ぼくのそばで | 黄昏に語りて 〜天野滋さんの詩にのせて〜

黄昏に語りて 〜天野滋さんの詩にのせて〜

 
天野滋さんのどこまでも優しく温かい詩をこよなく愛する
人生の秋を迎えた一人の男のつぶやきです。

 新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。年始めの曲を何にしようか色々と迷いましたが、やはり新年早々から悲しくせつない曲というのは避けたいと思いましたので、温かく幸せな曲を選ばせていただきました。「THE WIND'S SONG」に収められた、とても優しいこの一曲を。

 

   人混みの中流されて 君を見失った そして振り返ると君が 僕を見つめて

   人混みの中苦手だと 背中を叩く人 いつまでも少女のように 弱い人さ

 

 天野さんの詩の傾向としては悲恋もの、そして特にその中における「弱い男」を描いた曲が多い印象を受けますが、逆に進行形の恋愛を綴った曲においてはとても女性に頼りにされ、それを緩やかに受け止める優しく男らしい男性の姿が目立つように思います。きっと天野さんの中での理想の男性像、あるいは恋愛像というものがこのような曲に表れているように思うのです。 

 

   ぼくのそばで 何を思うの ぼくのそばで 何を微笑んでいるの

 

 私は以前にも、天野さんが愛する人に求める一番のものは笑顔ではないかと書いたことがあります。実際そのような描写をされている曲が本当に多いのですね。女性の美しさは表情に伴ってくるものだと、私は思います。笑顔の女性は美しく輝いて見えます。逆にどんなに顔立ちが良く絶世の美女と謳われる女性であっても、その表情に笑顔がなければその美しさは色褪せてしまうように思うのです。笑顔には人を幸せにする力があります。子どもにとってはお母さんの笑顔以上に幸せを感じさせるもの、頑張ろうと思わせるものはありません。お母さんがお子さんにしてあげられる最高のことは「笑顔を見せてあげること」であること、私はこれを必ずお母さんに伝えるようにしています。心からそうしてあげて欲しいと、願うからです。

 

   ほくとともに 雲に住もうか ぼくとともに 街でも眺めてみよう 

   ぼくのそばで 何を思うの ぼくのそばで 何を微笑んでいるの

 

 この曲は、天野さんの多くの曲のように「君」に笑顔を求めているという詩ではなく、まさに目の前にいる「君」が今、微笑んでいます。もしかするとNSPの曲の中でも、天野さんが持てるイメージの中で「最高の幸せ」を表現した曲なのではないかとさえ、私には思えます。

 

 今頃きっと天野さんは、雲の上から幸せそうに微笑み、街でも眺めているに違いありません。