■五色生菓子


菓子どころ金沢の縁起菓子の代表といえば、藩政時代から伝わる祝い菓子の「五色生菓子(ごしきなまがし)」です。今でも婚礼や家の建前(たちまい=上棟)で用いられています。


はじかみ神主のぶろぐ


慶長5年(1600)、2代藩主・前田利長(としなが)が弟、3代利常(としつね)の正室・珠姫(たまひめ)の輿入(こしい)れに際し、菓子司(かしつかさ)・樫田吉蔵(かしだきちぞう)に作らせたことが発祥とされています。


五色生菓子は五種類それぞれに意味合いがあり、天地万物を表すそうです。


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日…丸い餅を赤いいら粉で鮮やかに染めた「ササラ」は、太陽を表しています。


月…艶やかな白い「饅頭」は夜空に美しく映える静かな月を表しています。


山…美しく黄色に染めた米を一面にまぶした餡餅は、「イガラ」とよばれ、山を表しています。


海…菱形の餡餅「ウズラ」は、おだやかな波がきらめく、海を表しています。


里…丸い形の「蒸羊羹」は、田の土のような力強さで、里を表しています。


以上、五種類の菓子で構成され、「日月山海里」は「おひゃんまい」と呼び、おそらく「お部屋見舞い」からきていると考えられます。


婚礼のある家に親戚、知人から届けられ、その数は、婚礼を控えた家の玄関前に積まれた黒塗りの四角い飾り蒸籠(せいろ)の数で表され、婚礼の規模、家の格式を表わすものとされてきました。その後、近所や親戚、知人に配られ、人と人との結ぶ橋渡しの役目をはたしています。

はじかみ神主のぶろぐ   はじかみ神主のぶろぐ
お道具運びの日、婚家の玄関先に   蒸篭一箱につき

は、このように「蒸篭」(せいろ)と    100個入っています

呼ばれる「五色生菓子」が入った

木箱が積み上げられます            

でも、最近は見られなくなりました


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新婦家より持参した「嫁風呂敷」と家紋

入りの「袱紗」(ふくさ)です


はじかみ神主のぶろぐ
この家紋入りの「お重」も、新婦家より持参

したもので、輪島塗や山中漆器、加賀蒔絵

(まきえ)などで特注しますが、大変高価な

ものです


婚家では、「お道具入り」が済むと、この

「お重」に「五色生菓子」や「お赤飯」を入れ、

「嫁風呂敷」に包んで、親戚やご近所に

お配りするのです


はじかみ神主のぶろぐ
最近は、簡素化されて、このように紙箱や

プラスチック容器にあらかじめ入ったもの

をお配りしています


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赤飯も同様に、最近は箱入りで売られて

います


■福 梅


金沢のお正月の縁起菓子といえば「福梅」です。この画像は、昨年暮に石川屋本舗さんの福梅を買った時のものです。


はじかみ神主のぶろぐ

熨斗(のし)紙には、松竹梅の絵が描かれております。


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このお菓子は「福梅」(ふくうめ)といって、金沢のお正月に欠かせないお菓子です。


金沢では年始にお伺いすると、必ずこの福梅がお茶菓子に出されます。


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12月に入ると金沢のお菓子屋さんは、それぞれ福梅を作り始めます。


形は同じようでも、味はその店ごとに秘伝の味があるので、どうぞ食べ比べてみてください、と自信を持って店頭に並べるのです。


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加賀藩主・前田家の家紋「剣梅鉢」(けんめいばち・けんうめばち)の梅をかたどっており、紅白の見た目もお目出度いお菓子なのです。


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紅白の最中皮の中には練り上げられた大納言小豆の餡を入れ、外は蜜を刷け塗りし細かいグラニュー糖をまぶしてあります。


どちらかといえば濃厚な甘味を楽しむお菓子で、寒い北陸の金沢ならではの逸品です。

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■福 徳


続いては、金沢の正月の縁起菓子を紹介しますが、これらの商品は暮から正月にかけての限定商品なのです。以下の画像も、昨年暮れに記録したものです。


これは、落雁(らくがん)で有名な金沢の老舗・諸江屋さんの「福徳」という縁起菓子です。金沢では「ふくとく」とは言わず、「ふっとこ」「ふっとく」と呼びます。


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裏に説明書きがありました。


「その昔、加賀藩ではお正月にはこの一年、福と徳にめぐまれる様、正月用玩具又は菓子、料理等に縁起をかつぎたるもの多し、この玩具菓子も打ち出の小槌、或は砂金包の形の中に色々と縁起のよい形の物を入れ、正月に家族一同、これを開きて一年の運をよろこぶ習慣あり、素朴なる米煎餅の皮をかじり、中なる金花糖にて甘みを取りたるその昔の庶民の生活をしのびながら、この一年お互いの運勢を占って下されば幸いです…皮の黄色は黄金、白きは白銀をなぞらえたるものなり」と書いてありました。


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袋から出すと、打ち出の小槌、砂金包、米俵など縁起のよい形をしていますね。


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中を割ってみると、恵比寿さんの金花糖があらわれました。


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これには、富士山の焼き物が…、一富士ということか!。


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これは、姫達磨(ひめだるま)の金花糖かな?。胸に剣梅鉢の御紋が付いております。


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■干支飴


次に紹介するのは、全国に名高い、金沢の老舗・森八(もりはち)さんの縁起菓子ですが、森八といえば日本三大銘菓の一つ、「長生殿」(ちょうせいでん)という、四国産の最高級糖・和三盆(わさんぼん)から作られた落雁が有名です。


加賀藩三代藩主・前田利常公の創意と、小堀遠州(こぼりえんしゅう)の命名により生まれたのが長生殿です。「長生殿」の文字も、茶道遠州流の始祖である、この小堀遠州によるものです。


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その森八さんから出されているモノダウンがこれです。


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今年の干支・寅年にちなんだ「干支飴」(えとあめ)です。「ご縁があるように」と、なんと、五円玉硬貨が入っているんです。


ちなみに、森八さんの「福徳」も買い求めようと、昨年暮れに、香林坊大和のデパ地下へ行ったのですが、すでに売り切れていて、買うことが出来ませんでした。


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■辻 占


最後に、金沢のお正月用の縁起菓子「辻占」(つじうら)を紹介しますね。


辻占は、桃・黄・緑などの花のような形をした寒梅粉のせんべいの中に、小さく丸めた御神籤(おみくじ)が入っているんです。12月から1月中旬までの限定発売です。

各老舗菓子店で、この辻占が売られていましたが、金沢では氷室饅頭で知る人ぞ知る、越山甘清堂の辻占にしました。七福神の図柄が可愛いですよね。


なお氷室については、私のブログ氷室まんじゅうの由来 をご覧ください!。


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越山甘清堂さんの「辻占」には、裏に説明書きがありました。


「藩政時代より加賀地方に伝わり、「福が舞いこむ」「思いが叶う」「良いことが重なる」と、三つの福徳をあらわし、この中に小さく丸めた紙が入っております。一人三個取り、言葉合わせをしてお楽しみ下さい」…とあります。


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江戸時代、吉凶を占う札を売り歩く「辻占売り」が、次第にせんべいなどに貼り付けて売るようになったのがはじまりだそうです。「辻」は町角という意味で町角で売られていた庶民のお菓子という意味合いがあるそうです。

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お札(おみくじ)には、縁起のよいもの、教訓的なものなどが、謎かけめいた絵や文字で刷られています。

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三つを開き言葉を並べかえして文章を作る遊び&占いか…。


「うそからでたまこと」だから、「うわさが高い」し、「きげんなおして」…、意味不明じゃ!。


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そして、長女がお正月に引いた、このおみくじには、なんとも嬉しいことが刷られていました。


接写でも字が小さいのでご報告しますと、「縁談がある」と…。(^∇^)


ですが、お正月から秋へと季節が移り変わりましたが、未だに縁談はありません。(_ _。)


はじかみ神主のぶろぐ


スーパーで売られていた、別の辻占には…。


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さすがのワシも、これでは占えませぬ。(。-人-。)


はじかみ神主のぶろぐ


金沢には、季節に応じて風情を楽しむ菓子文化が息づいた街です。お正月まで残すところあと3ヶ月を切りました。どうか、金沢の縁起菓子を、ぜひ暮にお求めになってはいかがでせうか?。


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