『哀愁』~悲恋ものと言えばこの作品 | 話題満載 池ちゃんの『破常識』で行こう!

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『哀愁』(モノクロ作品)
監督:マービン・ルロイ。『心の旅路』を撮る2年前、1940年の作品です。
主演の二人「ロバート・テイラー」「ヴィヴィアン・リー」は、後にこの作品を「自分が出た映画で一番好きな作品」と言ったそうです。
とにかく一級品。音楽も秀逸です。悲恋ものとしては私が一番好きな映画なのであります。


 

ワルツシーン「別れのワルツ」

https://www.youtube.com/watch?v=eGZLP1C6drs


<あらすじ>
青年将校ロイはバレーダンサーのマイラを見初めてプロポーズ。早速式を挙げようと全財産を使ってウェディングドレスを買うのですが、急遽ロイは戦地に駆り出されます。
一目会おうと抜け出したマイラはクビになってしまい、ロイの母に会いに行くのですが待ち合わせた喫茶店で偶然「戦死者名簿」に彼の名前を見つけ、ショックで倒れてしまいます。マイラが気付けの酒を飲まされ朦朧とする中、事情を知らない彼の母は「酔って婚約者の母に会うのか」と誤解して帰ってしまうのでした。
その後、仕事も金も失い軍人相手の娼婦に身を落としたマイラは、その日も駅で客を引いていました。ところが、死んだはずのロイに再会。彼は自分を待っていたものと勘違いし、マイラを実家へ連れて行って結婚の準備を進めます。
しかし、マイラは自分がロイにふさわしい女ではない、このままではロイが破滅すると葛藤します。そしてロイに告白出来ぬまま家を飛び出し、思い出の場所で発作的に車の前へ飛び込んでしまうのでした。



   ☆   ☆   ☆

とにかく主演の二人が美しいです。テイラーのスマートさとヴィヴィアンの可憐さが、この悲劇をさらに美しく哀しいものにしています。
また、何と印象的なセリフでしょう。ひとつひとつの言葉が、ヴィヴィアンの一種神かがっているとも言える程の演技によって、命を吹き込まれています。
これもモノクロですが、ビビアンの表情が焼き付いて離れません。もしあなたが「風と共に・・・」の「ヴィヴィアン・リー」が好きではないと言うのであれば、是非この映画を観てください。きっとこの映画でファンになられることでしょう。実は、私も『哀愁』のビビアンの方が好きなのです。

ところで、この映画には出てくる人は善人が多い(バレエ団の人は別ですが)です。
彼もその母親も然り、寛容で隔たりが無くて慈悲にも溢れています。でも、その中に飛び込む側からすると、そう単純には行きません。
いくら事情があったにせよ名門の家柄に傷が付くことは避けられず、それは全て自分のせいです。いくら優しくされても理解されても「負い目」から一生逃れることは出来ません。
別の人生を行きようと、逃げても逃げても彼は必ず追って来るでしょう。そして、全てを棄ててでも結婚すると言い張るでしょう。
死を覚悟するほど愛する人からそう言われて、あなたは拒否できるでしょうか? 私なら出来ません。相手を信じてついて行ってしまうに違いない、だって愛しているのですから。
「相手に我慢を強いる」のはつらいことです。私は、彼女の最期の行動と心理が痛いほど分かりますね。