トランプは、一部書籍にあるようなパラノイアではない、と小僧は思う | 三菱ジープの断酒日記

三菱ジープの断酒日記

千葉県柏市在住、2021年7月3日になれば70歳です。中国在住の日本語教師だったのは昔。他のアルバイトも昔。騒々しい人生で家族に心配と迷惑を掛けてきましたが、やっと落ち着き……と思うと、また新しい「迷惑」が……。

 

 1029日に、東京荒川区を離れ、三万五千円ほどの引っ越し料金を払って(なんて家具の少ない暮らしなんだ)千葉県松戸市に落ち・・・いや、落ち着いてなんかいないんですけど。

 一週間以上、ネット環境がない、ということはそれはそれで不便でありました。心配してメールくれる方もいらっしゃったし、黒竜江省の大学を卒業し、東京の大学院に留学し、箱崎にある会社に就職した人から半年ぶりにメールをもらっているのに返信できなかったし、同様に10月に日本に来たばかりの人から「東京にいるなら会いたいです」というメールをもらったのにも返信できませんでした。くそう、残念だなぁ。この人は、「めちゃ小さなアパートで10万以上します、東京の住居って高いんですねぇ」と書いてきたけど、当たり前だよ、都営新宿線沿線じゃん。

 の、ようなことを返信することもできませんでした。

 え? 株価のチェック? それは、しまへん。伝説の投資家、ジム・ロジャーズは、「株を買うには鉄則がある。買ったら、買った瞬間に買ったという事実を忘れてしまうことだ」という名言を残している。だから今なお評価額を知らない。知っても、若い人にちょっとご飯をおごったらなくなってしまうような金額なんだけどね。

 え? だから忘れられるんだろって? 違うよ、小僧の周辺じゃ、投資金額が少ない人ほど、評価額へのこだわりが強いよ。毎日血まなこになって株価チェックしてる。少ない金額を投資するからますます貧乏になるんだってば。

 みたいな、十年一日のウダツキはやめて。(昨日反省したばっかしじゃん)

 引っ越しに伴うネット環境の消滅のあいだに起こったことで印象深いというと、インド映画「ガンジスに帰る」を奥さんと観たこととか、複数あるのだけど、なんといってもアメリカ議会選挙。

 どう転んでも共和党優位が続くに違いない上院は「ふうん」で済んだけど、下院の結果には少し衝撃を受けました。この小僧は、下院も共和党が勝つんじゃないかと思っていたのであります。それが、はっきりとこの小僧の希望でもありました。トランプは、一部の書籍にあるようにパラノイアではありません。意図的にアメリカの覇権を終わらせ世界の支配系統を「多極化」させるためにユダヤ資本のあるグループが誕生させた政治家だと思っています。上院下院両方が共和党過半数であることでトランプはアメリカの国力の低下を加速させるべく予定通りの無茶苦茶をやってきたのですけど、それはこれからも続くことになります。の、はずでした。アメリカは加速度的に他国に対する影響力を失い、結果的に世界は平和になる。私たちの住む地球から戦火が遠のく、それは多くの人の希望ではありませんか。

 よく考えてみたいです。名匠深作欣二監督の息子がメガホンとった「バトルロワイヤルⅡ」で竹内力が絶叫したように、世界で起きたアメリカ由来の紛争は本当に多いのであります。今ようやく、ユダヤのあるグループがそれを修正し始めている。そもそも近年の経済の停滞は無反省に軍事費を使いすぎたからだ。それが過去のものになるなら、けっこうなことであります。

 で。

 すでに何人もの人が、2008915日を越えるショックがアメリカを、全世界を見舞うと言っています。中国はその時も57兆円の巨大プロジェクトを実施して世界経済を回復させようとするか? もちろんしない。アメリカの経済的・軍事的覇権は完全に過去のものになるだろう。・・・で、あったのですが、今回の上下院「ねじれ」で少しそれは先に伸びたのであります。

 こういうことを言うと、すべての人が「根拠がない」という。当たり前だよ、隠然とやっていることなんだから。でもそう言うとなおも「根拠もないことをなんで信じることができるんだ」という。

 そっちのほうが楽しいからだよ、決まってんじゃん。

 さて。

 仮定にしか過ぎないのだけど、さきの大統領選挙の時、もしヒラリー・クリントンが勝っていたら。

 仮定ではあるけど意味のない空想ではない、今回の議会選挙の結果を見ればね。

 民主党の運動員は、トランプと共和党がアメリカ国民の分断を深めた、というだろう。それは否定できないと小僧も思う。だがクリントンならどうなっていたか? トランプより「平和的」な「覇権国としての振る舞い」ができただろうか? トランプは今回、もっぱら中国の経済的台頭を押さえるべく関税貿易戦争を仕掛けたが、中国250万(ほんとだよ)の兵力をいきり立たせるような軍事行動は起こしていない。台湾に武器を大量に売却・供与したりはしていない(可能性はちらつかせている)。「航行の自由作戦」を大々的にやろうと思えば簡単にできたのにやっていない。

 クリントンなら?

 小僧は、今のトランプのような中国に対する「覇権国への台頭の阻止」ではなかったと思う。少なくとも南シナ海での示威行為は行っただろうし、公約通り、人権の面からも中国を攻めただろう。人権問題、これは中国共産党の一つの「弱み」だ。ノーベル賞受賞者に対する待遇、新疆に対する措置、国内各所に散在するイスラム教徒への迫害、チベット問題、クリントンが大統領になっていたとして公約を守るなら攻める口実はいくらでもあったし、今もある。それを実行していたら、米中の関係、米と世界との関係は、今よりはるかに深刻なものであったのではないか? 習を激怒させ陰湿な軍事行動を引き出す危険性は、むしろクリントンの方にあったのではないかと小僧は愚考する。

 うんと時間をかけた遠回りにはなるかもしれないが、米中の関係はトランプの貿易関税戦争でゆるやかに正常化する。この経済的対立の前、2017年ということだけど、中国が輸入していた半導体はなんと29兆円で、もっぱらアメリカだった。それが輸入できなくなって、世界第2位の経済大国なのに時代の先端を行く半導体の国内生産が必要量のわずか1割だということの「異常」に、ついに習が「気づいた」んだよ。最近習は、2025年までには国内生産を7割に上げろと指示した。絶対に無理だと思うけど、すぐに福建省の晋華集成電路が日本円で1兆円の投資を半導体のために行った。家電で有名な格力が8500億円を、康佳集団も1700億円を投資した。意思決定の速さにも驚くが、その規模にも驚く。2025年には7割の半導体を国産化しろという習の指示を、「むりむり」と鼻で笑ってはいられない。

 アメリカから輸入できなくなって一番困ったのは半導体だったわけだが(そして、そのために習は日本にも急接近したのだけど)今の中国は、「困った、困った」と頭を抱えきりになるような意思決定の遅いどっかの国とは違うのだ。そうなることを全部「わかって」トランプが仕掛けた「戦争」だとしたら?

 アメリカ上下院議会の「ねじれ」は、違う意味を持って見えてくる。

 そこまでトランプが計算していたとすると、もはやフレデリック・フォーサイスの世界だけどね。

 まぁ。

 今回の「ねじれ」で、アメリカの落日と世界の「多極化」、そして小僧の願う「平和」は、少し遅れて到来することになった。

 そのように思うのであります。

 どっちが良かったのか?

 新居のある千葉県の団地、午前5時前の東方向の空を見ながら、小僧は考えるのであります。