「1950年代、戒厳令下の台湾。

白色テロにより反政府分子として捕らえられた兄が台北で処刑されたと知った少女・阿月は、故郷の嘉義から、なけなしの金と兄の形見の時計を手に、遺体を引き取るため一人台北へ向かう。しかし遺体を引き取るには高額な手数料が必要で、途方に暮れてしまう。怪しい男に騙され、遊郭に売り飛ばされそうになったその時、彼女を救ったのは人力車の車夫・ザオ・ゴンダオだった。中国・広東出身のゴンダオは、国民党軍の元軍人として台湾に渡って以来、故郷へ帰ることもかなわず、その日暮らしの生活を送っている。白色テロで軍の仲間の失い人生に行き場を見いだせずにいたゴンダオは、アグエーの思いに心を動かされ、手を差し伸べることを決意する。先の見えない時代の激流の中で出会った二人の運命が大きく動き出していく……。」公式サイトより転載。

 

映画の冒頭、物語の舞台が 1953年 とテロップが出る。1953年は私が生まれた年、また、朝鮮半島では3年間続いた戦争(朝鮮戦争)が7月にようやく停戦した。その時代の台湾は1949年に布告された戒厳令下にあり、戒厳令が解除されたのは、なんと1987年だったとのことだ。

 

公式サイトにある 白色テロ。恥ずかしいことに私はこの作品を観るまでその言葉を知らなかった。

 

物語の終盤、銃殺された兄の死体をようやく見つけ、その後のアグエーの成長を写真とテロップで映し出し、老人となった彼女が懐かしい人と再会するところで終わる。

 

少女アグエーを遊郭に売り飛ばそうとする男たちや、暴力を振るう警察官などが登場してアグエーを危機に陥れるのだが、皆どこか抜けていて、人の好さを垣間見せるのは、この作品の監督、チェン・ユーシュン氏の暖かさだろうか。奇をてらうこともなく正攻法に作られた作品だが、変に凝り過ぎたため、こちらに伝わるものの少ない作品が多いように感じられるからか、とても新鮮な印象だった。