昨日こんな話を聞きました。
とても考えさせられることでした。
それは、日ごろからお世話になっているご住職様のお話でした。
境内にお墓があるお檀家様なのにいつの間にか他界されており、葬儀も他にご依頼されあろうことか他の場所に新たにお墓を建ててそこに埋葬されていたというものでした。
他界されたお檀家様のご子息様は、毎年全く知らないお寺から『年間管理料』の振込依頼書が届くことから、「どうして関係ないうちに送ってくるのですか」とお寺に問い合わせた結果、今回の経緯が分かったそうです。
お墓は将来ご自分の為に生前お建てになった寿陵(寿陵)であるため、納めたご遺骨は無く、だからご家族でお墓参りに来る機会もなかったのだと思います。
さらにお檀家様になる際には、入檀式を経て、墓所の区画をお申込みになる際には、緊急連絡先や跡継ぎの方の情報を書いていただくのですが、そのこともご子息様にお伝えになっていなかったのでしょう。
もちろんご本人はご先祖のお墓として毎年何度もお参りに来られ、卒塔婆(お塔婆)も建てられていました。
将来ご子息様にご迷惑をかけないようにとのご配慮でお建てになったお墓だったのに、全く逆の結果になってしまいそうなのです。
結局そのお墓は墓じまいすることになり、その費用をご子息様にご負担していただくことで担当の石材店さんと話が進んだそうです。
実はこういうことは他にもありますし、私共や他のお寺様でも現在進行しているその事実に気づいていないという事もあると思います。
我々石材店やお寺様はどう対処したらよいのか。
まず、お客様の方でご家族とお墓参りに行く機会を設けていただきたいという事です。
一度でも行けばお墓があることは認識できますから。
最近は『お墓参りなど行ったことが無い』という若い人が増えています。
うちは代々石屋をやっているので、一般の方とは違いそういうことは無いのですが、世間的にはそうだと聞きます。
そして石屋としてできることは、お墓が完成した際には緊急連絡先や跡継ぎの方にもご連絡をしておくことが必要かと。
お墓の場所(区画)を決める段階で、跡継ぎの方がご一緒にご一緒に来られる場合もありますが、そうでない場合も多々御座います。
別の霊園ですが以前冒頭の件とほぼ同じ状況で、一度も使っていないお墓をすべて撤去(墓じまい)したケースが御座います。
あるいは、区画のお申し込みをしたものの、それから20年ぐらい経過した際に跡継ぎの方の反対にあってしまい返還されたということもございました。
20年経過すると跡継ぎの方の生活環境も変わるわけで、全く別の地域に引っ越されていたらお参りに行くのも不便になってしまいます。
永代使用料も返ってこない場合が殆どですし、撤去処分料がかかります。
或いはお寺の檀家を抜けるには、離檀料をお支払いする必要が御座います。
色々な問題と言うか義務がその時あらたに生じるのです。
まぁ、跡継ぎの方のお引っ越し等に関しては、石屋はもちろんお申し込みになられたお客様ご自身でもどうにもならないケースですが、お申し込みの前に跡継ぎの方とじっくりお話しいただくのは必要だと考えます。
少なくともご自分のお墓をお求めになられる方の年齢ならばある程度お子様が成長されている段階であると思われますので、お話合いによってある程度今後の見通しが立てられるものと思います。
最後に、
過去にお施主様(お申込み名義人様)のご家族様から
「勝手に進めるな!」
とおしかりを受けたことが御座いましたが、
弊社の商品は、
『お墓』
ですから、これまで一度たりとも
『良いものですから是非どうぞ』
などどおすすめしたことは御座いません。
出来れば避けて通りたいご自身やご家族の死。
その時必要なものがお墓であり、
死と直結するものを軽々しくも強引におすすめするようなことなど少なくとも私共にはできません。
ご家族やご親族の間でのお話あいについては、私共が介入するものではございません。
お話合いの結果、お墓が必要となったならばお声がけいただければ結構です。
それ以外の何物でもございません。
お墓をお求めになる際には、ご家族様でお話合いになられ、できればご家族様で霊園やお寺様にいらしていただき、お申し込みいただくのがよろしいかと思います。
それが出来なくても、お墓が完成した際には皆様でお越しくださいませ。
他社様のご意見は異なるかもしれませんが、私共はそう思い、そのように願います。
都立八柱霊園 中参道
藤乃家石材店