大女優、そんな肩書きだけでは語りつくせない名優樹木希林さんがお亡くなりになられました。

面識はないのですが、子供の頃からテレビなどで拝見しておりましたので、とても残念です。

樹木希林さんと言えば、まだ悠木千帆という芸名だった頃に出演されたテレビドラマ、寺内貫太郎一家の印象が強いです。

街中にある小売の石屋が舞台で、寺内貫太郎一家はまさに当社と同じ墓石店だったのです。

当時は自宅兼作業場で石をカンカン加工していると、お客さんがやってきて墓石を注文してくれるという販売スタイルだったのです。

現在の石屋の販売方法は当時とは大きく異なり、店主が一人で自ら石を加工しているような店はなく、どの石材店も営業マンを雇い、さらに彼らは店で待つことはなく、各地の霊園や寺院に出向いて販売をしている状況です。

お客様に、営業マンは各地の霊園に行ってるので、急に店にお越しになっても居ません。
遠方にいる場合もあるので、誤用の際はいらっしゃる前に必ずご連絡をお願いしますと説明しても、店にいらっしゃるお客様は、結構な確率で突然ご来店される方が多いです。

それもあの寺内貫太郎のイメージが強く、いつ行っても店にいると勘違いされていらっしゃるのではないかと以前から思っていました。

店にいるとお客様の方から仕事をご依頼に来てくださる。

待ちの商売と言われていましたが、今やそのような殿様商売などでやっていけるはずもなく、いや
当時からもドラマそのままの経営では実際には会社が存続することはできないでしょうから、あれは作り話の中だけだったのです。

5人や10人雇っている営業マンが、みんな店で待機していたら、まったく仕事にならないとわかっていただけるでしょうか。

うちはそんなに人がいるわけではなく、経営者自ら営業に出ています。

さて、樹木希林さんはいい意味で浮世離れしているというか、我々より神や仏に近い人なのではないかと思っていました。

癌に侵されても、
延命治療しません。
身体中あちこちにあるのよ。
と、まるで他人のことのように答えられたり。

あるいは、人生最後の晩餐は何を召し上がりたいですか?という問いには、

どうせ死ぬとわかってるのだから何も食べません。
生きるために食べるのだから、明日死ぬのなら食べなくて良いでしょう。

と、答えられました。

もはや神の領域に足を踏み入れたのではないかと思うような発言には驚きました。

普通の人が強く願う欲というものにまったく執着せず、凄い人、強い人だなぁと感心、感動しました。

そういう生き方、信念があってこそ素晴らしい演技ができるのですね。

心よりお悔やみを申し上げ、ご冥福をお祈りします。