マクラーレンとフェラーリの差が、広がってBMWザウバーにも追い上げられる状況になって迎えた第7戦アメリカGP。カナダGPでクビサが、身の毛もよだつ大クラッシュを演じたため、奇跡的な軽症で済んだものの、代役にベッテルを起用することになった。
ベッテルのF1デヴューのGPだ。8位完走でポイントを獲得、期待に応えたものの、当時のベッテルは若過ぎ、マシンのポテンシャルを考えれば、決して速いとは言えなかった。配信されたばかりの記事では、当時のチームメイト、ハイドフェルドはこう語っているという。
「セバスチャンは金曜ドライバーとしていい仕事をしてくれていたけれど、ここまでのドライバーになる可能性は見えなかった。ベッテルは十分に役割を果たしていても、クルマはベッテルが走らせる時以上の速さを秘めていたんだ」
「あのころは、セバスチャンがF1界を席巻するなんて思いもよらなかった」
予選は、ハミルトンが連続PP。アロンソが続き、マクラーレンが1-2。
レースでも、両者は激しいバトルを最後まで繰り広げたものの、ハミルトンは全く隙を見せず、そのままアロンソを抑えきり、2連勝。ポイント差を10に広げた。
もう、ここに来てハミルトンの強さを疑う者は誰もいない。3年連続タイトルを狙う最強のアロンソをチームメイトに迎えて、一歩も引かないのだから。
3位にマッサ、4位にライコネンのフェラーリ勢が入ったものの、マクラーレンとの差は歴然としており、この時点で、タイトルはマクラーレンの2人によって争われるものだと、多くの人は思ったことだろう。
ここでマクラーレンを止めなければ、フェラーリのタイトルの可能性は、殆どなくなる。マッサもライコネンも崖っぷちに追い込まれた。