オンライン俳句図書館は、

「ミルトス館」に名称を変更いたしました。

 

蝶々を見失いたる欠伸かな  五島高資

 

句集『雷光』より

 

麗かな春の日差しです。

あたたかくなれば、瞼が重くなるというもの。

なかなか起きられないばかりか、

午後には、眠気がおさまらない、

という経験は、どなたにもあるでしょう。

勉強中、あるいは仕事中。

休憩が終わるころ。

分かりませんが、眩しいほどの蝶々を見ていて、

つい日差しに、つい、欠伸がでてしまいました。

口が開けば、眼が閉じます。

背伸びもしたかも知れません。

そのあと、視界に飛んでいたはずの蝶々が、

居なくなっていました。

さがしても、辺りには見えません。

欠伸の一瞬のすきに、どこかへ飛んで行ってしまった蝶々。

寝ぼけ眼に、がっかりしたような感じが残ります。

 

「欠伸かな」と、上品に表現されている気がします。

これが、「大欠伸」だったら、どうでしょう。

飛び去った蝶々との因果関係が濃くなりそうです。

しかし、「欠伸かな」では、

見失った、という感覚が強いように思います。

言葉一つで、俳句が変ると思いますね。

 

 

 

レビューも書いてね。

 

カノン