トラブルを乗り越え、カートが26歳で初戴冠(2004年、第36戦:ホームステッド) | 日日不穏日記・アメブロ版

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gooで公開している同名のブログ(主に身辺雑記)とは別にモータースポーツに特化して立ち上げたブログ。現在はNASCAR推し。YouTubeで全36戦を追いかけます。オフシーズンは、他のモータースポーツの記事も書きます。

 16年続いた日テレG+のNASCAR中継が終わった。始まったのは2004年だが、その最終戦:ホームステッドの再放送がHDに残っていたので、観戦記を書いてみよう。ホームステッドは当時、「Ford 400」というシンプルな名称。フロリダ州ホームステッド、ホームステッド・マイアミスピードウェイでの開催。

 この年から、レギュラーシーズン26戦とプレーオフ(チェイス)10戦に分けられ、チャンピオンの可能性を残しているのは、5人。トップはカート・ブッシュ。18ポイント差でジミー・ジョンソン、ジェフ・ゴードンが21ポイント差で続く。デイル・アーンハート・ジュニアが72ポイント、マーク・マーティンは82ポイント差となっている。

 PPはカート。解説の石見さんは、カートと、ジョンソン、ゴードン、三つ巴の戦いになると予想している。6位のトニー・スチュワートは185ポイント差でチャンピオンの可能性はない。ジョンソンは優勝し、カートが3位以下なら、ゴードンは、同じ条件でカートが4位以下であれば、シリーズチャンピオンの可能性がある。

 カートは26歳、ジョンソンが29歳、ゴードンは33歳、ジュニアも29歳、マーティンが45歳。16年前・・・皆若い。カートはラウシュ所属でカーナンバー97。チームメイトは、マーティン、グレッグ・ビッフル、マット・ケンゼス(2003年チャンピオン)、5台目をジェフ・バートンとルーキーのカール・エドワーズがシェアドライブ(1レースはデイブ・ブレイニー)。

 現在は4台体制が上限なのだが、当時のラウシュは5台体制。ケンゼスに続き、カートも勝って、2連覇を狙う。当時の観客席は、超満員。カートは今シーズン初のPP。もう1台のフロントローは、チームメイトのビッフル。ジョンソンは、39位スタート、ゴードンは5位スタート。

 カートは、今シーズン3勝。26歳でチャンピオンを獲れば、史上3人目の若さでの戴冠になる。ジョンソンは8勝。ゴードンは3年ぶり、5回目のタイトルを狙う。当時のNASCARは、ネクステルカップシリーズ。グリーンフラッグ。イン側スタートのカートがリード。ビッフルが続く。

 マイク・ブリスがいきなりのスピン。もう1台いるが分からない。スタート直後にコーション発生。5LAPにリスタート。カート、ビッフル、ライアン・ニューマン、ケイシー・ケイン、ゴードンのトップ5。6LAPにビッフルがインからカートをパスして、リードチェンジ。

 同LAP、ケイシー・メアーズ、ジェフ・バートン、他複数台が巻き込まれたアクシデント。バートンのスピンにロビー・ゴードンが追突。ジョンソンもダメージを負っているようだ。早くも2回目のコーション。10LAPリスタート。気になったのだが、グリーンフラッグ以外は、シングルファイルのリスタートなのだろうか?

 ビッフルがリード。カート、ニューマン、ゴードン、ケインが続く。11LAP、ゴードンがニューマンを捉え、3位に。ジョンソンは25位まで順位を上げている。さらに13LAP、ゴードンがインからカートを抜き、2位に浮上。14LAP、カートはニューマンにも抜かれ、4位にドロップ。

 15LAP時点でもポイントランキングは、カートがゴードンに16ポイント差をつけ、トップ。ジュニアが103ポイント、ジョンソンは113ポイント、マーティンが123ポイント差と、今と違って、順位によるポイント差が大きく変わる。優勝で185ポイント、2位が170、2位から6位まで5ポイント、6位から11位まで4ポイント、11位から43位まで3ポイントづつ減算。

 最多リードラップで5ポイント加算という、今のカップシリーズとはかなり違うポイントシステム。43LAP、ジョンソンは、18位までポジションアップ。カートは、ニューマンを抜き返し、3位に順位を戻している。48LAP、デブリで3回目のコーション。

 リードラップカーが一斉にピットイン。53LAP、ビッフル、カート、ゴードン、ケビン・ハーヴィック、ニューマンのトップ5でリスタート。今度はシングルファイルではないリスタート。ピットイン後のリスタートは、2列スタートなのだろうか?57LAP、ジョンソンは14位に浮上。

 ニューマンは、ランキング7位でシリーズチャンピオンの可能性はもうない。PP9回、2003年シーズンは、8勝を挙げているが、1勝のケンゼスにタイトルを攫われている。この頃のニューマンがロケットマンと呼ばれていたんだな。現在のように粘り強く、確実に上位へ食い込んでいる走りとはかなり違う、浮き沈みの激しいドライビングだったようだ。

 ニューマンは現在までで通算18勝、PP51回は、現役最多だろう。2004年時点でフル参戦3年目で、すでにキャリア10勝を挙げている。そのニューマンが、3位のゴードンに迫る。4度のチャンピオン、ミスターNASCARと実況も言っていたが、この時点で通算69勝。

 ジョンソンもまだシリーズチャンピオンを取っておらず、現役ドライバーの中では群を抜く実績。僕がNASCARを観始めた2013年当時では、過去のドライバーになりかけていたから、かなり印象も違う(2015年を以てフル参戦終了、翌年にスポット参戦で8レースのみ走り、引退している)。

 87LAP、デイル・ジャレットが2度目のピットイン。既にゴードンは、ニューマンにパスされ、4位に下がり、ハーヴィックが5位。6位にスチュワート。ジョンソンは7位にいる。89LAP、ハーヴィックがジョンソンをインからパス。カートがスローダウン。そのままピットロードに向かう。

 そのカートの右フロントタイヤが外れて、トラック上を転がってゆく。これで4回目のコーション。足回りが壊れてなければいいんですが・・・と石見さん。異常事態にクルーチーフが身を乗り出して戦況を見つめている。カートが大きく順位を下げ、ゴードンがランキングトップに。ジョンソンが11ポイント差、カートは55ポイント、マーティンが89ポイント、ジュニアは84ポイント差となっている。



 リードラップカーがピットイン。カートも再ピットイン。タイヤが外れたところのチェック、リードラップの最後尾だろう。98LAPにリスタート。ビッフルトップ、ニューマン、ハーヴィック、スチュワート、ゴードンと続く。カートは28位からの追い上げとなる。

 114LAP、ジェレミー・メイフィールドがウォールにクラッシュ!白煙を上げ、スローダウン。これが5回目のコーション。メイフィールドの右フロントが大破、発火している。そのままガレージへ。これはもう無理だろう。ビッフル、ゴードン、カートはロングピット、ジャッキが落ちたのか、上げなかったのか。カートのピットも浮足立っているようだ。

 ゴードンは2タイヤで出て行ったが、再ピットインし、左タイヤも交換。一時期、僅かに雨が降ってきたようだったが、それも回復してきたように見える。ポイントランキングは、ジョンソンがカートに48ポイント差をつけてトップに。ゴードンは77ポイント、ジュニアが81ポイント、マーティンは95ポイント差と変わっている。

 132LAP、リスタート。ニューマンが飛び出し、エリオット・サドラー、ジョンソン、ビッフル、ケンゼスが続く。2タイヤ、あるいはステイアウト勢がいるのだろうか?今のように順位とタイヤ交換が表示されないので分からない。133LAP、ビッフルがジョンソンを捉え、3位に浮上。このレースのビッフルは実に速い。

 ビッフルは、既にサドラーを抜いて2位にポジションを上げている。サドラー(1975~、カップ戦3勝)は、カーナンバー38、今のカイル・ブッシュのM&M'sカラーで走っているが、「Yates Racing」所属でJGRではない。この年のカイルは、ブッシュ・シリーズのルーキー・オブ・ザ・イヤーで、カップシリーズでは、ヘンドリックから9レースに出場しているが、目立った成績は残していない。

 141LAP、ケンゼスがピットイン。27.7秒のロングピットで、ラップダウンは必至。143LAP、ジョンソンがサドラーを抜いて3位となる。一方、ケンゼスはピットスピードバイオレーションで再ピットイン。30ポイントリードのジョンソンは、ここ5戦で4勝(シャーロット、マーティンズビル、アトランタ、ダーリントン)の固め打ち。

 3シーズン目のフルシーズンでの参戦だが、既に14勝。ランキング5位、2位と来ており、チャンピオン候補筆頭。147LAP、ビッフルがニューマンをインからパスし、リードチェンジ。どうやら、ビッフルとジョンソンの優勝争いになりそうな感じだ。その直後、マイク・ブリスがウォールにクラッシュし、6回目のコーション。

 リードラップカーが一斉にピットイン。152LAPリスタート。スチュワートがリード。ハーヴィック、ボビー・ラボンテ、ビッフル、ジェイミー・マクマーレイが続く。155LAP時点で、カート17位、ゴードン18位、そしてジュニアが21位と大きく順位を落としている。

 156LAP、サドラーがウォールにクラッシュ!これが7回目のコーション。かなりレースが荒れている。161LAPにリスタート。スチュワートに、ビッフル、ハーヴィック、ラボンテ、マクマーレイが続く。すぐにビッフルがスチュワートを躱し、リードチェンジ。

 163LAP、ケインがウォールにクラッシュ、トラックを横断してマシンストップ。トラビス・クヴァピルは後ろからジュニアにヒットされ、ケインとは逆にイン側のウォールにクラッシュして、縦断してアウト側のウォールにヒット。レースが全然進まない。リプレイを観ると、ケインのクラッシュに反応して、クヴァピルが減速し、ジュニアがヒットしたようだ。

 これが8回目のコーション。171LAPにリスタート。スチュワート、ビッフル、ラボンテ、ハーヴィック、マクマーレイのトップ5。が、ブラッグフラッグが出ている。ウェービングのやりすぎに関するスチュワートへのペナルティなのか。さらにデブリ。9回目のコーション。ここまで続くとうんざりしてくる。

 リードラップカーがピットイン。カートは19.6秒のロングピット。「これじゃ勝てないね、今日」。右のフロントタイヤの交換に手間取っていると石見さん。現時点では、ゴードンがトップ。ジョンソンはー36ポイント、カートが43ポイント、ジュニアは69ポイント、マーティンが103ポイント差になっている。

 178LAPリスタート。ステイアウトのラボンテがトップ、ニューマン、ラスティ・ウォレス、ゴードン、J・アンドレッティが続く。8位ジュニア、14位ジョンソン、15位マーティン、カートは24位となっている。これだけ上位勢が入れ替わっているということは、結構ステイアウトが他にもいるんだろう。

 マーティンが映されている。これまでの史上最高齢のシリーズチャンピオンは、ボビー・アリソンの45歳11か月28日(1937~、1983年、キャリア84勝)、マーティンがチャンピオンになれば、45歳と10ケ月で史上2番目の高齢チャンピオンになっている。

 184LAP、ニューマンがラボンテをパスし、リードチェンジ。ゴードンはその後ろにいる。リードラップ5ポイントのボーなるポイントが欲しい。188LAP、マーティンがジュニアをパスし、6位に浮上。ジョンソンも続く。191LAP、ジェフ・バートンのマシンから白煙。タイヤか、エンジンかは分からない。そのままレースは、続行されている。

 トラック上にバートンのアウト側のタイヤが剥離し、煙を上げている。これが10回目のコーション。リードラップカーがピットイン、196LAPリスタート。マーティンがトップ、マーティン・トゥレックス・ジュニア(2004、5年ブッシュ・シリーズチャンピオン。2004年から、カップシリーズにスポット参戦)、スターリン・マーリン(1957~、カップ戦10勝、チップ・ガナッシ)、マイケル・ウォルトリップ、ウォレスとトップ勢がまたも大きく入れ替わる。

 198LAP、ここで18位のカートがゴードンに1ポイント差ながら、トップに戻る。ジョンソンは2ポイント、マーティンが11ポイント、ジュニアは65ポイント差と目まぐるしく順位が変わる。199LAP、デブリで11回目のコーション。マーティン、マーティン、ジュニアら、リードラップカーの一部がピットイン。



 ゴードン、ジョンソン、カートの3台がピットイン。208LAPリスタート。カーナンバー2のウォレスがトップ、マクマーレイ、ビッフル、ニューマン、ラボンテが続く。20位ジョンソン、21位ジュニア、23位ゴードン、24位にカート。カートは射程圏にジョンソンとゴードンを収める。

 212LAP、カートがジョンソンに8ポイントをつけ、依然トップ、ゴードンは12ポイント、マーティンが79ポイント、ジュニアは80ポイント差になっている。220LAP、カートがジュニアを捉え、18位に。ゴードンとは5ポイント、ジョンソンとは8ポイント差。

 224LAP、ジェフ・グリーンがエンジンブロー。12回目のコーション。ジョンソンがピットに向かい、ゴードン、カートはステイアウト。ウォレス2タイヤ、ビッフルは4タイヤをチョイス。コーション間にカートのクルーチーフ、ジミー・ヘニングや、ジョンソンのチャド・カナウスなど、各陣営にインタヴューを行っている。字幕は出ない。

 マーティンがスローパンクチャーでピットイン。これでチャンピオンの目はほぼ消えた。カートが6485ポイントでトップ、ゴードンが5ポイント、ジョンソンは15ポイント、ジュニアが96ポイント、マーティンは131ポイント差となっている。ここにラップリードの5ポイントが加算される。カートはすでに獲得しており、ゴードンとジョンソンにそれはない。

 カートとの差は、さらに5ポイント加算されるわけで、数値以上にこの差は大きい。カートは、ゴードンとジョンソンの動向を見て動けば良いし、ビッフルは、優勝してゴードン、ジョンソンの優勝を阻めばいい。マーティンは、カートのサポート役に回るしかないだろう。

 232LAPにリスタート。ニューマンがトップ、スチュワート、デイル・ジャレット(1956~カップ戦:通算32勝)、ハーヴィック、ゴードンが続く。233LAP、ゴードン4位、ジョンソン8位、カート9位。238LAP、スチュワートがニューマンを捉え、リードチェンジ。243LAP、カートがハーヴィックをインからパス、8位に。ジョンソンは6位。ニューマンがスチュワートを抜き返して、現在リーダー。

 245LAP、カートはゴードンに12ポイント、ジョンソンに19ポイント差。ヘンドリック2台に優勝する力はなさそうに見え、このままのポジションをキープすれば、チャンピオンを獲得する可能性は高い。251LAP、リッキー・ラッドを抜いて6位に。これでゴードン、ジョンソン、カートが4~6位。カートは、マシントラブルがなければ、ほぼチャンピオンを視野に捉えた。

 252LAP、追い上げてきたチームメイトのビッフルにカートはポジションを譲る。モーメンタムのあるビッフルがゴードンやジョンソンを捉えてくれれば、カートにとって悪くない。意地を張って粘る必要はない。この辺を観ていると、カートは、随分成熟しているように思える。まぁ、クルーチーフの指示だろうけども。

 254LAP、トゥレックスが左リアがバーストして、マシンがめくれ上がり、デブリを撒き散らす。これが13回目のコーション。近年のプレーオフで、4人のコンテンダーに周囲のドライバーが気を使って淡々とレースが進む近年のホームステッドとは思えないほどの大荒れぶりだ。

 失うもののないマーティン、ジュニアが4タイヤチェンジ。ゴードンがニューマン、スチュワート、ジャレットの3台を抜いて優勝すれば、5度目の戴冠になる。そうならなければ、カートがケンゼスに次いで2年連続のラウシュがチャンピオンになる。カートをあっさりパスした最多リードラップのビッフルの動向も気になる。

 ニューマン、スチュワート、ジャレット、ゴードン、ジョンソンのトップ5で258LAPリスタート。カートはゴードンに8ポイント、ジョンソンに10ポイント差。ゴードン、ジョンソンともに優勝しなければ、チャンピオンは獲れない。ビッフルがゴードンをパスし、5位にドロップ。ジョンソンが続く。カートは8位にいる。

 264LAP、ビッフルがジャレットをパスし、3位に浮上。さらに上を目指す。265LAP、トップのニューマンがウォールにクラッシュ、これが何と14回目のコーション。グリーン・ホワイト・チェッカーが導入される。これでスチュワート、ビッフル、ジャレッド、ゴードン、ジョンソン、カートのトップ6で、コーションラップ。

 カートが6501ポイントでトップを守り、ゴードンがー16ポイント、ジョンソンはー18ポイント。マーティン、ジュニアには、もはやチャンピオンの可能性はない。ジャレッドがガス欠でスローダウン。ケイシー・メアーズがプッシュしている。ゴードン、ジョンソンとも、トップに立ち、カートが3位、もしくは4位に留まればチャンピオンの可能性が出てくる。最後の大勝負だ。

 グリーン・ホワイト・チェッカーのリスタート。ゴードン、ジョンソンがトップのスチュワートを狙う中、アウトからビッフルがスチュワートをパス。ジョンソン、そしてゴードンが続き、ホワイトフラッグ。カートは5位。ヘンドリックの2台はビッフルを抜いてトップに立ちたい。

 が、逆にビッフルは2台を引き離してゆく。カートは5位をキープ。そのままビッフルがトップでチェッカーを受けた。ジョンソン、ゴードン、スチュワート、カート、ブレンダン・ゴーン、マクマーレイ、ウォレス、ラッド、ハーヴィックのトップ10。ラウシュ・レーシングのチームプレイでカートがチャンピオンに。

 カートは、26歳3ケ月、史上3番目の若さ。1位、2位は分からないが、ゴードンは1995年に24歳でチャンピオンになっている。カートは優勝したビッフルに挨拶。2人はあまり仲が良くないらしいがw。最終ポイントは、カートが6506ポイント、ジョンソンはー8、ゴードンがー16、マーティンはー107、ジュニアがー138ポイントだった。

 まずは、ジミー・ヘニングにインタヴュー。「(優勝おめでとうございます。チャンピオンシップを制したクルーチーフです)」「あれがチャンピオンシップチームと「チャンピオンシップドライバーさ。最高だよ」「(今朝は「これからだ」と言っていましたが、ロビー・ルーマスと握手しています)」。



 「トラブルとか、いろいろな事があったけど、みんな決してあきらめず、ここまで来れた。カート・ブッシュは素晴らしいね。彼はまさにチャンピオンさ」。カートはチャンピオンフラッグを持ってビクトリーラン。逆走してきたビッフルとカートは、軽く言葉を交わす。

 チャンピオンシップポイントの6位以下は、スチュワートがー180、ニューマンはー326、ケンゼスがー437、サドラーはー482、ジェレミー・メイフィールドがー506ポイントだった。続いてジョンソンにインタヴュー。「(8ポイント届きませんでしたが、見事な追い上げで「チェイス」を盛り上げましたね)」。

 そうだね。チャンピオンシップに勝てなかったのは残念だけど、4-5週前は争える状態ではなかったからね。ローズやヘンドリックのみんな。そしてエンジンを開発してくれたランディ・ドートン、マネージメント担当のジェフ・ターナー、その他、ジョン・ヘンドリックと2人の娘さん、2人のパイロットとスコット・レイサム他、亡くなったみんなを始め、多くの人達のサポートに支えられた素晴らしいチームさ」。

 「あの事故で多くの人を失ったけど、ここまでこれて良かったと思っている。勝てれば最高だったけど、100%やれる事はすべてやって届かなかったんだ。来年また頑張るよ」。2年連続でランキング2位のジョンソン。表情もまだ若い。

 ゴードンはジョンソンとは逆にサングラスを外してインタヴューに応える。「(16ポイント差でチャンピオンを逃しましたが、最後のリスタートは見物でしたね)」「そうだね、出来る限りの事はしたよ。実際、勝てるレースは何度かあったんだけどね。フラットの左リアタイヤに1日中苦労したよ」。

 「ロビー・ルーマスを始め、素晴らしい車に仕上げてくれたチームを誇りに思うよ。レース序盤は苦しんだけど、その後、車はどんどん良くなっていった。最後2回のリスタートは、チャンピオンシップに関係なく勝ちたかったよ。いい1日だったし、デュポン、シボレーチームにとっていい1年になった」。

 「デュポン、ペプシ、クイッカーステイツ、CMAC、レイズ、グッドイヤー他、みんなのサポートのおかげさ。シボレーもマニュファクチャラーのタイトルを喜んでいたしね。カート・ブッシュとラウシュレーシングにはおめでとうと言いたい。彼らは1年を通して素晴らしかったよ」と言い、コーラを飲んでいた。
 
 ビクトリーレーンでビッフルはコーラを手に両手を突き上げ、喜びをアピール。「(スチュワートをパスした時と、「ジェフ・ゴードンとのコンタクトについて聞かせて下さい)」「リスタートでガス欠になりそうだったスチュワートと接触しそうになっただけさ。長い1年だったよ。友人のランディドートンを失ったりね」。

 「まず、この勝利を彼らに捧げたいね。そしてカートには、おめでとうだね。この16番のチーム、そして僕もドライバーとして、来年に向けて何かを示すことが出来たと思う。他には、他には国の為にいろいろやってくれている兵士たちにも感謝したいね。本当にうれしいよ。ラウシュレーシングにとってとってもいい1日になった」。

 「家族がここにいればもっとよかったけどね」「(フォードから、「フォード400」のトロフィーです」。一見、ちゃっちいトロフィーを受け取り、ビッフルは、コーラを再び口に。34歳のビッフルはキャリア3勝目。ホームステッドでは、2005、6年と3連覇。2005年は、6勝を挙げ、ランキング2位となり、上昇気流に乗ってゆく。

 カートが戻ってきた。ジャック・ラウシュの祝福を受ける。ネクステルカップのチャンピオントロフィー(ティファニー製)を受け取り、大歓声を受ける(2004年からネクステルカップシリーズ、それ以前はウィンストンカップシリーズ)。「(おめでとうございます。2004年のシリーズチャンピオンですね)」。

 「信じられないよ。チーム全体で、ここに立つためにやってきた。1年間通してやり遂げたんだ。いろいろ困難があったけど、乗り越えてここまで来た。信じられないけど、全てうまくいったよ」「(始めに右フロントホイールについて聞かせて下さい)」「最初の50周は、再びすごい振動を感じていたんだ」。

 「そのままなんとか持ちこたえたけど、上からフタをしたい気分だったよ。チームが1年間屋ってきた事の結果を出せた信じられないよ。このチャンピオンシップはジミー・フェニッグのおかげさ。チームの為、そしてこの車の為に、いろいろやってくれたのは彼さ。そして数週間前にヘンドリックをおそった悲劇には言葉を失ったよ」。

 「彼らの事は大好きだったからね。チャンピオンシップから捧げられるものは、全て彼らに捧げるよ。僕の弟はショックを受けていたからね。人事には思えなかったよ」「(弟カイル・ブッシュは、ブッシュ・シリーズでヘンドリックの車に乗っていますからね。ニューヨークでは、後ろのステージにいるみんなと大祝勝会になりそうですね)」。

 「スポンサーを始め、全ての関係者が来る予定さ」「(ジャック・ラウシュも出席予定ですね)」「ジャックは本当のコンペティター。レースそのものと言えるよ。彼の助けがあって、彼のおかげで、今の自分がある。2001年の頃は、多くのミスをして、このレベルには、程遠かった」。

 「それでもスポンサーはついて来てくれた。素晴らしいスポンサーに恵まれて共にここまで来ることができたよ」。表彰式では、
5億円以上の賞金が授与される。ゴードンとハグ。この辺は、4タイムスチャンピオンの貫禄か。ただ、2015年にフル参戦を止めるまで、一度も戴冠出来なくなるとは、夢にも思沸かなかっただろうが。

 そして、カートは2005年を以て、ラウシュを離脱。ペンスキーへと移籍する。ラウシュは、この年以降チャンピオンを獲得していない。今、そのラウシュには、SHRレーシング、リチャード・チルドレスを経て、ニューマンがシートを得ている。カートもまだ若い。そして2019年に2度目の戴冠をしたのは、弟カイルだ。

 それにしても、ステージ制じゃなく、ノックアウトシステムじゃないNASCARのチャンピオンシップも十分面白いじゃないか。あれだけトラブルを抱え続けたカートが、最後にジョンソン、ゴードンを抑え切ったホームステッドは、最高に面白かった。カートはお気に入りドライバーだけにとりわけ嬉しい。