クローザー再び。ハーヴィックが無双の5勝目!(NASCAR第12戦:カンザス) | 日日不穏日記・アメブロ版

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gooで公開している同名のブログ(主に身辺雑記)とは別にモータースポーツに特化して立ち上げたブログ。現在はNASCAR推し。YouTubeで全36戦を追いかけます。オフシーズンは、他のモータースポーツの記事も書きます。

 NASCAR第12戦:カンザス「KC Masterpiece 400」は、カンザス州カンザスシティのカンザススピードウェイでの開催。

 ここまでの11戦でフォードが6勝(リードラップ/2、147)、トヨタは4勝(1、069)、シボレーが1勝(419)と、勝利だけではなく、内容でもフォードが他を圧倒。

 フライオーバーは、A-10近接航空支援戦闘機。エリック・アルミローラが映し出され、ダニカ・パトリックとジョーイ・ロガーノのクラッシュにアルミローラが突っ込んだ映像が映し出される。あぁ、あれからもう1年か・・・。

 アルミローラは予選4番手。PPは、ケビン・ハーヴィックで、2位のライアン・ブレイニーとフロントロー。カンザスでも、フォードの強さが際だっている。そして、このレースからカーナンバー6で、マット・ケンゼスが復帰。

 「勝利より、チームの立て直しのために何が欠点か洗い出してくれ」とのことらしく、まだ力を持つベテランに古巣の白羽の矢が立った形。だとするとトレバー・ベインとのシェアドライブより、今シーズンはベインに変わってドライブをする可能性が高い気がするが。

 トラックファクツは、1.5マイル、ターンは17~20度のバリアブルバンク。フロントストレッチは9~11度、バックストレッチは5度。レースアナライシスは、267LAPを、ステージ1、2を80LAP、ファイナルステージを107LAPの400マイルレース。

 フューエルウィンドウは、58~62LAP、ピットスピードは45マイル、グリップレベルは4。昨夜から今朝にかけての雨で、30LAP終了時に、コンペティションコーションが入る。

 カイル・ラーソンは予選22位だったが、プラクティスでのスピンでタイヤ交換。リアに下がることになっている。

 レースは、ハーヴィックが先行。ブレイニー、カイル・ブッシュ、ブラッド・ケセロウスキー、アルミローラが続く。4LAP、ビッグエストムーバーで、ラーソンが18、クリント・ボウヤーは12。ラーソンは、19位までポジションアップしている。

Kenseth turns his first laps since Homestead



 カンザスは2001年からレース開催が始まった歴史の浅いトラックで、最多勝は、ジミー・ジョンソンとジェフ・ゴードンの3勝。グレッグ・ビッフル、ハーヴィック、ケンゼス、ジョーイ・ロガーノ、トニー・スチュワート、昨年
の2レースをスウィープしたマーティン・トゥレックス・ジュニアが2勝となっている。※ケセロウスキーとカイルが1勝づつ。

 19LAP、ラーソンがポール・メナードをパスし、トップ10入り。ヘンドリックモータースポーツのランニングオーダーは、ウィリアム・バイロンが16位、チェイス・エリオットは19位、アレックス・ボウマンが20位、ジョンソンが21位とパッとしない。

 シボレーの今シーズンのLAPリードは、ラーソンが254で群を抜き、ボウマン65、ライアン・ニューマン40、バイロン31、エリオットが8。ジョンソンに至っては0で、昨年10月のマーティンズビルにまで遡るという。

 28LAP、ハーヴィックにパスされ、ケンゼスがラップダウン。30LAP終了で、コンペティションコーションが入り、リードラップカーが一斉にピットイン。

 金曜日の昼には、水が噴き出し、プラクティスは1回。2時間20分行われたとのこと。解説の桃田さんは、「昔、ツインリンクもてぎでも、日本テレビもインディの放送が始まる直前に水が噴き出し、次の日まで我々は水戸のホテルで待機しましたが」と昔話。

 バイロンが2タイヤ、ブレイニー、ハーヴィック、ケセロウスキー、ロガーノのトップ5だったが、バイロンがタイヤバイオレーション(タイヤをホールド出来ず)でペナルティを受けてしまい、リアに下がる。

 ブレイニー、ハーヴィックのフロントローで、36LAPにリスタート。ブレイニーが先行し、ハーヴィック、ケセロウスキー、ロガーノ、アルミローラが追う。この流れは、完全にフォードだ。

 53LAP、ラーソンがカイルをパスし、6位に。58LAP、ブレイニーのトップは続き、ハーヴィックは0.95秒、ケセロウスキーが1.85秒、ロガーノは4.33秒、アルミローラが4.65秒差になっている。

 62LAP、20位のジョンソンが、アンスケジュールのピットイン。この時点で勝利から完全に遠のいた感じだ。ルースホイールで、早くも1LAPダウン。

Larson spins during Kansas qualifying



 70LAPの時点でのJGRのランニングオーダーは、デニー・ハムリンが7位、カイルは8位、エリック・ジョーンズが12位、ダニエル・スアレスは21位。ヘンドリックよりは良いものの、フォード勢には、明らかに後れを取っている。

 72LAP、ブレイニーが依然トップ。ハーヴィックが0.36秒、ケセロウスキーは3.83秒、ロガーノが6.86秒、アルミローラは7.07秒差になっている。

 コンペティションコーションで、フリーパスを得たケンゼスはリードラップ最後尾。73LAPに再びラップダウン(25位)。76LAP、ダレル・ウォレス・ジュニアの右リアから火花、白煙が上がり、緊急ピットインとなるが、ノーコーション。

 ブレイニーにハーヴィックが迫るが、アウトからブレイニーが堪える。ファイナルラップに。そのままブレイニーがステージ1を制し、ハーヴィック、ケセロウスキー、ロガーノ、ラーソン、アルミローラ、ハムリン、カイル、カート、クリント・ボウヤーのトップ10。

 AJ・アルメンディンガーがフリーパス。リードラップカーがピットイン。ハーヴィック、ブレイニー、ケセロウスキー、ハムリン、ロガーノの順で、9(89)LAPにリスタート。

 インからハーヴィックが先行。8位から大外で、ハムリン、カイルをパス。「少々リアが振れても踏む踏む」。11(91)LAP、ラーソンがケセロウスキーをパスし、4位。

 15(95)LAP、スアレスがバイブレーションでピットイン。17(97)LAP、ケンゼスとジョンソンがラッキードッグ争いを展開する中、22(102)LAP、インからラーソンがロガーノをパスし、3位に。

 一度はロガーノややり返すが、23(103)LAP、再度パス。30(110)LAP、ハーヴィックがトップ。ブレイニーが0.74秒、ラーソンは2.57秒、カイルが5.29秒、ロガーノは5.79秒差になっている。ケセロウスキーがルースホイールでピットイン。24位にまで順位を下げる。

42(122)LAP、ジョーンズがピットイン。ハンドリング、エアプレッシャーチェンジ。トゥレックス、カート、ポール・メナード、アルミローラが入り、アンダーグリーン開始。

1971 Maynard Troyer flip @ Daytona



 45(125)LAP、ハーヴィック、46(126)LAP、ラーソン、ブレイニーが入る。51(131)LAP、最後まで走っていたオースティン・ディロンがピットに入り、アンダーグリーンが一巡。インからラーソンがハーヴィックを捉え、遂にトップへ。

 73(153)LAP、ラーソンはハーヴィックに1.64秒のリードを奪い、ブレイニーが1.96秒、カイルは5.70秒、ロガーノが13.61秒差になっている。

 ファイナルラップ、ラーソンはジョンソンをパスし、2LAPダウンに。ラーソンがステージ2を制し、ハーヴィック、ブレイニー、カイル、ロガーノ、アルミローラ、カート、ボウヤー、ジョーンズ、トゥレックスのトップ10。

 リッキー・ステンハウス・ジュニアがフリーパスを得て、リードラップカーが一斉にピットイン。ラーソン、ハーヴィック、ブレイニー、カイル、ロガーノの順でピットアウト。

 168LAPリスタート。インからラーソンが飛び出し、トップを守る。5位のカイルはバイブレーションを抱えているが、ポジションはキープ。181LAP、ラーソンとハーヴィックの差は、0.98秒に広がり、ブレイニーが2.20秒、ロガーノは3.86秒、カイルは4.43秒となっている。

 10日に亡くなった元NASCARドライバー、メイナード・トロイヤー(1938~2018)の1971年デイトナ500の9LAPでの18回転するクラッシュのVTRが流れる。

 トロイヤーのクラッシュは有名なものらしく、YouTubeで検索したら、すぐに見つかった。1971年、73年にNASCARに14レース参戦し、トップ10は3戦のみと、記録より記憶に残るドライバーだったのだろう。

 194LAP、ヘンドリックは、エリオットが11位、ボウマン14位、バイロン15位、ジョンソン26位なのに対し、ラーソンは、ハーヴィックに1.51秒の差をつけてトップを快走。

 「同じシボレーで何でこんなに差があるんですかね」と桃田さん。196LAPには、2.90秒に差はさらに広がる。212LAP、ジョーンズがピットイン。フューエル的には、これで最後まで走り切れる。タイヤへの負荷もそれほどではない。

Fiery seven-car crash strikes late at Kansas



 アンダーグリーンでのピット開始。214LAPにハーヴィック、215LAPにラーソンが入る。219LAP。ステイアウトしているステンハウスが、ラーソンに12.91秒リード。ブレイニーが17.53秒、ハーヴィックは18.8秒差だ。

 ピットでブレイニーがハーヴィックを逆転して、実質的な2位にいる。227LAP、ステンハウスがピットイン。

 236LAP、ラーソンのトップは続くが、2位ハーヴィックとの差は1.35秒。「今ね、トラフィックがいないから差があんまりだけど、この前にトラフィックいますよね。そうすると一気に、この1.35がまたどんどん減る筈なんですよ」との解説の直後、スアレスがルースになり、インからかわそうとしたボウマンと接触。

 ボウマンが火花を散らし、4回目のコーション。「あーおっとっとっとっとーっ、おーイエローイエロー、初のイエローですね。ちゃんとしたイエロー、残り31周でやっとですよ」

 ここでのフリーパスは、ライアン・ニューマン。リードラップカーがピットイン。ラーソン、ハーヴィック、ブレイニー、ロガーノ、バイロンの順で243LAPにリスタート。

 イン側スタートのラーソンだが、伸びが鈍い。3位リスタートのブレイニーのプッシュを受けるが、そのブレイニーがルースになり、順位を下げてゆく。

 アウト側ハーヴィックとイン側のラーソンがサイドバイサイドの激しいトップ争い。その後ろから、ロガーノがステルス機能を搭載したようにひたひたと迫る。244LAP、ルースになったラーソンが、ハーヴィック、ロガーノに一気にパスされ、3位にドロップ。

 248LAP、一度下がったブレイニーがラーソンを追い上げ、3位バトル。そして接触。ラーソンは左リアタイヤをカットし、白煙を上げ、ブレイニーは直後にウォールにクラッシュ!5回目のコーションだ。

 ここからの桃田節は余りに五月蠅いので割愛。チップ・ガナッシは怒りを露わにし、何かを蹴り上げたように見える。ブレイニーのマシンはガレージへ。そのままリタイアし、37位に終わる。

 リードラップカーがピットに向かい、バイロンが2タイヤでトップ、ハーヴィック、カイル、ボウヤー、カートが続く。そして、ラーソンは8位でピットアウトしたものの、エアガンで締めている間にジャッキが落ちてしまい、ラーソンはマシンを出してしまう(現地実況はジャッキドロップと)。

Elliott, Stenhouse Jr. trade bumps and barbs post-Kansas



 クルーに怪我がなかったのは幸いだったが、再ピットを強いられ、16位にまで落ちてしまう。この終盤でのミスは痛い。踏んだり蹴ったりだ。

 そして、ロガーノ、トゥレックス、ジョーンズ、ハムリン、ニューマン、エリオットの6台がステイアウトし、レースは混迷の度合いを深めてゆく。

 253LAPにリスタート。ジョーンズがロガーノの背後からインに切り込み、ト3ワイドに。アウトのトゥレックスが前に出て、ロガーノ、ジョーンズが続く。同LAP、ルースのバイロンがボウヤーにヒットし、ニューマンを巻き込む。バイロンのマシンは大破し、炎に包まれる。

 ジェイミー・マクマーレイケンゼスクリス・ブッシャータイ・ディロンの7台が絡むマルチクラッシュに発展し、レッドフラッグ(下線はリタイアしたドライバー)。

 結局、ボウヤー以外の6台がリタイアし、レッドフラッグは、13分13秒で解除される。さて、先のアクシデントの起因となったブレイニーのインタヴュー。「(今夜は54周をリードしたブレイニーです。ラーソンとの接触は何があったのでしょうか?)」

 「激しくレースをしていただけさ。でも非難されてしかるべきだろう。サイドドラフトを使い、攻めていたら、フロントストレッチで車が右に流れてしまった。リスタートでタイヤをスピンさせてしまったので、早くリーダーに追いつこうと必死だった。車が速かっただけに最悪だよ」

 「多くの周回をリードしてクラッシュして終わったのは、今シーズンこれで2度目だ。でも収穫はあったので、次のレースで頑張るだけだね。今夜のクラッシュは自分のせいさ。激しくいきすぎて接触し、右フロントタイヤをカットしてしまった。ラーソンには申し訳なく思っている」

 トゥレックス、ロガーノ、ジョーンズ、ハムリン、エリオットの順で259LAPにリスタート。トゥレックスがリードするが、260LAP、ハーヴィックがハムリンをパスし、2位に。

 261LAP、ラーソンが、どアウトから、ジョーンズ、メナードをごぼう抜き」して5位に浮上。262LAP、インからハムリンをパスして4位。264LAP、トゥレックスが、ハーヴィックに0.84秒のリード。ロガーノは1.69秒、ラーソンが2.99秒、ハムリンは3.18秒差だ。

Race Rewind: Kansas Speedway in 15



 このままトゥレックスが逃げ切れるとも思えたが、ハーヴィックがじわじわと詰め、266LAP、遂にアウトからハーヴィックがトゥレックスを捉える。そのままファイナルラップへ。桃田さんの「ワンモアチャンス」が繰り返される中、ハーヴィックがクローザーの本領を発揮して、今季5勝目!

 開幕12戦で5勝を挙げたのは、1997年のジェフ・ゴードン(10勝を挙げて2度目のチャンピオンとなる)以来の快挙。レギュラーシーズン5勝は、2010年のデニー・ハムリンとジョンソン以来。

 トゥレックス、ロガーノ、ラーソン、ハムリン、メナード、ジョーンズ、カート・ブッシュ、アルミローラ、カイルのトップ10。今回もクラッシュに巻き込まれたボウヤー以外の3台のスチュワート・ハースがトップ10入り。

 エリオットは12位、ケセロウスキー14位、ボウヤー15位、ジョンソンは19位に終わっている。ハーヴィックがドアを開け、両手を突き上げると大歓声が。バーンアウトを決め、ビクトリーレーンへ。以下、インタヴュー

 「(最後のリスタートは6位からでしたが、今シーズン5度目のビクトリーレーンです)」「まず、最初にリアタイヤチェンジャーのダニエル・スミスにお祝いを言いたい。もう生まれているかもしれないけど、子供が生まれる予定なんだ。それと妻ノデレイナや自分の母、全ての母達に“ハッピーマザースデー”と伝えたい」

 「最後の数周はワイルドだったね。自分の車はボトムラインでタイトだったんだ。だからウォールにヒットするリスクもあったが、ハイラインで走るようにしたら勝てた。今はすごく興奮しているよ。ファンの声援や叫び声で燃えたし、いいレースができた」

 「(車の仕上がりに満足していなかったようですが)」「今も満足していないさ。秋のレースでは、よりいい車に仕上げられると思う。今夜はやっとブッシュライトの車でビクトリーレーンに立つことができた。彼らはもちろん、全てのスポンサーに感謝している。それとスチュアートハースレーシングのみんなと見に来てくれたファンにもね。最高のレースができたよ」と、いつもに加えて上機嫌。



 そして、2位に終わったトゥレックスは、「(7番グリッドスタートから、アジャストを続けたうえ、ストラテジーを駆使し、2位です。最後は4タイヤチェンジしたハービックに敵いませんでしたね)」

 「いけると思っていたけどね。でも、残り3周くらいから、すごくタイトになったうえ、右フロントにチャタリングが発生しだした。これはまずいな、と思ったよ。車はレースを通してタイトだったんだ。ハービックに追いつかれた時は、もうどこを走ればいいかわからなかったよ」

 「ハイラインを走っていたら、きっとボトムラインからパスされていただろう。一番速く走れるラインを取っていたが、純粋に敵わなかったね」

 「でも、コール・パーンは素晴らしいストラテジーを駆使してくれたし、スタート時の車はよくなかったけど、ちーむのみんなが戦い、うまく仕上げてくれた。最後3度のランでよくはなったが、まだまだよくなるはずさ」

 「全てのスポンサーとTRD、サポートしてくれた全ての人達に感謝している。今夜は友達も来てくれていたんだ。ビクトリーレーンに立ちたかったけどね。でも、チームとして前進できたし、楽しいレースだったよ」

 さすがのトゥレックスも、ハーヴィックの強さにはお手上げという感じだったが、ラーソンがブレイニーと絡まなければ、勝負の行方はどうなっていたか分からない。ダメージが小さかったとは言え、ジャッキのトラブルで大幅に順位を下げても、最後の追い上げで4位。

 トラフィックで課題を残していたとはいえ、ハーヴィックとの一騎打ちになっていれば、どうなっていただろうか?

 ハーヴィックは、ポール・トゥ・ウィン。とは言え、今までのドミネイトしていた勝ち方ではなく、1、2ステージで2位につけ、最後に逆転。荒れたレースでも勝ち切るところを見ると、まさに向かうところ敵なし。

 プレーオフポイントを積み上げ、去年のトゥレックスのようにプレーオフを安定して勝ち上がってゆくだろう。後は一発勝負のホームステッドのみ。2014年以来、2回目のチャンピオンになる可能性はかなり高い。

 さて、次戦は100万ドルの賞金レース、オールスター戦だ。そして、本戦、コカ・コーラ600。ハーヴィックは、ここでも勝ってしまうのだろうか?