昨日、山里の兼務神社の秋祭りへ行くと、こんな立派な茗荷(みょうが)がたくさん奉納されました。
当社は、日本で唯一香辛料の神を祀る神社なので、生姜(しょうが)だけでなく、山葵(わさび)や山椒(さんしょう)、芥子(からし)、百合根(ゆりね)、葱(ねぎ)、紫蘇(しそ)、芹(せり)、大根おろし等の香味野菜を神饌(しんせん)としてお供えしますが、当然、茗荷(みょうが)も加えます。
茗荷は、生姜とともに大陸から伝えられたものなのです。
ミョウガは私も大好きです。味噌汁や素麺(そうめん)の薬味にしても美味しいし…。
天ぷらにしても、漬物でも、湯がいた後梅干の汁に漬け込んでも、塩漬けした後塩出しして粕漬けに漬け直しても、甘酢漬けにしても、旨いですよね。
ミョウガの甘酢漬けは、変わり寿司にして握るとよりまいうーです♪。
でも、子供の頃祖父から、「ミョウガを食べ過ぎると物忘れがひどくなるから、あまり食べるな!」とよく注意されました。
しかしながら、これは学術的な根拠もなく、今では俗信とされていますが、ミョウガの物忘れを題材にした古典落語に「茗荷宿(みょうがやど)」というのがあるので、ご紹介しますね。
昔、ある宿場町に大きな宿屋がありました。この宿屋の老夫婦は、一人娘に婿養子を取りました。この婿は、はじめはよく働いて客あしらいも良かったので、宿屋は繁盛が続きます。ところが、老主人夫婦が亡くなって、若夫婦の代になると、この婿は道楽を覚えて商売そっちのけ。借金がかさみ、雇い人も辞めてしまい、旅館も人手に渡ることになりました。
しかし夫婦は別れもせず、残ったお金を元手に、宿場町から離れた場所で「茗荷屋」という安い宿をはじめました。婿は心を入れ替えて、またよく働くようになりましたが、町から遠い場所で客は少なく、宿賃も安いので夫婦は貧乏暮らしの日々。
そんな茗荷屋に、ある日、よい身なりの客が来ました。客は女将(おかみ)にずしりと重い荷物を預けました。女将がこっそり中身を調べると、中は絹の反物と三百両もの小判の入った財布。おかみは持って逃げようかと亭主に相談しました。しかし、捕まれば身の破滅は必定。
そこで二人は茗荷屋の名にかこつけて、「今日は先代の命日なので、屋号に因んでミョウガづくしの料理を作ります」と言って、ミョウガをたくさん食べさせ、預かった荷物のことを忘れさせようと考えました。出した料理は、ミョウガの炊き込み御飯、ミョウガの卵とじ、ミョウガ入り味噌汁、ミョウガの漬け物、ミョウガのてんぷら、などなど。客は、おいしいおいしいとミョウガ料理を全部食べました。
さて翌朝、先を急ぐ客は草鞋(わらじ)もはかずに、飛び出していきます。「しめた!」と夫婦が喜んだのもつかの間、先ほどの客が慌てて戻ってきました。道を歩いていると、足の裏が痛いので、宿で草鞋をはかずに出たことに気付いて戻ってきたのだと言います。
客は草鞋をはいて、また出て行きました。夫婦がほっとしたところへ、また客が戻って来ました。街道を歩いていると皆、荷物を持っている、自分は荷物を持っていない、宿屋に忘れてきたことに気が付いたというのです。宿の夫婦はしぶしぶ反物と財布の入った荷物を渡しました。
女将「あ~ぁ、当てが外れたね。ところで、お前さんもミョウガをたくさん食べたけれど、何か忘れ物をしていないかい?」
亭主「あっ! 、しまった!。 宿賃をもらうのを忘れた! 」
というものです。ですが、逆に最近の研究では、ミョウガの香り成分に集中力を増す効果があることが明らかになったのだそうです。
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