「Canon(カノン)」とは、ある声部の旋律を他の声部で、厳格に模倣しながら追いかけていく技法、また曲のことをいいます。クラシックの著名な作曲者もカノンという作品を残していますが、パッヘルベルが作曲した『パッヘルベルのカノン』が有名です。今回紹介するのも『パッヘルベルのカノン』です。この曲は、ヴァイオリン3つと通奏低音(チェンバロ)で編成されるクラシックでありながら、管弦楽団、交響楽団が演奏したり、ピアノ・クラシックギターの曲としてアレンジされたり、ロック調となる「Canon Rock」となったり、途中のメロディアスな部分に詩を付けて「Memories」/Maroon 5として生まれ変わったりして、いろいろと形が変わっています。
写真の出典 mameppoさんによるPhotoACからの写真
今回は、「Canon(カノン)」を演奏しているアーティストを紹介します。この曲は、バロック時代のドイツの作曲家ヨハン・パッヘルベルの室内楽曲で、『3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調』という曲名で作られました。カノンが有名ですが、カノンとジーグで1組になっていて、カノンの次にジーグが演奏されます。この前半部分は、「パッヘルベルのカノン」とも呼ばれています。原曲は、ヴァイオリン3つと通奏低音(チェンバロ)の編成で書かれています。曲の進行は、大逆循環とも呼ばれるポピュラー音楽でもよく使用される和声進行です。俗に「カノン進行」や「カノンコード」と呼ばれることがあります。
Stringspace String Quartet/『Canon』 -弦楽四重奏
最初のアーティストのStringspace String Quartetは、このヴァイオリン3つと通奏低音(チェンバロ)の編成が「パッヘルベルのカノン」の原型スタイルのようです。ヴァイオリンは左から右に循環しているように思います。循環の間隔も変化が見られるのも分かります。
Stringspace String Quartet/『Canon』 -弦楽四重奏 YouTubeに2013年8月アップ(6:57)
Brooklyn Duo/『Canon in D』- Cello & Piano
次のアーティストのブルックリン・デュオ(Brooklyn Duo)は、ピアノのマーニー・レアード(Marnie Laird)とチェロのパトリック・レアード(Patrick Laird)の夫婦による音楽グループです。チェロがピアノを追いかけているかと思えば、逆のパターンや一緒となるパターンもあります。緊張感のあるやり取りが繰り広げられます。
Brooklyn Duo/『Canon in D』- Cello & Piano YouTubeに2019年6月アップ(5:02)
日本ニューフィルハーモニック管弦楽団/『Canon in d』-管弦楽団
3番目のアーティストの日本ニューフィルハーモニック管弦楽団による演奏です。指揮および編曲は、上野隆史さんです。ヴァイオリンはカノン形式ではなく、多くは主旋律を受け持っているように思います。ピチカートによる演奏や管楽器やハープなども加わり、厚みのある演奏となっています。
日本ニューフィルハーモニック管弦楽団/『Canon in d』-管弦楽団 YouTubeに2014年12月アップ(6:37)
Sungha Jung/『Canon』-Acoustic guitar
4番目のアーティストのチョン・ソンハ(Sungha Jung)は、韓国のギタリストで作曲家です。アコースティックギターで演奏しています。ギターの演奏は指弾きなのでピックは用いていませんが、爪がピックの役割も果たしているようです。クラシックをメロディアスにアレンジしています。
Sungha Jung/『Canon』-Acoustic guitar YouTubeに2012年10月アップ(4:41)
Kassia /『Canon in D』-Piano
5番目のアーティストのカシア(Kassia)は、詳しいことは分かりませんでしたが、クラシック系の音楽を毎週月曜日にYouTubeやSpotifyなどに投稿しているミュージシャンです。下の画像には、鍵盤の動きと連動した画像が合成されています。とても幻想的な画像となっています。
Kassia /『Canon in D』-Piano YouTubeに2021年3月アップ(2:50)
Laura Lace/『Canon Rock』
6番目のアーティストのローラ・レース(Laura Lace)はラトビア共和国のギタリストです。Mo Aspenという男女デュオで活動しているようです。『Canon Rock』は、台湾の音楽家・作曲家であるJerryC(ジェリーシー)による『ヨハン・パッヘルベルのカノン』のネオクラシカルメタルアレンジ作品です。この画像はそれをカバーした演奏です。JerryCの演奏も下のほうで見ることができます。
Laura Lace/『Canon Rock』cover - Jerry C - Maroon 5
Maroon 5 /『Memories』
最後のアーティストのマルーン5 (Maroon 5)は、アメリカ合衆国のバンド。この曲は2019年にリリースされたマルーン5の楽曲で、大事な人を亡くしたときに、その悲しみをどうしたらいいのか分からなかったり、その人のことをしのんだりする気持ちを歌った曲です。『ヨハン・パッヘルベルのカノン』をベースに制作されています。
Maroon 5 /『Memories』 YouTubeに2019年10月アップ(3:15)
今回は、いろんなアーティストの「カノン」を紹介しました。この曲は17世紀終わりの頃のクラシックですが、多くのアーティストがいろんなアレンジでカバーしています。どこかで聞いたものが、頭に残ってそれに刺激を受けて作品を作ってしまう魅力がこの曲にあるんでしょうね。
最後に、その他のアーティストが演奏している「カノン」を紹介します。
【高速表示のため、別画面の動画でご覧ください。】
東京フィルハーモニー交響楽団/『カノン』-名曲アルバム YouTubeに2011年10月アップ(4:54)
Iqbal Gumilar/『Canon in D』-Acoustic guitar YouTubeに2020年2月アップ(3:08)
CANACANA/『Canon』-Piano YouTubeに2018年11月アップ(5:27)
Jerry C/『Canon Rock』-Electric guitar YouTubeに2010年6月アップ(5:18)
Boyce Avenue/『Memories / Canon In D』cover - Maroon 5 YouTubeに2019年11月アップ(3:25)
ProduccionesYllana/『Pagagnini. Canon de Pachelbel』 YouTubeに2016年11月アップ(9:03)
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