ベッテルが15回目のPPを獲得し、1992年のナイジェル・マンセルの記録を抜く。これは凄いことだと思う。16戦14PPのマンセルと19戦15PPのベッテル。確かにPPの獲得率では、マンセルが上回っているけれども、当時のウィリアムズ・ルノーの他チームへのアドバンテージは半端なものではなかった。
最強のルノーエンジンを搭載し、ハイテクマシンFW14のパッケージはまさに最強。アクティヴ・サスペンションに十分に対応出来なかったチームメイト、リカルド・パトレーゼをも圧倒したマンセルは、地元イギリスGPでは、2秒もの大差をつけてPP。
シーズン終盤になって、11戦ハンガリーGPから投入されたルノーRS4の信頼性に問題が生じて、決勝レースを失うことがあったりしたものの、予選ではシーズンを通してぶっちぎりで強かったことは変わりなく、PPを獲得出来なかったのは、第7戦のカナダGP(PPはアイルトン・セナ)とタイトルのかかったハンガリーGP(同、パトレーゼ)だけだった。
もちろん、調子に乗った時のマンセルが手のつけられない速さであったのは事実であるとしても、今シーズンのベッテルのように(特に戦力差が拮抗したシーズン中盤以降)、最終アタックで、マクラーレンを逆転するというような、ここぞという時の集中力で僅差でのPP獲得で積み上げた15回の価値は大きい。
マンセルに対して記録でも内容でも上回っていると僕は思う。
その点、ベッテルの予選は、マンセルというより、セナに近い。レースのスタイルも同様で、ファステストラップの少ないところを含め、ベッテルを見ていると、かつてのセナと重ねて観てしまうところが多分にある。
決勝は果たして雨になるのだろうか。“指定席”からスタートするベッテルが、そのまま“定位置”のポディウムの中央に座るか。2列目のバトン、ハミルトンがどこまでついていくか。
ベッテルの“勝利の方程式”を崩せるか。最終ブラジルGPの決勝は目前!