最強SHRトレインが最後まで・・・アルミローラが今季初勝利!(NASCAR第31戦:タラデガ) | 日日不穏日記・アメブロ版

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gooで公開している同名のブログ(主に身辺雑記)とは別にモータースポーツに特化して立ち上げたブログ。現在はNASCAR推し。YouTubeで全36戦を追いかけます。オフシーズンは、他のモータースポーツの記事も書きます。

 Round of 12第2戦タラデガ。「1000Bulbs.com 500」は、アラバマ州タラデガ、タラデガスーパースピードウェイでの開催。秋のシャーロットが、ローバルになったために、年2戦開催のレースで500マイルを走るのは、テキサスとタラデガだけになった。

 冒頭の映像では、カイル・ブッシュとマーティン・トゥレックス・ジュニアが、ジョーイ・ロガーノとブラッド・ケセロウスキー、クリント・ボウヤーが話し込んでいる。リストリクタープレートレースだけに、トヨタ、フォード陣営ともに交流を深めているのか。

 PPは、今シーズン単独最多5回目のカート・ブッシュ(27回目)。クリント・ボウヤー、ケビン・ハーヴィック、エリック・アルミローラのSHRの1-2-3-4。さらにチェイス・エリオット、ジミー・ジョンソン、アレックス・ボウマン、ウィリアム・バイロンのヘンドリック・モータースポーツの4台が続き、カイル・ブッシュ、デニー・ハムリン、リッキー・ステンハウス・ジュニア、ダニエル・スアレスのジョーギブス・レーシング勢・・・。

 ステンハウス(ラウシュ・フェンウェイ・レーシング)は別にして、これだけ予選で、フォード、シボレー、トヨタの勢力図がはっきり表れるのは珍しい。

 大きなニュースが入ってきた。17年間、ジミー・ジョンソンのクルーチーフを務めてきたチャド・カナウスが24号車、ウィリアム・バイロンにスイッチ、ジョンソンのクルーチーフには、ジュニア・モータースポーツでエリオット・サドラーのクルーチーフを務めてきたケニー・メンデリックに交代するという。

 エクスフィニティシリーズのクルーチーフをジョンソンの担当にするというのも大手術だが、バイロンがカナウスのプレッシャーに潰れてしまわないか、と心配になる。17シーズン、81勝、7回のチャンピオンになった名コンビが遂に解散。

 2002年にジョンソンがフル参戦した年からタッグを組んでいた2人には不仲説の流れてはいた。今年、ジョンソンの連続シーズン勝利が途絶える可能性が高く、コンテンダーもすでに脱落している今、大鉈を振るうにはいい時期なのかもしれない。

 第30戦:ドーバーで、チェイス・エリオットが優勝を決め、Round of 12を突破。ハーヴィックが+68ポイント、カイルが+63と大きくリード。カットライン下は、ボウマンは、-34と崖っぷち。残り2戦あるとは言え、優勝が必須条件だ。

 フライオーバーは、F18戦闘機/VFA213ブラックライオン。リアに下がるのは予選後のアジャストをしたカイル・ラーソン、ジョーイ・ゲース、コーリー・ラジョイ3台。

 レースアナライシスは、2.66マイルを188LAPの500マイルを3ステージ(55+55+78)制。ピットロードは55マイル、フューエルウィンドウ45~48LAP。NASCAR人気の低下が言われるが、タラデガスーパースピードウェイの観客席は、ほぼ満席で気持ちがいい。

Stewart-Haas Racing puts on drafting clinic to dominate Stage 1



 グリーンフラッグ。カートがリード。ハーヴィック、アルミローラ、ボウヤーが続き、早くも<トレイン>が完成。2LAP、デヴィッド・レーガンがスローダウン。パワーダウンして、ケセロウスキーが追突しそうになった時点で、すぐにアウトに外れる。ナイスムーブ。

 5LAP、5位のバイロン、ジョンソン、エリオット、ボウマンのヘンドリック勢が、インラインでSHRのトレインに続く。アウトラインは、カイルを先頭にJGR勢が対抗。11LAP、ジェフリー・アーンハートが単独スピン、1回目のコーションが発生。

 リードラップカーがピットイン。殆どのマシンがフューエルオンリー。カート、ボウヤー、アルミローラ、ハーヴィックのSHRが1-2-3-4。カイルが5番手。15LAP、カートがアウトからリード。ボウヤーが続き、遅れたアルミローラ(意図的?)の前にハーヴィックが入り、再び<トレイン>を作る。

 15LAP、ポール・メナードがアンスケジュールのピットイン。一時、挙動を乱しており、4タイヤチェンジ。19LAP、<トレイン>の後ろにカイル、バイロン、エリオットが1つの集団を作り、ロガーノ、ケセロウスキー、ジョンソン以下、第2集団を引き離す。

 SHRトレインが盤石。後方数台がついていくものの、カイルが外れ、後方に下がり、単独走行となって、じりじりと後退。41LAP、ケセロウスキーがバイブレーションでピットイン。4タイヤチェンジ、43LAPには、ラップダウン。

 SHRに続いていたペンスキートレインが早くも崩れる。ヘンドリックは、ロガーノ、ブレイニーにエリオットが追う展開ですでにトレインは崩れている。ケセロウスキーは、ハムリンを先頭とする第3集団にもパスされ、第3集団の最後につくが1ラップダウンの34位だ。

 4台の<トレイン>は一糸乱れぬ走行が続く中、アルミローラの無線。解説は福山さんだ。「今のは、ハーヴィックは選手権ポイントで余裕があるので、アルミローラ少ないから、ステージ1の終わりで僕を前に出してくれないかなっていうリクエストですね」

 アルミローラは東京都、マーティン・トゥレックス・ジュニアと2ポイント差でカットラインの下。1ポイントでも多く欲しいということなのか。ケセロウスキーは、-25ポイントでプレーオフスタンディングの10位。これは危ない。

 「この隊列を作っているのは、トニー・スチュワートの存在が大きいかもしれませんね。各クルーチーフのその上に、総監督がいて、そして4台を隊列を作らせてるっていうね、チームメイト全員を束ねているっていうね」レース前に、スチュワートがハーヴィックと話し込んでいる姿も見えたし、確かにそうかも。

 ファイナルラップ。アルミローラがハーヴィックに仕掛ける、が譲らず。カート、ボウヤー、ハーヴィック、アルミローラ、ロガーノ、ブレイニー、エリオット、ハムリン、ボウマン、タイ・ディロンのトップ10。

Jimmie Johnson gets loose, spins early in Stage 2



 「ハーヴィックケチでした。ポイントくれませんでした」「これちょっとね、ヤバいですよ。もう予選からかなり速いので、この4台はね。トヨタ勢をコンマ5秒離していると冒頭に話しましたけれども、それ凄いことですから」

 リードラップカーがピットイン。エリオットはガス欠で、ステージ1終了後、ピットクローズになっていたが、ピットイン。ペナルティを受けている。ブレイニー、ボウヤー、カート、ハーヴィック、ハムリン。アルミローラは8番手スタート。

 コリー・ラジョイがフリーパスを得、ケセロウスキーはステイアウトでラップバック。6(61)LAP、リスタート。4タイヤチェンジだったブレイニーがトップに立ち、ボウヤー、ハーヴィック、カートが続く。アルミローラは、ロガーノに続くアウト側の2位にいる。

 「(ブレイニーを)抜こうと思えば、ボウヤーがぱっと右に出れば、4番、41番もついていくと思うんで、簡単に抜くことは出来ると思うんですけどね、まだ10番が来るのを待っているのかもしれないですね」

 その直後の62LAP、ジョンソンが単独スピン、3回目のコーションが発生。ジョンソンはイン側のウォールにヒット。ジョンソンは先ほどのデータに加え、コカ・コーラ600、ブリックヤード400で4勝、サザン500で2勝、デイトナ500で1勝と輝かしい戦績を誇る。

 リードラップカーが一斉にピットイン。フリーパスはランドン・カッシル。ハーヴィック、ボウヤー、カート、アルミローラ、ハムリンのトップ5。各マシンフューエルオンリー。12(67)LAP、リスタート。イン側からハーヴィックがリード。アウトからカイルが伸びるが、後方のT・ディロンが遅れ、カイルも下がる。

 タイは、アウト側に外され、ズルズルと下がる。再びハーヴィック、ボウヤー、アルミローラ、カートの<トレイン>が完成する。アウト側は、カイル、スアレス、ジョーンズのJGRトレインで対抗する。15(70)LAP、カイル前へ。

 「ここでちょっと、ケビン・ハーヴィックの前に入れると面白い。入れないか」、ハーヴィックは抜き返す。「スチュワート・ハースのこのインサイドの車間距離と、その左右の位置の隊列が本当に秩序正しい。と言うか、キレイに行ってますね」

 SHRの4台の後ろにはハムリン。4台がカイルの前に出た以上、カイルの前にハムリンが入るのもアリだが、カイルがアウトに膨れ、単独走行に。後方に下がっていく。アウト側のトレインは、ほぼ消え、シングルファイルに。 ジョーンズをトップに第2集団が出来るが、バラけており、<トレイン>には、なかなか追いつけない。

 チーム、エンジンサプライヤーの枠を超えて、SHR包囲網を作らないと、勝ち目がない。27(82)LAP、ハーヴィックのトップは続き、ボウヤーが0.11秒、アルミローラは0.23秒、カートが0.30秒、ハムリンは0.40秒差で追っている。

Kyle Larson's championship hopes take a hit after blown tire, spin at 'Dega



 リーダーボードでケセロウスキーが+2、アルミローラは+0、ブレイニーがー0、トゥレックスはー1。トゥレックスが遂にカットラインの下に落ちた。3連勝のケセロウスキーも危ない。37(94)LAP、<トレイン>が変わらず、トップ4を独占。ハムリン、ロガーノ、ブレイニー、ボウマンの8台が第1グループ。

 43(98)LAP、第2グループがインラインのブレイニー、ケセロウスキーらと、ボウマンをトップとするアウトラインの2つに分かれ、ケセロウスキーがバランスを失い、インラインのジョーンズが、ボウマンの前に入るなど、統制が取れない。左リアが良くないと無線を入れたトゥレックスは24位。「トゥレックス・ジュニア。まぁ、ビッグ3と言われ、今シーズンを席捲してきた一人ですけども、落ちないとも限らないですからね」

 「トップの一列の体制が全く崩れないのを見ると、やはり前が速いということが窺えます」「少し余力があるような気がしますね。スチュワート・ハースにね、どう切り崩していくか」49(104)LAP、ラーソンが単独スピンし、4回目のコーション。

 突然マシンが横を向き、コースを横断。ケセロウスキーとの接触は奇跡的に起こらず。「右フロントフェンダーが壊れているから、どこにも当たってないのに。タイヤですね・・・目の前を横切られたら、ちょっと肝冷やしますよね、これ。でも、アクセル緩めてないよ、ケセロウスキー。アクセル緩めるなり、ブレーキ踏んだら、もっと下がるんだけど、踏んだままでしたね、今ね」

 リードラップカー後方がピットイン、トゥレックスはロングピット。トップ9台リスタート。ハーヴィック、ボウヤー、アルミローラ、カートのSHRトップ4は変わらない。53(108)LAP、リスタート。ハーヴィックがアウトからリードし、すぐにインのボウヤーの前に入る。カート、アルミローラが続き、再びインラインで<トレイン>形成。

 アウトライントップのロガーノは順位を下げてゆく。ロガーノの後ろはリーガン・スミス。ケインは今シーズンこのまま戻らないらしく、フェードアウトする可能性が高い。そのままファイナルラップに。SHRの1-2-3-4体制は、グリーンフラッグ中に崩れたのは、わずか2ラップだけという恐るべきデータがアナウンスされる。

 ハーヴィックがそのままステージ2を制し、ボウヤー、カート、アルミローラと、またSHRがトップ4独占。まさに「岩盤規制」って冗談を言いたくなるほどの徹底ぶりだ。5位にハムリン、以下、ブレイニー、カイル、オースティン・ディロン、ロガーノ、ケセロウスキーのトップ10。

 リードラップカーがピットイン。が、4回目のコーションでのピット組は少なからずステイアウト。フリーパスはラーソン。スアレス(+13)、トレバー・ベイン(+14)、マット・ディベネデット(+17)がフューエルオンリー。4タイヤのハーヴィックが4位、同じくフューエルのみのゲース(+12)が続く。

Jamie McMurray blows tire, hits wall and winds up in grass



 6位のカート以下は、4タイヤ。ステイアウトは8台で、4回目のコーションでのピット組も、スプラッシュと4タイヤ組に分かれたようだ。<トレイン>はここで初めて崩れた。ケセロウスキーとバイロンのフロントローで、116LAPリスタート。

 ケセロウスキーがリード、バイロンが続く。直後、ジェイミー・マクマーレイがメナードに寄せて、弾く。一度はコースアウトしたものの、メナードはすぐに戻り、バイロンの後ろにつける。「ここまでの流れを見たらですね、ペンスキー勢だとか、ヘンドリック勢だとか、言ってる暇はないんですかね。スチュワート・ハース以外で固まらないと。勝負にならないくらい強いですね、今日ね」

 マクマーレイに、ブラッグフラッグが出て、パススルーのペナルティ。ピットへ向かう。2013年のタラデガ以来優勝がなく、来シーズンの去就が決まっていない。120LAP、アウト側トップに6位のアルミローラ、ボウヤーが7位。SHR勢が徐々に上位へ顔を出してくる。

 123LAP、アウトからバイロンがトップに立つ。125LAP、バイロン、ケセロウスキーの後ろにアルミローラが3位まで順位を戻す。バイロンが一瞬判断が遅れた、ケセロウスキー、ロガーノが1-2。アウト側にポジションを戻したバイロンの後ろにはカートの姿が。

 「トップグループが、こうやって動くとスチュワート・ハースにチャンスが生まれてくるよね、もう41がすぐ後ろにいるからね」カートの内側にアルミローラの姿が。「じわじわ集まって来てますよ。あんまり先頭争いが動くと、こういうことになってきますよね」

 131LAP、ケセロウスキーの後ろにカートとハーヴィックがつける。4台の<トレイン>を作ることが目標でスピードのあるスチュワート・ハースと、烏合の衆でポジションを争っている他のチーム。徐々に再び<トレイン>が出来かかっている。

 137LAP、マクマーレイがウォールにクラッシュし、グラスでストップ。6回目のコーション。タラデガ2勝を含め、リストリクタープレートレース4勝を誇るマクマーレイだが、マシンを降りない。ここでリタイアしたのかと思っていたが、7ラップダウンの35位でレースを終えている。

 リッキー・ステンハウス・ジュニアがここでフリーパスを得る。リードラップカーは一斉にピットイン。カート、ケセロウスキー、ハーヴィック、ブレイニー、ボウヤー、アルミローラまでが、2タイヤチェンジ。4タイヤをチョイスしたロガーノは、8位まで順位を下げている。

 142LAP、リスタート。インラインにカート、ハーヴィック、アルミローラ、ボウヤーの<トレイン>が再び完成(後のリプレイでアウトにいたアルミローラが、ハーヴィックとボウヤーの間のインラインに入る。意図的にスペースを開けたのか、偶然なのか?)。アウトラインは、ケセロウスキー、ブレイニー、ロガーノがペンスキートレインを作るが、SHRのラインの方が速い。

 150LAP、シングルファイルに。現地では既に、フューエルマイレージの話題が出てきている。そもそもコーションのタイミングで、残り51LAP。フューエルウィンドウは、44~48LAPで、コーションラップを含めても、ギリギリ。ここはシリーズ最大、2.66マイルのスーパースピードウェイなのだ。

Late wreck shakes up finish, knocks Alex Bowman out of contention



 カイルとトゥレックスがアウトに外れ、順位を下げてゆく。「(アクシデントに巻き込まれたくない)そういうことでしょうね。レースは最後の最後でしょうから、これからコーションも多発する、データとしては、そういう事が多いわけで・・・最終スティントのコーションに巻き込まれたくないということでしょうね」

 そのまま下がった2台は第3グループに吸収されている。160LAP、デブリで7回目のコーション。DJ・ケニントンのピットから、タイヤが転がっている。それを避けるマシンもあり、フューエルが厳しく、下位グループでは、アンダーグリーンで入っているマシンがいるようだ。

 ただ、タイヤはコース外のグラスで止まっている。「コースまで転がってってないから、それほど危なくないんだとは思うけども、ここは一つコーションを入れてと言うことですかね。そうすると燃料をここで入れる事が出来れば、最後までもつと。でも、ギリギリチャレンジする可能性もありますよね。その価値はありますね、燃料ね。足りないと言えども、わずかだから」

 7位のボウマン以下がそろって入る。ボウマンとしても自分より順位の下のドライバーがこぞって入ることで順位は下がらず、フューエルの心配もなくなる。ボウマン、ラーソンは2タイヤ、カイル、トゥレックスは4タイヤ。

 フリーパスを得たのは、ジョンソン。165LAP、カートとハーヴィックのフロントロー。ハーヴィックが遅れ、カートが前。カートとハーヴィックの間に、アウト側トップのアルミローラが入る。これはもう間違いない、意図的だ。「これでもう隊列出来ましたよ、もう徹底してますねー今日は」

 あとは、SHRで誰が勝つか、だ。レース前、スティーブ・レターテがボウヤーにインタヴュー。「勝利が必要なんだ、聞こえたかい?」「(もう一度お願いします)」「俺には勝利が必要なんだよ」167LAP、ボウヤーはカットライン上の+6、アルミローラはー1。ハーヴィックは余裕はあるものの、カートもそれほど安全圏とは言えない。最強チームとは言え、誰もが勝ちたい。

 178LAP、アウトラインにいたボウマンにエリオットがつく。が、ボウマンにスピードがなく、2台ともインラインに戻る。「ボウマンにスピードのあるうちにエリオットが行かなきゃいけないんですけど、ボウマンが風圧を受けて落ちかけた頃でしたからね」

 直後、ブレイニーがアウトに出て、ペンスキートレインを作りかけたが、戻る。180LAP、ケセロウスキーがアウトに出て、ロガーノ続く。が、ブレイニーが出ない。代わりにボウマンがつく。ケセロウスキーが単独になり、インラインに戻る。

 後方が仕掛け合っている間に、<トレイン>が引き離しにかかる。4台の連携が抜群なのと、マシン自体が速いのだろう。「後ろが我が勝とう我が勝とうとすると、遅れてっちゃいますよね。もう少し隊列作ったまま、2、3周行った方が良いけどなー。我も我も勝ちたいの分かるけど・・・あー、離れてった。マズいマズいマズい」

Almirola earns 'redemption' at Talladega



 第2集団の仕掛け合いが続く中、「露払い役」のメナードが5位をキープ。後方を完全にブロックしている形。186LAP、ボウマンが態勢を崩し、ジョーンズにヒット、跳ね返ってウォールにクラッシュ、そこにJJ・イエリーが突っ込み、そのあおりでバイロンも巻き込まれ、マルチクラッシュ!これが8回目のコーション。イエリーはダメージが大きく、このレース唯一のリタイア。36位に終わる。

 これで残り2周で争うNASCARオーバータイムとなる。「スチュワート・ハースに限らず、燃料は厳しいですが、周回数が伸びることは歓迎じゃないですね。またリスタートは、前4台がスチュワート・ハースだけど、3列目からは他のチームが団子になってきますからね」

 ライアン・ニューマンがフリーパス。カートらトップグループは、138LAPのピットイン。上位陣では、唯一、8位のステンハウスが161LAP。エリオットがピットイン、4タイヤチェンジとフューエル補給。

 「下側のイエローラインの平らなところ走ってますけど、インサイド。燃料タンクを水平にして少ないガソリンを吸わせようとしてるんですよね。斜めに傾いていると燃料吸わなくなったりしますんで、相当燃料厳しい状態ですね、これは」

 リスタート直前に、ブレイニーがスローダウン、ハーヴィック、ケセロウスキーがピットに向かう。<トレイン>が遂に崩れた!「リスタートですけど、誰がガス欠するか、分かりませんよ、これ」

 「全車がガス欠したら、チェイス・エリオットかも」などと、福山さんが無責任なコメントをする中、リスタート。カートがアウトからリード。インに降り、アウトトップはアルミローラ。インラインの2位はボウヤーだ。カートにアルミローラが食い下がり、ファイナルラップ。後方でクラッシュ、何台か巻き込まれる、が、レース続行。

 ターン3でカートガス欠。アルミローラが前に出る。ボウヤーが続き、SHRが1-2。アルミローラは、2014年第18戦のデイトナ以来の2勝目。ボウヤー、ステンハウス、ハムリン、ロガーノ、AJ・アルメンディンガー、ジョンソン、ジョーンズ、メナード、スミスのトップ10。

 ロガーノが祝福し、バーンアウト。マシンの上に立って、ガッツポーズ。チェッカーフラッグを叩きつけるように振り回す。SHRで勝利を挙げていないことを気にしていたのか、いつになくハイテンション。現地に来たインタヴュアーとハイタッチを交わす。

 「(チエッカーフラッグを掴み、喜びあふれるアルミローラです。スチュアート・ハース・レーシングの4台でレースを支配し、最終的に勝ちました。おめでとうございます)」「最高だよ、タラデガで勝ったぜ」(大歓声)

 「今シーズンは惜しいレースが何度もあった中、チームは自分を信じ続けてくれた。トニー・スチュアートとジーン・ハースがチャンスを与え続けてくれたんだ。5度ほど勝てるレースがあったのに、勝ち切れなかったけど、去年のエクスフィニティシリーズでも勝っている大好きなタラデガで勝てた。勝つか、クラッシュしかないくらいの気持ちで戦って勝てたね」「(やりましたね)」

Race Rewind: Talladega in 15



 「最高のタイミングだよ。スミスフィールドの”Bacon For Life”というキャンペーン中だからね。誰か一生分のベーコンが当たるのさ。「(素晴らしいチームの規律のもと、最後のビクトリーレーンを勝ち取りました)」

 「チームみんなの努力のおかげさ。約400人いるスチュアート・ハース・レーシングのスタッフと、約200人のラウシュ・イェイツ・エンジンのスタッフには感謝している。最高のレースができたよ。自分達4台は規律正しい走りで、他を寄せ付けなかった。チームとしても最高の走りができた。勝てたのを誇りに思う」

 「(ファンにメッセージをお願いします)」「みんな大好きさ、やったよ。信じられないね、やっと勝てたんだ」「(ビクトリーレーンで会いましょう)」「ピットクルーを始め、みんなと祝福するのが待ち切れないよ。素晴らしい車に仕上げてくれたチームののみんなは勝利にふさわしいね。彼らには何度も悔しい思いをさせてしまった。自分よりも、彼らは悔しかったと思う。この勝利は彼らのものさ。むこうで勝利のビールでも飲みたいね」

 チェッカーフラッグを振り回し、ガッツポーズ。気分が高揚しているのだろう。喜びを爆発させ、喋る喋るw。後のクラッシュは、ホワイトフラッグが振られた直後。ディベネデットがウォールにクラッシュしたのをきっかけに、カイルやエリオットも巻き込まれている。「これはもう、ゴールラインの先だったから、コーション出ませんでしたね」

 他のコンテンダーの結果は、11位エリオット、14位カート、23位トゥレックス、26位カイル、27位ケセロウスキー、28位ハーヴィック、29位ブレイニー、31位エリオット、33位ボウマンで、トップ10に入ったコンテンダーは、わずか3人。ビッグワンは起こらず、SHRが支配し続けたレースではあったものの、荒れるタラデガは健在だった。

 デイトナ500で、ファイナルラップでディロンとヒット、第30戦:ドーバーでウォールに接触し、ケセロウスキーを巻き込むなどあと一歩で優勝を逃したリプレイが流れ、最後にタラデガの優勝。アルミローラの元にハーヴィックが駆け寄り、がっちり握手。頭をぐりぐり。何かと可愛がっていたから、アルミローラの優勝は嬉しいのだろう。

 ビクトリーレーンでのアルミローラ、喜びを爆発させる中、インタヴュー。「(息子のアレックス君が来ました)」力いっぱい叩きつけるようなハイタッチを2回!「(娘のアビーちゃんもです)」抱き上げてキスをするアルミローラ。

「(美しい家族の光景です。先週の悔しいレースから、見事に今週はビクトリーレーンです)」「うまく切り替えられたよ。我慢していれば勝てると自分自身に言い聞かせていたんだ」「(ボウヤーが祝福に来ました」ボウヤーは、アルミローラの肩をポンと叩いて、にこやかにハグ。

 「(今週のスチュアート・ハース・レーシングは素晴らしいチームプレーでした)」「チームとして最高の走りができた。4台でレースを支配して、我々だけの世界だったね。スチュアート・ハース・レーシングはもちろん、フォードやエンジン部門のラウシュ・イェイツエンジン、スミスフィールドなど、みんなの努力のおかげさ」



 「今日は最高のカラーリングだろ。”Bacon For Life”は、一生分のベーコンが当たるキャンペーンなんだ。チャンスをくれたジーン・ハースとトニー・スチュアートはもちろん、全てのスポンサーに感謝している」

 「今日は最後にプッシュしてくれたメナードと飛行機で帰る予定なんだ。勝ったから遅くなるけど、待っていて欲しいね」「(チームオーダーをしっかり守り、走っていたのが最後まで燃料がもった一因でしょうか?」

 「そう思うよ。クルーチーフのジョニーがコントロールしてくれたからね。最後のピットアウト直後から、燃料をセーブしろと何度も言われていたんだ。チームの作戦通り、ずっと3番手、4番手を走っていたけど、そこで燃料は十分にセーブできた」

 「できるだけ長くスロットルを半分しか開けずに我慢の走りをしていたのさ。バーンアウトしても、まだ十分残っているくらいだよ」「(ターン④でカート・ブッシュがガス欠し、勝利が見えた時の心境は?)」「最後のリスタート以降も、いい走りができていたんだ」

 「ステンハウスjr.がバックストレッチで迫ってきた時は、自分の車のPPMが振り切れるくらいプッシュしていたよ。なんにしろ、最後はカート・ブッシュに仕掛けるつもりだった。残り半周だけは、チームとしての作戦はなく、自由だったからね」

 「カート・ブッシュのアウトサイドに並んだら、すぐにエンジン音で彼のガス欠はわかったよ。その後は、すぐステンハウスjr.とメナードを抑えることに集中していった。フォードにとっても素晴らしい一日になったよ。ダグ・イェイツのエンジンは素晴らしかった」

 「自分達4台には、誰も成す術がなかったよね。チームを誇りに思う。今まで何度も惜しいレースがあって、みんなに悔しい思いをさせてきた。でもやっと勝てたよ。自分は最高のチームの一員さ。やっとビクトリーレーンに立てて、陽の目を見たね」

 結局、アルミローラが勝てたのは、ずば抜けてSHRのマシンは速く、一貫して<トレイン>を作り続け、後方で燃費セーブをし、最後に勝負を賭けられたことに尽きる。オーバータイム前にピットインしたハーヴィック、ずっとトップを走り、フルスロットルで走り続けたカートを捨石にしての勝利とも言えるが。来シーズンの去就が未定なカートがアルミローラを祝福する姿は映らなかった。チーム内で孤立しているのだろうか?

 ただ、カートは、ハーヴィックのようにピットストップをする選択肢はなかった。ガス欠覚悟で走り切って、少しでもポジションをキープすることが重要だったわけで、ステイアウトしかなかったわけで、14位は僥倖だったと言えるだろう。

 ちなみにスミスフィールドは、アメリカ最大の豚肉加工業者で、古いデータになるけども、スミスフィールドは日本に輸出する豚肉の32%を占めているとか。2013年には、中国資本の傘下に入ったことが、当時大きなニュースになっています(中国は世界最大の豚肉生産国ではあるけれども、大半を自国で消費している)。

 これでRound of 8には、エリオットとアルミローラの進出が決まり、ハーヴィックは+63ポイント、カイルは+46、ロガーノ+39、カート+30、ボウヤー+21、トゥレックス+18、ケセロウスキー-18、ブレイニー-22、ラーソンー26、ボウマンー68ポイントでカットライン下は、ほぼ優勝が必須という状況になっている。

 次戦は、Round of 12最終戦のカンザス。崖っぷちの4人の中から、優勝者が出るかどうか?