埼玉県飯能市武蔵横手駅界隈の廃屋群-8から川沿いの静かな住宅地に入っていくと、この廃屋があった。正面から見ると、ただ古い人気のない廃屋に過ぎなかったが、裏に回ってみると、このお宅には庭に面して長い、普通の民家にしては異質なほど長いベランダがあった。

庭で育てていた花々を楽しんでいた雰囲気が十分過ぎるほど伝わってきた。私も子供の頃から「花バカ」などと揶揄されていたから、それがよく分かる。しかし年月と言うのは酷く過酷で、いや呆れるほど常識的に成長する。枝は伸び、そして絡まり、やがて枯れる。人の手が入らなければそれを嫌と言うほど繰り返す。それが自然の戦略だ。そうやって他人の思いを打ち砕いていく。

この廃屋もまた、そうした戦いに今、破れ続けている最中のようだった。

撮影日:平成29年12月30日

 

追伸

埼玉県飯能市武蔵横手駅界隈の廃屋群はこの回をもって終了です。

明日からは新しいシリーズになります。

ご期待ください。