こもれびに蝶や舞い来る森の径 | 自由俳句 「風薫」(ふうくん)

自由俳句 「風薫」(ふうくん)

宇都宮で自由俳句の会「風薫」を主宰している陽子です。自由な感覚で俳句を詠み合う句会を月に1回開催しています。俳句集もすでに10集集目を刊行しております。

五月の日曜、宇都宮市内の長岡公園緑地を歩きながら吟行を開催しました。天気もよく、暑いほどの日和でしたが、森の中はすっと肌寒いような気がします。蛙や鳥の声、自由に舞う蝶、名も知らぬ樹々や植物に囲まれて歩くのは久しぶりでした。まるで人里離れた森にいる気分でその時間を楽しみました。吟行で詠んだ句を掲載します。

 

 

荒木あかり

仏舎利塔いまも雄々しく変わらず

まほろばの道ケーナの音が吸い込まれる

沼地に咲く紫アヤメ人知れず

山あいに田植え見つけて人の気配

緑のこもれびのシャワー浴びて深呼吸

うぐいすの姿見せず鳴き声で主張す

 

 

大竹和音

仏舎利塔チャリで迷つて五月晴れ

黒蝶よ蛾に生まれなくてよかつたね

ウグイスの笛の音楽しこぶし小屋

 

 

刈谷吉見

陽春にジーパン穴の肌熱く

倒木の株ムンク叫びの顔見せて

老夫婦ソフトバンクの犬と森

 

 

石井温平

老鶯にせかされ口を開きけり

溜め池のアヤメ鮮やか良き吟行

 

 

福冨陽子

ウシガエル声や休めど風そよぎ

葦の葉の鋭き先に夏の色

こもれびに魂休めて時流る

年輪を見せし株に陽の差しぬ

久々にぬかるみの上歩いてみる

 

風薫メンバー

「温平さーん」