4人のクリーンバトルの末、ラーソンが戴冠!(NASCAR最終戦:フェニックス) | 日日不穏日記・アメブロ版

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 NASCAR最終戦:フェニックスは、アリゾナ州アボンデールのフェニックス・レースウェイで行われる「Season Finale 500」。1マイル(1.6キロ)を312周(312マイル/499.2キロ)を3ステージ(75+115+122周)制。フューエルウィンドウは、85~90LAP。

 今回はプラクティス、予選が行われ、PPはカイル・ラーソン、2位はチェイス・エリオット、デニー・ハムリンが6位、マーティン・トゥレックス・ジュニアは12位スタート。フェニックスでは、プレーオフポイントは一律5000ポイントにリセットされ、このレースでの最上位のドライバーがチャンピオンになる。

 ウィリアム・バイロンが3位に入り、ヘンドリックが3位までを独占。ジョーギブスはハムリン、トゥレックスの他は、8位クリストファー・ベル、カイル・ブッシュが13位。アレックス・ボウマンが14位に沈んだものの、予選から見れば、両チームの力関係では、ヘンドリックが一歩リードでレースが始まる。

 ラーソン、エリオットのフロントローでグリーンフラッグ。エリオットがリード、ラーソン、ライアン・ブレイニー、バイロン、ハムリンが追う。7LAP、バッバ・ウォレスの後ろにいたコリー・ラジョイが、無謀とも言えるウォレスのインに切り込み、接触。ウォレスがリアからウォールにクラッシュ。リアはほぼ潰れてしまい、何も出来ないままリタイア。最下位の39位に終わる。

 コーションラップ中、ウォレスは、拍手する仕草で通り過ぎるラジョイに近づき、抗議。ラーソンはピットインし、4タイヤチェンジ。12LAP、エリオットとバイロンのフロントローでリスタート。エリオットがリード、ブレイニー、ハムリン、バイロン、ケビン・ハーヴィックが続く。

 15LAP、ラジョイがバランスを崩し、リッキー・ステンハウス・ジュニアとコンタクト。2台ともスピン、ラジョイはリアにダメージを負い、ステンハウスは事なきを得る。2回のコーションに絡むラジョイ。今日はどうした?リードラップカーがピットイン。ラーソンを除く、コンテンダー3台が入る。

 エリオット、ハーヴィック(+2)、バイロン、ハムリン(ー2)、トゥレックス(+2)のトップ5。ブレイニー、ブラッド・ケセロウスキー、ロス・チャステイン、オースティン・ディロン、マイケル・マクダゥエル、ラーソン、クリス・ブッシャー、ライアン・プリースの8台がステイアウトで4列目までを占める。

 5列目のアウトがハーヴィック、インはエリオット。21LAP、ブレイニーとケセロウスキーのフロントローでリスタート。ブレイニーがリード、ケセロウスキー、チャステイン、ラーソン、マクダゥエルが追う。ディロンは出遅れ、その後ろに。ブレイニーに離されてラーソン、エリオットがその後ろの3番手。

 エリオットの後ろにハーヴィックが。2人の因縁をビデオで流している間に、ハーヴィックがエリオットを抜き3位に。36LAP、ハーヴィックがラーソンをパスし、エリオットも続き、2-3。その後ろから、ひたひたとトゥレックスが迫る。41LAP、トゥレックスもラーソンを捉える。

 45LAP、ブレイニー、ハーヴィック、エリオット、トゥレックスが一つの集団になる。47LAP、トゥレックスがドッグレッグを使ってエリオットを抜き、ハーヴィックに迫り、そのハーヴィックの追撃からブレイニーは懸命にディフェンスしてトップを守る。49LAP、ハーヴィックがブレイニーをインからパスし、リードチェンジ。

 51LAP、トップを奪い返したブレイニーと2位のハーヴィックをトゥレックスがごぼう抜きしてトップに立つ。トゥレックス、ハーヴィック、エリオット、ラーソン、ブレイニー、ハムリンのトップ6に。トゥレックスがトップにいて、ノンコンテンダーのハーヴィック、エリオットの後ろにラーソン。ブレイニーに迫るハムリン・・・面白い展開になってきた。

 レギュラーシーズン、プレーオフをリードしてきたラーソンが圧倒的に強いのは間違いないが、トップを独走していては面白くない。ラーソンの前にコンテンダー、ノンコンテンダーがいるから、レースは盛り上がる。67LAP、ハムリンがラーソンを捉え、4位に。トップ5のうち、4人がコンテンダーを占め、ラーソンは最下位にいる(嬉しそうだな、お前!)。

 そのまま変動がないまま、トゥレックスがステージ1を制し、ハーヴィック、エリオット、ハムリン、ラーソン、バイロン、コール・カスター、ブレイニー、カート・ブッシュ、マット・ディベネデットのトップ10。リードラップカーが一斉にピットイン。エリオット(+2)、トゥレックス(ー1)、ハーヴィック(ー1)、ハムリン、ラーソンのトップ5。



サソリの心配はないかな?

 トラックに隣接する丘陵地帯でもレースが観戦出来、観客席が満員だったため、赤いテントを張って観戦する光景も。G+中継では、この辺はサソリが出るそうで(石見さん談)、テントで囲ってあれば、安心して観戦出来るというもの。9(84)LAP、エリオットとトゥレックスのフロントローでリスタート。

 エリオットがリード、トゥレックス、ハムリン、ハーヴィック、ラーソンが続く。ハムリン、ハーヴィックとの3ワイドを抜け出したラーソンが3位に浮上。45(120)LAP、トゥレックスがエリオットを捉え、リードチェンジ。先週のマーティンズビルで優勝したアレックス・ボウマンはどこにいるかと言うと、ジョーイ・ロガーノの後ろの19位。

 今シーズン4勝を挙げていながら、ヘンドリック4台の中で一番印象が希薄なのは、こういうところだろう。<忘れた頃のボウマン>、かつてのF1中継での名フレーズの一つ<振り向けばブーツェン>(ティエリー・ブーツェン)と似てはいるが、ボウマンが今一つ目立たないのは、コンスタントに前を走っていないところにあるだろう。その点、バイロンとも違う。

 53(128)LAP、クイーン・ハフが単独クラッシュ、ブレーキシステムと言う声も聞こえる。右フロントの足回りが壊れたハードクラッシュ。これが4回目のコーションでハフは、ハンドリングのトラブルでリタイアしていたティミー・ヒルの1つ上の37位でレースを終えている。

 アンダーグリーンのピットサイクルに入ろうとしていたドライバーとしては、ちょうどいいタイミングでのコーション。リードラップカーが一斉にピットイン。エリオット(+1)、ラーソン(+1)、ハーヴィック(+1)、トゥレックス(ー3)、バイロン(ー2)のトップ5。

 61(136)LAP、エリオットとハーヴィックのフロントローでリスタート。エリオットがリード。ラーソン、ハーヴィック、バイロン、トゥレックスが追う展開。65(140)LAP、ステンハウスがウォールにクラッシュ。左フロントタイヤをカットして、火花を上げていたから、近くを走っていたエリック・ジョーンズと接触したのか?

 右フロントの足回りが壊れていたから、これはもう無理だ。5度目のコーションでステンハウスは36位で姿を消した。71(146)LAP、エリオットとハーヴィックのフロントローでリスタート。エリオットがリード、ラーソン、ハーヴィック、トゥレックス、ブレイニーが続く。

 80(155)LAP、カイル・ブッシュが、チェイス・ブリスコーを3度にわたってプッシュ、当たりどころが悪かったのかブリスコーは3度目でスピン、クラッシュ!リアが完全に潰れてしまい、6度目のコーションとなり、ブリスコーはリタイア。1度ならまだしも、繰り返しプッシュを繰り返すカイルは何を考えているのか?

 リードラップカーがピットイン。ラーソン(+1)、エリオット(ー1)、トゥレックス、ハーヴィック、ハムリン(+3)のトップ5。ラーソンとエリオットはドライバー(34.7/35.2)もクルー(11.8/12.2)とも、ラーソン陣営が上回り、0.8秒の差(46.5/47.3)でラーソンが逆転!両方ともグッジョブだ。

 タイラー・レディック、カート、ボウマン、ダニエル・スアレスの4台がステイアウト。ラーソンは2列目、エリオットは3列目のインを選択。ハムリン、トゥレックスは4列目。87(162)LAP、レディック、カートのフロントローでリスタート。ラーソンがリード、エリオット、カート、トゥレックス、ハムリンが追う。

 ステイアウト勢は全く問題にせず、コンテンダーが上位を独占。すぐにラーソン、エリオット、トゥレックス、ハムリンのコンテンダーのトップ4に戻る。コーションは多発しているが、下位グループだけだ。上位グループでは起こっていない。NASCARからしっかり釘が刺されているのだろう。

 エリオットはラーソンに一度追突する場面があってヒヤッとさせられたが、ラーソンは食い下がるエリオットを次第に引き離し、ステージ2を制した。エリオット、ハムリン、トゥレックス、ブレイニー、ハーヴィック、ケセロウスキー、カイル、ロガーノ、バイロンのトップ10。



 リードラップカーが一斉にピットイン。ラーソン、エリオット、ハムリン、トゥレックス、カイル(+3)のトップ5。198LAP、ラーソン、エリオットのフロントローでリスタート。ラーソンがリード、エリオット、ハムリン、トゥレックス、ハーヴィックが続く。

 ラーソン、エリオット。ハムリン、トゥレックス。ハーヴィック、ブレイニー・・・が2台づつ競い、等間隔で走っている。今年のヘンドリックは16勝、1-2フィニッシュ7回、3918ラップリード、いずれもNASCARの歴史において記録に残る圧倒ぶりではある。JGRは4人のドライバー併せて9勝だが、与える印象は全く違う。

 カイルがチャンピオンになった2019年はJGRが19勝を挙げた(カイル5勝、トゥレックス7勝、ハムリン6勝、ジョーンズ1勝)ことなんてあったが、勢力図はこの2年で大きく変わった。235LAP、エリオットがラーソンを抜き、リードチェンジ。240LAP、ケセロウスキーがピットイン。

 243LAP、ハムリンがラーソンをパスし、2位に浮上。245LAP、トゥレックスもピットイン、そろそろラストピットのサイクルになるか?その直後にアンソニー・アルフレードがセーファーバリアに単独クラッシュし、8回目のコーション。リードラップカーがピットイン。

 ハムリン(+1)、エリオット(ー1)、ロガーノ(+3)、ラーソン(ー1)、アルミローラのトップ5。ハムリン陣営のクルーがグータッチ。253LAP、トゥレックス、ハムリンのフロントローでリスタート。トゥレックスがリード、ハムリン、ブレイニー、ロガーノ、エリオット、ラーソンのトップ5。

 271LAP、トゥレックスがハムリンに0.811秒差をつけ、依然トップ。エリオットは1.603秒、ラーソンが2.842秒、ブレイニーは3.079秒差のトップ5。279LAP、ラーソンはトップのトゥレックスと4秒強の差をつけられ、タイトル獲得に赤信号。このままノーコーションレースで終わるのだろうか?

 その直後の280LAP、デヴィッド・スターがスローダウン、トラック上にはデブリもある。原因はどちらか分からないが、9回目のコーション。スターはブレーキトラブルでリタイア、33位に終わる。リードラップカーが一斉にピットイン。これでこれまでのレースはリセット、チャンピオンを決める大勝負になる。

 ラーソン(+3)、ハムリン、トゥレックス(ー2)、エリオット(ー1)、アルミローラ(+3)のトップ5。ここで大逆転、ラーソンがトップに躍り出た!今度はラーソンのクルーがグータッチ!289LAP、ラーソンとハムリンのフロントローでリスタート。

 ラーソンがリード、トゥレックス、ハムリン、エリオット、アルミローラが追う。トップを行くラーソンにトゥレックスが食い下がり、エリオットはハムリンを捉え、3位に。アルミローラをブレイニーが抜いて、5位にポジションを戻す。301LAP、ハムリンがエリオットをパスし、3位を奪還。

 ラーソンは徐々にトゥレックスを引き離してゆき、リードをキープして、そのままチェッカー。2021年のカップシリーズチャンピオンを決めた!今シーズン10勝目(通算16勝目)、10勝の大台は2007年のジミー・ジョンソン以来、14年ぶり。プレーオフ(チェイス)5勝は、2011年のトニー・スチュワートに並んだ。

 さらに2014年からの現フォーマットになってから、全ステージ制覇は初、と記録づくめの戴冠となった。トゥレックス、ハムリン、ブレイニー、エリオット、アルミローラ、カイル、ハーヴィック、クリストファー・ベル、ケセロウスキーのトップ10。

 11位ロガーノ、12位ディベネデット、13位カスター、16位カート、17位バイロン、18位ボウマンと言うところ。今回は9回のコーションは出たものの、純粋にchampionship4での争いとなり、全員がトップ5入り。クリーンなバトルで、シーズンを席捲したラーソンが勝ったものの、独走ではなく、最後のコーションが勝負を分けた良いレースだった。

 ラーソンはレギュラーシーズン、プレーオフとも5勝で他のドライバーを圧倒。10勝でのチャンピオンは堂々たるもので、カーナンバー5チーム一丸となっての勝利は文句なし。来年度は< Next Gen car>が導入され、2021年の構図も変わってくるに違いない。来年も熱いNASCARシーズンになって欲しい。