今日も、みなさんのよく知っているお伽噺(おとぎばなし)の『こぶとりじいさん』をお届けしますね。
なお、国際デジタル絵本学会の、馬渕悟氏の文、大熊ゆり子氏の絵を使わせていただきました。
むかしむかし、あることろに良いおじいさんと、いじわるなおじいさんが住んでいました。
良いおじいさんは、右のほほに大きな大きなコブがありました。いじわるなおじいさんは、左のほほに大きなコブがありました。
ある時、良いおじいさんが山へたき木を取りに出掛けました。
たき木を取って疲れたおじいさんは。大きな木の陰で眠ってしまいました。
ワイワイ、ガヤガヤ声がするので、おじいさんは目を覚ましました。
木の後からのぞいてみると、赤鬼や青鬼が集まってお酒を飲んでいました。
おじいさんは、びっくりして、怖くてふるえていましたが、鬼たちが歌ったり踊ったりしているのを見て、だんだん楽しくなってきました。
「これは、面白い、どれワシも一緒に踊ろうか」
おじいさんは、怖いのを忘れて、踊りながら鬼たちの所に出ていってしまいました。
「やいやい、このじいさんは何だ」
鬼たちは、おじいさんが急に出てきたので驚きましたが、おじいさんの踊りが面白いので、みんな手を打って喜びました。
おじいさんが踊り終わると鬼たちは言いました。
「おい、じいさん。いやいや面白い踊りだった。また、来て踊れや」
「そうだ、また来いや。ほら、褒美(ほうび)に宝物をやろう」
「来月も来いや。そうは言っても来ないということもあるから、そのコブをあづかっておこう」
鬼はそう言うと、おじいさんのほほから、コブを取ってしまいました。
その話を聞いたいじわるなおじいさんは、鬼たちが集まる日に、さっそく行ってみました。そして、鬼たちの宴会が始まると、さっそく踊りながら出ていきました。
けれども、その踊りの下手なこと、下手なこと。鬼たちは、怒ってしまいました。
「やめろ、やめろ、ちっとも面白くないじゃないか」
「まったくだ、この間はあんなに面白かったのに、そんな下手な踊りはやめろ!」
「もういい、帰れ、帰れ」
「さあ、コブを返してやる、もう来るなよ」
鬼たちはそう言うと、いじわるなおじいさんの右ほほに、良いおじいさんのコブを引っつけました。
いじわるなおじいさんは、両方のほほにコブを付けられて、泣きながらトボトボと帰っていきましたとさ。
おしまい
先代宮司である私の祖父は、右のほほに大きなコブがありましたので、氏子の方々から「たんこぶ宮司」の愛称がありました。子供の頃祖父に「コブを切除すればどうか」と訪ねたら、「これは、ワシの福の神やから切らんのや」と祖父は言いました。
祖父が亡くなって、私が宮司を継いだ時、氏子の子供たちから、「神主なのにどうしてコブがないんや?」と言われましたが、実はあるんですよね。首の真後ろに小さいコブがね…。
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