東京都/西東京市「西武柳沢駅」界隈の無人化見聞録-8から更に先へ進むと、この無人の家があった。

狭い敷地に植えられた庭木の枝葉が生活道路の上空に越入していた。無人化民家の敷地では、とてもよく見かける風景の一つだが、これは今まで見てきたものに比べると、まだかなり増しだ。しかしこの「かなり増し」ももうすぐに「全然増しではない」姿に変貌する。それが無人化民家の一般的すぎる姿でしかない。

 

2階の窓に据え付けられた雨戸は木製で、塗装もだいぶ剥げていた。

何度も書いているが、私はこうした木製やブリキ・トタン製の雨戸が大好きだ。いつまで見ていても飽きない。

何か知らないが、そこはかとなく哀愁があって、良いのだ。まともな人生を送ってきた人々は朝と共にガタガタと雨戸を開け、そして夜の帳と共にそれを閉める。そんな体験も経験も無いから、余計に憧れる。たったそれだけのことに、私は何十年も憧れ続け、誰にも理解されない「雨戸愛」を抱き続けている。

 

ブロック塀に取り付けられた郵便受けの下あたりから滴り落ちているシミのような汚れは、もう誰にも「汚れ」とすら理解されていないだろう、それが無人化の本当の姿である。

撮影日:令和6年5月18日