今日は神使(しんし)について書きますが、神使とは神の使者(使い)もしくは神の眷族(けんぞく)で、神意を代行して現世と接触する者と考えられる特定の動物のことです。

 

神の使いともいい、時には神そのものと考えられることもあり、その対象になった動物は哺乳類から、鳥類・爬虫類、想像上の生物まで幅広いものです。くわしくは【神使】―神の使わしめ―をhttp://www.genbu.net/tisiki/sinsi.htmご覧ください!。

 

代表的な例として、京都・伏見稲荷大社の狐、滋賀・日吉大社の猿、京都・護王神社の猪、奈良・春日大社や茨城・鹿島神宮の鹿、奈良・大神(おおみわ)神社の蛇、和歌山・熊野三山の八咫烏、島根・出雲大社の鶺鴒(せきれい)などが有名ですよね。

 

私が宮司を兼務する金沢市久安1丁目鎮座の延喜式内・御馬神社には、境内に末社稲荷社があるのですが…。

 

はじかみ神主のぶろぐ

 

お稲荷様の総本社である、京都の伏見稲荷大社の神階(しんかい)は正一位なので、勧請(かんじょう)を受けた全国の稲荷さんも正一位を名乗っています。

 

はじかみ神主のぶろぐ 

はじかみ神主のぶろぐ 

 

お稲荷さんなので、当然、石狛犬ならぬおキツネさんの狛狐が配されています。

 

はじかみ神主のぶろぐ 
稲荷社向かって右側の狐さんは「宝玉」(ほうぎょく)

をくわえております

 

はじかみ神主のぶろぐ 
一方、稲荷社向かって左側の
狐は、「巻物」を

くわえてわえていますね


 稲稲荷社内にも金狐・銀狐の眷属が配されています。

 

はじかみ神主のぶろぐ 
殿社内の右には「金狐」(きんこ)が宝玉

(ほうぎょく)をくわえています

御内陣(ごないじん)には、御神体として

「伏見稲荷大社の神札」と、白狐に乗られ

た「荼枳尼天神像」(だきにてんしんぞう)

が祀(まつ)られています


はじかみ神主のぶろぐ 
そして左には銀狐(ぎんこ)が鑰(かぎ)を

くわえていますね

宝玉は 稲霊をあらわし、鑰は 稲を刈る鎌

それが、玉はウカ ノミタマの魂で、鑰は米蔵

の鍵へと変わっていったそうです
仏教系の神である荼枳尼天(だきにてん)

は、金狐・銀狐という眷属(けんぞく)を

従えているので、このように金・銀の狐を

配しているのです

 

なお、「稲荷神社と狐」については、神社オンラインネットワーク連盟の掲示板を参考にさせていただきます。

 

古来から日本では、山や森、樹木に神さまが宿るとされ、御神木(ごしんぼく)としてお祀(まつ)りされている例があります。

 

これと同様に、動物にも神さまとの関わりを認めてきました。 動物に対する信仰は、やがて特定の動物を特定の神さまの、その神意を伝える使い(使者)とする信仰へと展開していきました。

 

これらの動物の代表ともいえるのが、お稲荷さんの狐です。 稲荷神社の御祭神(ごさいじん)は宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)(倉稲魂神)で、「宇迦」とは食(うけ)の意味であり、食糧をつかさどり、稲の成育を守る神さまです。


狐が稲荷神社の使いとされた理由としては、御祭神の別名である御饌津神(みけつかみ)のその文字に、狐(ケツネ=キツネの古語)を使い三狐神(みけつかみ)と記したことによるといわれていますが、これについては諸説があります。

 

いずれにしても狐という動物は、私たちの先祖が、その生活の中で接することの多かった親しい動物でもあり、おのずと稲荷神社の「使い」としての信仰が定まったのでしょう。 狐=お稲荷さんということではありません。 


はじかみ神主のぶろぐ 
「荼枳尼天像」(だきにてんぞう)

 

そして、やはり宮司を兼務する金沢市横川1丁目鎮座の横川日吉神社の社殿内にも神使があります。


はじかみ神主のぶろぐ

 

拝殿の左右には、日吉の神の使いである神猿(まさる)様が配されているのです。

 

ケヤキの台座に乗った、可愛い神猿さんですよね!。


はじかみ神主のぶろぐ 

はじかみ神主のぶろぐ 

 

また、学問の神様で知られる兼六園に隣接する金澤神社には、夢牛(旧帝展作家・都賀田勇馬氏作奉納)と呼ばれる像があり、なでると夢を叶えてくれるともいわれています。​

 

このように、菅原道真公を祀る全国の天神様(天満宮・菅原神社・天神社)には、境内に寝牛や撫で牛と呼ばれる牛の像があります。牛は天満宮では神使(祭神の使者)とされているからですが、その理由は次のように言われています。

牛が神使となった理由
1、道真の生まれた年が丑年
2、道真が亡くなったのが丑の月の丑の日
3、道真は牛に乗り大宰府へ下った
4、牛が刺客から道真を守った
5、道真の墓(太宰府天満宮)の場所を牛が決めた

との説です。

 

 

そこで、主な神使(眷属)と神社、その由来については、以下の通り説明しますね。

 

■伊勢の神宮  天の岩戸での長鳴鳥(ながなきどり)の故事から。

 

画像は、内宮の斎館(さいかん)近くで撮影した伊勢神宮の神使である神鶏。

はじかみ神主のぶろぐ

 

■出雲大社 鶺鴒(せきれい) 海蛇 記紀によると古くより鶺鴒は夫婦円満の御神鳥として崇められてきた。

 

また、海蛇は神無月(かんなづき・出雲では神在月)になると、全国の八百万の神々がお集まりになる時、大国主大神の使いである、ウミヘビの背に乗ってやってくるから。

 

出雲大社紫野教会のHPより勝手に引用しますと。…。

 

八百万の神々が出雲にお集まりになる旧暦十月、出雲ではいわゆる神有月になると、風が強くなり、海が荒れてきます。そんな時期に出雲大社の近くの浜ではウミヘビが打ち上げられることがあり、その蛇は背は黒色ですが、腹はオレンジ色や黄色で、夜に泳いでいるところを照らすとまるで火の玉が近づいてくるように見えるそうです。最近は海流の関係で上がらなくなったそうですが、昔は打ち上げられた蛇は出雲大社に奉納されました。その蛇は大国主大神のお使い神であり、八百万の神が出雲に来られるときに先導される神だと信じられ、そして人々は祝福をもたらす神「龍蛇さま」とお呼びして篤く信仰してきました。

旧暦十月十日、稲佐の浜に八百万の神々をお迎えする出雲大社の神迎神事の際には、龍蛇さまが安置され、神事が執り行われます。そして、龍蛇さまは八百万の神々の依り代であるヒモロギの先導として出雲大社までの神迎の道を進みます。そして、神迎祭においても安置されお祭りが行われます。その後一週間の神在期間は龍蛇さまが奉安され、一般の人も奉拝することができます。

 

なお出雲大社は、正式には「いづもおおやしろ」と申し上げます。 

■八幡宮・八幡神社
 石清水八幡宮  九州の宇佐神宮から八幡大神の御分霊を遷座する際、船の帆柱の上に金のハトが現れたことから。

 

■稲荷神社・稲荷社

 伏見稲荷大社  稲荷の神が「食物の神」つまり御饌神(みけつかみ)なので、その「みけつ」がいつか御狐(おけつね)・三狐(みけつね)に転じたことによるという説。或いは、稲荷神がのちに密教の荼枳尼天(だきにてん)と本迹(ほんじゃく)関係を結んだことを重視し、荼枳尼天のまたがる狐がそのまま稲荷神の眷属とされたのだという説もある。

 

■春日大社 鹿 御祭神の武甕槌神(たけみかづちのかみ)が、常陸国の鹿島神宮から神鹿に乗って遷座したことから。安芸(あき)宮島の厳島神社の神使でもある。

はじかみ神主のぶろぐ

はじかみ神主のぶろぐ 

はじかみ神主のぶろぐ

 

■太宰府天満宮・天満宮・菅原神社

 北野天満宮 先述のとおり、①菅原道真公が亡くなったのが丑の月の丑の日。②道真公は牛に乗り大宰府へ下った。③牛が刺客から道真公を守った。④道真公の墓の場所を牛が決めた等の理由 。

 

■熊野三山 八咫烏 神武天皇御東征の折、熊野から大和まで先導した三本足の八咫烏(ヤタガラス)に因む。熊野三山=熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社〕

 

画像は、昨年12月の伊勢神宮新穀感謝祭参宮旅行の折、途中、熊野那智大社へ正式参拝した時のものです。

 

■日吉神社・日枝神社・山王神社

 日吉大社  比叡山にはたくさんの猿がいる。御祭神である大山咋神(おおやまぐいのかみ)の妻の化身(雌猿)とも。また「神猿(まさる)」といい、神猿は「魔去る・勝る」に通じ、魔除け・必勝のご利益をいただけるものとして信仰されてきた。現在でも京都御所の「猿が辻」と呼ばれる東北の隅には神猿さんがいて、御所の鬼門を守護している。

 

■松尾大社  京都市西区にある松尾大社(まつのおたいしゃ)は、酒の神で醸造業者の信仰が篤く、境内の亀の井の水を加えるとお酒が腐らず美味しく出来るといわれている。鎮座地近くの亀尾山に由来する。神社は桂川のすぐ近くにあるため 川が氾濫するたび被害をこうむってきた、大昔、川が氾濫した時 ここの神様が下流の方へどんどん流されてしまった、困った神様を見つけたのが1匹の大亀で、神様を甲羅に乗せて送り届けてくれたという伝説がある。

 

■三島大社  三島といえば鰻が名産だが、昔は三島大社の氏子は誰も鰻を食べなかった。昔、大水が出て、この三島の神様が流された、その時、大きなウナギが現れ、三島様はウナギの背中に乗って、どこかのふちにたどり着いて助かった、以来鰻が神使となった。しかし、明治維新の際に言い伝えを知らない薩摩・長州の兵士たちが鰻を食べてしまって、それを見た三島の人たちは何も神罰が当たらないのを知って食べるようになったのだとか。

 

■愛宕神社(京都) 神社の創建者である和気清麻呂(わけのきよまろ)が猪に助けられた故事に因むとされるが、愛宕山は京の戌亥(イヌイ=西北)の方角にあるので、「亥=猪」とされたとか。一帯に猪が多く棲息したからなどの説もある。

 護王神社  和気清麻呂公が宇佐へ配流の際に、弓削道鏡(ゆげのどうきょう)から送り込まれた刺客に襲われたのを、突如現われた300頭の猪によって難事を救われたとの伝説から。

 

■武蔵御嶽神社など奥多摩・秩父地方の神社

 三峰神社  山岳信仰から修験者たちが創案した神犬信仰に由来。

 

■調神社  さいたま市浦和区にある調神社(つきじんじゃ)は、つきに恵まれるという信仰がある。中世頃から調(つき)が月と同じ読みであることから月待信仰と結びつき、兎を神使となすようになった。

 

このように、その神社の眷属が決定した由来は、神話によるものや、故事に由来するもの、鎮座地近くに住む動物や語呂合わせなど様々です。

 

しかし、神の遣わしたものは偶像であらわすことが出来るので、それが神意を表すという思想から、神使・眷属が生まれたのではないかと思います。

 

21年前に、県神社総代会の研修旅行で、秩父三社といわれる三峰神社、秩父神社、宝登山(ほとさん)神社に詣でましたが、日頃ご縁のない関東の神社に行ったせいか、その装飾や社殿構成の豪華さに驚きました。

 

なお、以下の画像はすべてクリックすると拡大します!。


はじかみ神主のぶろぐ 

 

特に、高峰・三峰山に鎮座する三峰神社はまさに修験道の霊地という感じで、秀麗な極彩色のきらびやかな社殿や随身門にはびっくりさせられました。


はじかみ神主のぶろぐ 

 

三峯神社の眷属(お使い)のオオカミは、日本武尊(やまとたけるのみこと)の道案内をされ、その勇猛、忠実さから、三峯神社の使い神に定められたと伝えます。境内には、眷属であるオオカミ像が狛犬に替わって鳥居脇などに奉納・安置されています。

 

はじかみ神主のぶろぐ 

 

三峰神社を含めて、奥多摩・秩父の狼を眷属とする神社では、猪鹿(害獣)除け、火防、盗賊除けにご利益があるとして、狼の姿の入ったお札(神札)が信者に頒布されます。

 

信者は、翌年、お山に登拝してお返しし、新たな狼のお札をお受けするとのことです。

はじかみ神主のぶろぐ 

 

最後に、ジンジャー・ジンジャ(生姜神社)である当・波自加彌神社(はじかみじんじゃ)は、日本唯一の香辛料の神を祀る神社なのですが、生姜は神使とはいえません!。

 

あえて言えば、社前を流れる河原市用水という灌漑用水が、当社の神の使いである白狐の足跡をヒントに用水路を設計されたので、当社の神使は白狐ともいえます。

 

この用水は、今から320年前に開削され、当社はこの用水の守護神とされています。ですから、当社社前に架かる太鼓橋型の石橋は、豊かな狐の恵の橋ということで、「瑞狐橋(ずいこばし)」と名付けられました。

くわしくは、私の過去のブログ・白狐の伝説をご覧ください!。

 


もう一匹、本当に生きている神使をうっかり忘れていました~。

 

当社に仕える神主犬・宗二郎であります~!。


はじかみ神主のぶろぐ

 

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