのオルゴール


もう1度聴きたい
あのノクターン


思い出がまわりまわり
消えてはまた甦る


忘れてみよう

君を忘れる努力をしてみよう


それでも
もう1度聴きたい
あのノクターン


会いたい気持ちが
めぐりめぐりまわる


だけど失くした鍵は今も
オルゴールの箱の中


だけど失くした鍵は今も
オルゴールの箱の中

こぼれた酒

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こぼれた酒を指先で
君の名前を書いている


二人でさがした古いアパート
散らかった本
煙草の煙


一年前と変ってないよ
変ったのは君がいないだけ


就職が決まったと喜ぶ君
その時俺は
何も決まってなかった


怒鳴ったり泣いたりはしなかったけど
どこかで
君を傷付けたのだろう


最後の電話は
車の騒音と涙で聞き取れなかった


こぼれた酒を指先で
君の名前を書いてみる彼


二人でそろえた安物の指輪
薬の袋
彼の書いた手紙


一年前と変ってないよ
変ったのは君がいないだけ


元気になったら
二人で旅行しようなんて約束
はたせなくて
すまないと


元気になって
ずっと一緒に暮らそうなんて約束
はたせなくて
すまない


こぼれたお酒を指先で
君の名前を書いてみる

電話

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こんな真夜中だけど
君に電話していいかい


この小さな箱の向こうに君はいる


俺と君とは心は繋がっていると
信じているけれど
距離だけはどうしようもない


俺は俺なりに頑張っているつもりでも
誰もわかってくれない気がする


疲れ果てて戻る部屋は
暗い


ベランダに出て月を見てみる
君にも
この月は見えるかい


俺は俺なりに君を好きだけれど
距離だけはどうしようもない


君も俺も
会う時が限られるのが
無性につらい


ベランダに出て月を見てみる
君は
この月を見て何を思う


こんな真夜中だけど
君に電話していいかい


この小さな箱の向こうに君はいる

君の声が聞きたい

初恋

にほんブログ村 ポエムブログへ 僕の初恋は
とてもとても遅かった

僕は口下手で
人付き合いも下手で
不器用だった

そんな僕に
君は笑いかけてくれた
隣に座ってくれた

思い切って食事に誘った
君は来てくれた

映画も遊園地も
二人で行くようになった
僕は幸せだった

お互い忙しくなって
会えなくなってしまった

会えないことで
すれ違ってしまった

会えなくなって
随分たつけれど

風がまだ冷たい
駅のホームでひとり
君を思う

仕事が上手くいかない
苦いコーヒーを飲んで
君を思う

もしも許されるなら
もう一度好きになったらだめだろうか

もしも許されるなら
もう一度好きだと言ったらだめだろうか

もしも許されるなら
もう一度会いたいと思ったらだめだろうか

青い傘

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今日は雨

君を泣かせてしまったのは

別れが雨の日だったから


僕を持って

今度雨の日に出かけよう

僕は君の青い傘


彼ののついた嘘も

彼の我侭も

雨が流してくれるかもしれない


僕は昔

寂しかった

君に出逢うまで

君が僕を手にとってくれるまでは

仲間がどんどん売れていくのに

僕は君の青い傘

今度

雨の日に出かけよう


君の昔のすべてを

雨が流してくれるように