昨日の地元紙・北國新聞に、「伊勢神宮の宝剣に 石川のトキの羽 」との見出しで以下のとおり報じられました。


いしかわ動物園(能美市)で飼育中のトキの尾羽が、伊勢神宮(三重県伊勢市)で新調される神宝の一つ「須賀利御太刀(すがりのおんたち)」に使われることが、21日までに決まった。


須賀利御太刀は、社殿を20年ごとに造り替えて神々を移す「式年遷宮」に合わせて新調される。伊勢神宮は来秋に62回目の式年遷宮を控える。


平安時代の儀式書「延喜式」には「柄(え)は鴾(つき)(トキの古称)の羽を以(もっ)て纏(ま)け」と記され、トキの尾羽2枚を太刀の柄の部分に深紅色の組みひもで巻き付ける。


はじかみ神主のぶろぐ


伊勢神宮は、前回の式年遷宮(平成5年)で羽を奉納したNPO法人日中朱鷺(とき)保護協会の村本義雄名誉会長(羽咋市)を通じて、石川県に相談。県は、いしかわ動物園で飼育する8羽から抜け落ちた6枚の尾羽を譲ることを決めた。環境省は種の保存法に基づいて譲渡を許可した。


ということで、、来秋斎行される第62回神宮式年遷宮に新調される、御神宝の「須賀利御太刀」が、当県の動物園で飼育されているトキの羽が使われるということで、石川県民として誠に誇らしいことであります。

なお、「須賀利御太刀」は、伊勢の神宮の博物館である神宮徴古館 で拝することが可能です。神宮徴古館は、式年遷宮で撤下された御装束神宝(おしょうぞくしんぽう)を中心に、神宮の歴史・奉賛・参宮に関する資料や美術工芸品を展示しています。


はじかみ神主のぶろぐ

当県と神宮式年遷宮の御神宝との関わりは深く、今年6月に96歳で亡くなられた、金沢在住の漆芸家で人間国宝の大場松魚(おおばしょうぎょ)氏が、「御鏡箱・御太刀鞘」を昭和27年及び同47年の2度、御神宝制作に携わったと漏れ伺っており、同じく人間国宝であった当県松任(まっとう)市の故・隅谷正峯(すみたにまさみね)氏も、前回の御遷宮で刀工として御神宝太刀を制作したとお聞きしています。


また、前述したように当県羽咋(はくい)市在住で、半世紀以上にわたってトキの保護、復活に尽力してきたNPO法人日中朱鷺(とき)保護協会名誉会長の村本義雄氏(87)も、前回の御遷宮で保存していたトキの羽を奉納したことによって、「須賀利御太刀」を完成することが出来たのです。


トキ(朱鷺・鴇)は学名が「ニッポニア・ニッポン」で、鶴とともに日本を象徴する鳥と思われがちですが、あくまでも日本の国鳥は雉(きじ)であり、新潟県の県の鳥および、新潟県佐渡市と当県の輪島市の市の鳥です。


トキは日本海側を中心にどこにでもいる鳥だったのですが、明治以降、肉や羽目当ての乱獲によって激減し、大正末には絶滅したとされていましたが、その後佐渡や能登でわずかに生息が確認され、昭和27年には国の特別天然記念物に指定されました。


はじかみ神主のぶろぐ

しかし、戦後の急速な土地開発や農薬の散布によって、昭和33年には11羽(佐渡に6羽、能登5羽)にまで減少し、昭和46年には能登半島で捕獲された、本州最後のトキ「能里(ノリ)」が死亡し、佐渡島以外では絶滅しました。


その佐渡のトキも、平成15年に最後の日本産トキ「キン」が死亡したことにより、生き残っているのは中国産の子孫のみとなってしまいました。


現在日本で人工繁殖したトキは、以下のとおり199羽飼育されております。


佐渡トキ保護センター(新潟県佐渡市、105羽)

佐渡トキ野生復帰ステーション(新潟県佐渡市、46羽)

多摩動物公園(東京都日野市、13羽)

いしかわ動物園(石川県能美市、14羽)

出雲市トキ分散センター(島根県出雲市、8羽)

長岡トキ分散飼育センター(新潟県長岡市、13羽)


かつて能登を中心にトキが幅広く分布したことにちなんで、当県には老人ホームの「朱鷺の苑」やゴルフ場の「朱鷺の台カントリークラブ」など「朱鷺」の名を冠したものが多く、やはり奥様が金沢出身の作家、五木寛之氏の小説『朱鷺の墓』は、日露戦争下の城下町金沢を舞台に、美貌の芸妓・染乃とロシア貴族出身の青年将校イワーノフとの恋の行方を描いた作品であります。


話を元に戻しますが、式年遷宮で新しく調整される御装束神宝類は約1500点にも及ぶとのことですが、私は前回の御遷宮では神宮より臨時出仕を拝命して、遷宮祭奉仕の栄に浴しました。


その際、御装束神宝は目にすることは叶いませんが、遷御(せんぎょ)を前に川原の大祓に参列することを許され、御装束神宝が納められた唐櫃(からひつ=檜で出来た四脚の長持のようなもの)を奉担(ほうきょ)させていただいたのです。


平成5年10月1日、伊勢に着任すると同時に、私は神宮内宮(ないくう)の斎館(さいかん)で、まず潔斎(けっさい=沐浴〔もくよくし〕て心身を清めること)した後、内宮神楽殿の控え室で真新しい装束を支給されました。白括り袴に下帯まで新品でした。


午後、川原大祓(かわらおおはらい)のご奉仕をおつとめさせていただきました。


これは、「仮御樋代 ( かりみひしろ )」・「仮御船代( かりみふなしろ )」や御装束神宝をはじめ、 遷御(せんぎょ)に奉仕する 神宮祭主( じんぐうさいしゅ)・大宮司・少宮司以下の奉仕員を、五十鈴川ほとりの「川原祓所(はらいしょ)」で祓い清める儀式で、私達臨時出仕は御神宝の納められた唐櫃を奉じて、内宮五十鈴川河畔で祓いを受けたのです。


はじかみ神主のぶろぐ


なおこの画像は、神社本庁並に神宮司庁(伊勢神宮)の許可を得て掲載いたしておりますので、無断転写はご遠慮ください!。


前回の御遷宮に奉仕してより、来年は早くも20年となるのですが、来夏に行われる「御白石持行事(おしらいしもちぎょうじ)」に向けて、現在氏子の方々に参加を募っているところです。


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