明日は、アメーバブログのメンテナンスが、午前2時から午前8時まで実行されるということなので、明日の分をアップさせていただきます。


多分、明日は、書かないと思いますので、ご了承のほど、御願い上げ奉りまする!。



私は、金沢市の高砂大学の講師を7年ほどさせてもらっております。


で、講演テーマは、『金沢のしきたり再発見』


今は、大分簡素化されましたが、とにかく、金沢は古い「しきたり」が多く残る街です。


当然、お金も多くかかりますが…。(・∀・)


今まで、二度、仲人(媒酌人)をお引き受けしましたが、その中で、10年前に金沢郊外の旧家の長男さんの仲人をつとめた折は、金沢の伝統にのっとって、婚礼を行いましたので、その時のことを思い出しながら、書いてみますね。


はじかみ神主のぶろぐ
婚礼の約一週間前に「お道具運び」が行なわ

れます


新婦の親戚から、当日の披露宴に招待しない

遠縁の男性を一人選び、「荷宰領」といって、

道具運びの見届け人を立て、婚家への道具

入りが終わると、座敷で祝い膳に着きます


金沢の婚礼トラックは、ガラス張りのもので、

ガラス側に、桐箪笥(たんす)など高価な物

を見えるように積み込むのです


道中は、絶対にバック(後戻り)してはならず、

運転中も緊張します



はじかみ神主のぶろぐ
家具屋の婚礼トラックの運転席の上には、

このような藁で編んだ「鶴亀」が乗せられ、

「加賀長持ち唄」を流しながら婚家へと向かい

ます


ちなみに、桐箪笥などの両側の上に、棒を

通す金具があるのは、昔は、これに竿(さお)

を通して運んだからです

ですから、箪笥を数える時は、「ひと竿」

「ふた竿」などと数えるのです


当然、婚家より、家財道具の運搬者には、

ご祝儀が渡されます



はじかみ神主のぶろぐ
婚家に着いて、最初に座敷へ通ずる帯戸に

「花嫁暖簾」(はなよめのれん)が掛けられます

掛ける期間は2週間です


花嫁暖簾は、30万から50万、加賀友禅の高い

物になると100万円以上はします



はじかみ神主のぶろぐ   はじかみ神主のぶろぐ
お道具運びの日、婚家の玄関先には、    蒸篭一箱につき

このように「蒸篭」(せいろ)と呼ばれる     「五色生菓子」

木箱が積み上げられます            100個入っています

でも、最近は見られなくなりました



はじかみ神主のぶろぐ
新婦家より持参した「嫁風呂敷」と家紋入りの

「袱紗」(ふくさ)です



はじかみ神主のぶろぐ
この家紋入りの「お重」も、新婦家より持参

したもので、輪島塗山中漆器加賀蒔絵

(まきえ)などで、特注しますが、大変高価な

ものです


婚家では、「お道具入り」が済むと、この

「お重」「五色生菓子」「お赤飯」を入れ、

「嫁風呂敷」に包んで、親戚やご近所に

お配りします



はじかみ神主のぶろぐ
最近は、簡素化されて、このように紙箱や

プラスチック容器にあらかじめ入ったもの

をお配りしています


なお、金沢伝統のお菓子「五色生菓子」 押

ついてはリンクしてお調べ下さい



はじかみ神主のぶろぐ
赤飯も同様に、箱入りに…



はじかみ神主のぶろぐ
いよいよ、婚礼当日を迎えました!


花嫁は、実家のお座敷の中で、「嫁草履」

履き、迎えのハイヤーで、仲人とともに出立

します



はじかみ神主のぶろぐ
婚家に到着すると、お手引き役の親戚の童女

に引率され、家の中に入ります


金沢では、お手引きのことを、「オマッチョロ」

(お待女郎)と呼びます



はじかみ神主のぶろぐ
玄関先には、両家の水がそれぞれ入った

竹筒と、土器(かわらけ)が用意されています



はじかみ神主のぶろぐ
これは、「合わせ水」といって、

仲人は、両家の水を新婦に注ぎ、新婦は

両家の水に合いますようにと、この水杯を

飲み干します



はじかみ神主のぶろぐ
すると、仲人夫人(媒酌人)は、「二度と戻らぬ」

との誓いを込めて、地面にたたき割ります



はじかみ神主のぶろぐ
花嫁は、「花嫁のれん」をくぐって、いったん

控えの間で、色内掛けから白無垢(しろむく)

へと着替えます


この間、一同は、「桜茶」(花ひらくの意)もしくは、

「昆布茶」(喜ぶの意)をいただきます

「煎茶」は、「茶茶を入れる」「お茶を濁す」という

意味から、使いません



はじかみ神主のぶろぐ
この時のお茶菓子は、金沢では、「寿煎餅」

ですよね、紅白の煎餅に「寿」の字が…

そして、松葉を象った砂糖菓子も添えられます



はじかみ神主のぶろぐ   はじかみ神主のぶろぐ
また、日本三大銘菓のひとつ      金沢の銘菓、森八「千歳」

「長生殿」(ちょうせいでん)を

製造販売する、老舗森八

「千歳」を使う場合もあります



はじかみ神主のぶろぐ
白無垢に着替えた新婦は、用意した「お数珠」

を取り出し、仏間へと向かいます



はじかみ神主のぶろぐ
「お仏壇参り」または「お内仏参り」と呼ばれ、

仏壇と神棚へお参りして、婚家の祖先に、

家族の一員となることを、ご報告します


この際、新婦側が用意した、仏壇の大きさに

応じた「仏花」をお供えします



このあと、新郎・新婦は揃って、挙式会場へと向かうのですが、最近は、この「お仏壇参り」を省略する人が非常に多いのです。


ご先祖様あっての、自分達だということを、決して忘れてはならないと思います。


最後に、金沢では「娘三人おれば臼の乾く暇(ひま)がない」と言われる程、冠婚葬祭の付け届けが頻繁(ひんぱん)にあるのです。


今日のブログはその一部に過ぎませんので、今後「金沢の様々なしきたり」について、機会があれば、述べさせていただきます。



写真提供:ウェディングプロデュース金澤syugen