亡くなられたそうです。

ツイッターはやってないんでmixiで呟こうと思ったけど、
リアルの友人たちはイマビンなんて単語聞いても全く分からないだろうしなぁ‥と悶々としていた所で、
このブログの存在を思い出しました。

アリエッティの批判のためだけに登録したブログだけど、
独り言を書き綴るにはちょうどいいかもしれない。

とにかく残念です。ぶっちゃけ特に今敏作品が好きだった訳じゃありません。
千年女優と東京ゴッドファーザーズぐらいしか観てないし。
オレの中では「東京ゴッドファーザーズは当たり障りのないエンタメアニメとして良くできてた」ぐらいのもんだったんです。

でもその、日本のTVメディアでは(不当にも)大きく評価されない良作な劇場作品を
コンスタントに生み出し続けていたということは、それだけで大きな功績だったのだと今更ながら思います。

アリエッティやゲドなどの、鑑賞中に「‥?」が浮かぶような作品が頻繁に発表される最近のアニメ作品群の中において、これからより強い輝きをもって評価されるであろう作品を10年20年と発表し続けていくのだろうと思っていたのに。

アニメーションにおける「今敏が求める方向性」というものが、永久に失われた のだと感じます。

彼の作品性に追従する演出家っているのでしょうか?

準備中だった新作「夢見る機械」の今後の成り行きが気になります。

しかし、死を迎えるまでの1ヶ月のツイッターで飄々と呟かれた言葉の数々は 、勝手ですが自分の思うように生きた彼のかっこいい死に際のように思えました。

もし自分があと1ヶ月後に死ぬとしたら、こんなふうに死を迎えることができるのだろうか。

無理です。

こんな何も成し遂げれていない半端者のままでは死んでも死にきれない。

明日やろうは馬鹿野郎。
がんばります。
そうそう、脚本や演出についてのダメ出しはたくさんしましたが、
良かった点も当然ありました。

一つはまぁ、アリエッティの可愛らしさでしょうか。
初めての借りにでかける期待に満ちた表情は、魔女の宅急便の冒頭、キキの旅立ちのシーンでのワクワク感を思い出しました。

あとは、ジブリ作品で久しぶりに男らしいたくましさを持った男性キャラ(アリエッティの父とスピラー)が見れたこととか。

それに小人サイズの世界での液体の表現や、ハンダ付けまでこなすアリエッティ父のハンター生活ぶりなんかは、科学的な考証は抜きにしてファンタジーとしてとても楽しめるものでした。

まぁ、それだけ良いところもあったが故に残念だったということでした。
直後にアリエッティが涙を流して反論し、「ゴメン…実はボクは心臓が…」と続けることで、一応観客は翔が病気で他人へ配慮する余裕を失っているのだろうと想像できますが、それならば物語前半で「物静かで優しいが病気で少々自棄になっている少年」として描いておくべきでした。

いつも無言で本を読み、アルカイックスマイルで家を壊し滅びを予言する翔くんは一歩間違えると不気味です。

最後にアリエッティ母救出時の翔のハルに対する態度です。
ハルの本性も目的も知らずに、外から鍵をかけられ閉じ込められたときのセリフが「カギがかかってる。」では状況説明以上の意味が何一つありません。

翔からすれば、理由も分からず家政婦が先代から一族が好意を寄せる小人を捕まえ、家主の孫である自分を閉じ込めているのです。この解雇レベルの行動に対し、何のリアクションもなしでは納得がいきません。
眉をひそめて大声でハルを呼びつけようとするが思いとどまる、ぐらいの描写はほしいものです。
アリエッティ母救出劇では、ハルに気づかれずに小人の存在の証拠を消し、全てはハルの妄言だと片づけることで小人の存在を世間に知られることを防ぎました。
しかし、観客は「アリエッティのお母さんを助ける」以上の行動理由を聞かされてはいないので、前述したように翔のハルへの接し方に疑問が生まれるのです。

ですので、例えばですが

「ハルさ…」とハルを呼んで問いつめようとするが興奮から胸が痛み、うずくまる翔。それに対しアリエッティが「無理しないで…それに翔が母さんのことを直接問いただせば、小人の存在を認めることになっちゃう」と訴え、「じゃあ、気づかれないようにこっそり助けるんだ」と目的を説明する


というふうにすれば全てに合点がいくはずです。

これらのように、コンテに取りかかる前の脚本の段階で推敲しておくべき部分がないがしろにされたままだったため、アリエッティは文句ない良作になるチャンスを失ったように思えます。

これは私的な見解ですが近年、エウレカセブンや東のエデンなど、脚本段階での推敲が欠如していたために本来期待されたエンターテイメント性を発揮できなかった作品が多いように思えます。
素材が良いだけに非常に勿体無いです。

アニメ業界の今後を考えるうえで必要不可欠なのは、良い監督やアニメーターよりも、優秀な脚本家 なのではないでしょうか。