花開くしなやかさを手本にゆく | 自由俳句 「風薫」(ふうくん)

自由俳句 「風薫」(ふうくん)

宇都宮で自由俳句の会「風薫」を主宰している陽子です。自由な感覚で俳句を詠み合う句会を月に1回開催しています。俳句集もすでに10集集目を刊行しております。

 風も心地よく日射しもちょうどいいとうれしいものです。本日は小満。万物の力が漲り、これからどんどん成長していくいい季節になりました。

 宇都宮市内でも音楽のイベント「宮ギグ」が二日間開催され、久しぶりに賑わっていました。大相撲の夏場所も声援が聞こえ活気が溢れ、うれしい限りです。

 本日開催しました句会は、句集第11集が刊行されたばかりで喜びもひとしおでした。

 

 

高崎 志朗

花風や石垣斑小峰城

夏鴨や合掌映えの田を揺らし

花見鳥声降りてきて白川郷

山藤の鏡田揺らす残り鷺

鏡田を夕陽に染めて風薫る

真夏日や白頭コートを駆ける

 

 

加納 弘志

五月晴れ心の中も晴れ模様

小満や鬼怒の流れはおだやかに

初夏の風感謝感激口ずさむ

 

 

疋田 勇

手術後や世の光あらた夏の立つ

雑踏の駅に西口東口

露店の風鈴猛暑を打ち消す

 

 

山 多華子

初夏の雨気まぐれに降り花愛でる

病葉をつぼみで隠す花ありて

友の文羊蹄の花なつかしく

 

 

渡辺 健志

花吹雪カメラ構へて帽子飛ぶ

北国のソメイと八重のツーショット

黄昏や尾鰭たゆたふ鯉幟

むらさきの絡む悲鳴か山の藤

朝露に魚眼の世界薔薇の花

みづすまし古代と出会ふ翡翠かな

大竹 和音

渦巻きの跡はあの日の蚊遺香

制服のブラウス透かす夕立かな

行きつけの店は満席蟬時雨

物干しの安心タオルこどもの日

副虹やついてなき日にケセラセラ

オッドアイの猫の亡骸埋める朱夏

鳥巣立ち還暦祝ふ腕時計

まこもぐさ芥とどまる沼の隅

でれすけと父に撫でられ氷菓子

妖怪の棲む沼深き夏の霧

 

 

小林 泰子

柏餅ほのかに香る空の皿

昼寝覚ゆめと今の狭間に居る

雨上がり澄んだ空に虹探すも

 

白石 洋一

コーヒー豆もう何度挽いたことだろう

ステージでアガッテ居る自分

蕨のトロミは初夏の味わい

草刈りの跡草の匂いの庭先は

猫四匹庭先に寝そべる午後の陽射し

山椒酢味噌でウドを湯がいてまぶして

中国ドラマにハマって奥深い筋書き

蕨山汗をかいては深呼吸

大漁の蕨捌けず途方に暮れ

インスタントの焼きそばを鍋のまま

 

 

刈谷 見南國

カーエアコンレバー一気に振つて夏

はつなつの筆すべりだす軽さかな

少女ゆふもんはつまらん夏は来ぬ

落ち度なくとも謝りて聖五月

翌日は色違ふだけのネルの襯衣

 

 

福冨 陽子

雨ごとに粛々生きる青葉風

物語いつたん終わり立夏くる

揚羽蝶いつもの柚を見つけ出し

やせ蚯蚓乾かぬうちに蟻は這ひ

鋏持つ吾にざはめく夏の庭

郭公の声ヘリコプターに黙る

いつのまに群れ占める紫蘭かな

初物や葛きりと割り箸揃へ

待ちに待つ十一集目届ひたり

つやつやと葉は光抱き夏椿

十五年句会は少年となりぬ

雨あがりのさつき