日本の五輪の歴史(補足) | 俳句の里だより2

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夏季大会(11)

 

本シリーズでは、これまで日本の五輪(夏季、冬季)参加の歴史を紹介してきた。近代五輪の夏季大会は1896年に第1回アテネ大会(ギリシャ)が開催され、日本が初めて参加したのは1912年の第5回ストックホルム大会(スウェーデン)である。シリーズでは、この第5回ストックホルム大会から2021年の第32回東京大会(新型コロナの影響で1年遅れて開催)までを紹介した。一方、冬季大会は1924年に第1回シャモニー・モンブラン冬季大会(フランス)が開催され、日本が初めて参加したのは1928年の第2回サンモリッツ大会(スイス)である。シリーズでは、この第2回サンモリッツ大会から2022年の第24回北京冬季大会(中国)までを紹介した。

 

前にも述べたように、今年(2024年)フランスのパリで開催された第33回パリ夏季大会については、まだその結果について紹介していなかったので、以下では、補足として人々の記憶に新しいこのパリ大会での日本選手の成績(メダル獲得数など)について紹介する。

 

〇2024年の第33回パリ大会には、日本から史上最多の409人の選手(男子218人、女子191人)が、陸上、水泳(競泳、飛込、アーティスティック、水球)、サッカー、テニス、ボート、ボクシング、バレーボール(バレーボール、ビーチバレー)、体操(体操、新体操、トランポリン)、バスケットボール(バスケットボール、3X3バスケ)、レスリング、セーリング、ウェイトリフティング、ハンドボール、自転車競技、卓球、馬術、フェンシング、柔道、バドミントン、射撃(ライフル、クレー)、近代五種、ラグビー(7人制ラグビー)、スポーツクライミング、カヌー、アーチェリー、トライアスロン、ゴルフ、テコンドー、サーフィン、スケートボード、ブレイキンの31種目に参加し、日本のメダル総計は金20、銀12、銅13の計45個だった(金メダル数は世界3位、総メダル数は世界6位)。ちなみに、前回の東京大会は金27、銀14、銅17の計58個で金メダル数は世界3位、総メダル数は世界5位だった。なお、本大会では新たにブレイキンが採用されたが、前回の東京大会で採用された空手、ソフトボール、野球は採用されなかった。

 

金メダルは、陸上女子やり投げの北口榛花、体操(男子個人総合)、同(男子鉄棒)の岡慎之助、同(男子団体)の橋本大輝ら5人、レスリング(男子フリー・57kg級)の樋口黎、同(男子フリー・65kg級)の清岡幸大郎、同(男子グレコ・60kg級)の文田健一郎、同(男子グレコ・77kg級)の日下尚、同(女子53Kg級)の藤波朱理、同(女子57Kg級)の櫻井つぐみ、同(女子62Kg級)の元木咲良、同(女子76Kg級)の鏡優翔、フェンシング(男子エペ個人)の加納虹輝、同(男子フルーレ団体)の松山恭助ら4人、柔道(男子66kg級)の阿部一二三(2連覇)、同(男子81kg級)の永瀬貴規(2連覇)、同(女子48kg級)の角田夏実、スケートボード(男子ストリート)の堀米雄斗(2連覇)、同(女子ストリート)の吉沢恋、ブレイキンBガールの湯浅亜実(計20個;陸上1個、体操3個、レスリング8個、フェンシング2個、柔道3個、スケートボード2個、ブレイキン1個)である。

 

銀メダルは、競泳(男子400m個人メドレー)の松下知之、飛込(男子10m高飛込)の玉井陸斗、レスリング(男子フリー・74kg級)の高谷大地、セーリング(混合2人乗りディンギー)の岡田奎樹・吉岡美帆 、卓球(女子団体)の早田ひなら3人、フェンシング(男子エペ団体)の加納虹輝ら4人、柔道(男子90kg級)の村尾三四郎、同(混合団体)の阿部一二三ら14人、近代五種(男子個人)の佐藤大宗、スポーツクライミング(男子ボルダー&リード)の安楽宙斗、スケートボード(女子ストリート)の赤間凛音、同(女子パーク)の開心那の計12個である。

 

銅メダルは、体操(男子平行棒)の岡慎之助、レスリング(女子50kg級)の須﨑優衣、同(女子68kg級)の尾﨑野乃香、卓球(女子シングルス)の早田ひな、馬術(総合馬術団体)の大岩義明ら4人、フェンシング(女子フルーレ団体)の東晟良ら4人、同(女子サーブル団体)の江村美咲ら4人、柔道(男子60kg級)の永山竜樹、同(男子73kg級)の橋本壮市、同(女子57kg級)の舟久保遥香、バドミントン(女子ダブルス)の志田千陽・松山奈未、同(混合ダブルス)の渡辺勇大・東野有紗、ゴルフ(男子個人)の松山英樹の計13個である。

 

本パリ大会での特筆すべきは、北口榛花が五輪陸上フィールド種目(女子やり投げ)で日本女子史上初の金メダルを獲得したこと、加納虹輝がフェンシング競技個人種目(男子エペ)で日本人初の金メダルを獲得、また男子フルーレ団体では日本初の金メダルを獲得、さらには、男子エペ団体で銀メダル、女子フルーレ団体、女子サーブル団体で銅メダルを獲得するなど、フェンシングの活躍が目立った。また、レスリングでの8個の金メダルなど大活躍した一方で、柔道は金メダル3個、銀メダル2個、銅メダル3個とやや物足りなかった。阿部一二三の妹の阿部詩が兄妹で2連覇を狙ったが、2回戦で敗退し号泣したことが話題となった。

 

体操の岡慎之助の個人総合、団体、鉄棒の3冠達成は見事であり、また男子個人総合は2012年のロンドン大会以降4連覇を達成した。その他、スケートボードの堀米雄斗が2連覇、女子も吉沢恋が金メダル、赤間凛音、開心那が銀メダル、新種目のブレイキンでは湯浅亜実が金メダルなど活躍した。さらに、玉井陸斗が飛込競技で、佐藤大宗が近代五種競技でそれぞれ日本人初のメダルを獲得、総合馬術団体のメダル獲得は1932年ロサンゼルス大会以来92年ぶりだった。ゴルフでは松山英樹が銅メダル、山下美夢有は惜しくも4位だった。スポーツクライミング(男子ボルダー&リード)では安楽宙斗が日本男子初のメダルを獲得したが、同種目の女子の森秋彩はメダルを逃し4位だった。リードでは森秋彩は最高点だったが、ボルダーでは身長が低くスタートのホールドに手が届かないという不幸もあり4位に甘んじた。このことが「不公平」「差別」ではないかとの議論を呼んだ。