夏は好きですか?  さあ。まあ。 | 自由俳句 「風薫」(ふうくん)

自由俳句 「風薫」(ふうくん)

宇都宮で自由俳句の会「風薫」を主宰している陽子です。自由な感覚で俳句を詠み合う句会を月に1回開催しています。俳句集もすでに10集集目を刊行しております。

 梅雨明けにて急激な暑気増し。過剰に暑いと思考や情緒の回路が鈍くなります。先日、ある会合で長時間(28℃程度の空調は効いているのですが)そこに6時間いましたら、しまいにはもう何も考えられなくなりました。室内熱中症になっていたのかもしれません。
やはり、すべてにおいて「ほどよい」のはありがたいものです。



■ 大倉 美和

美人だと見惚れるきゅうり 日の暮れり

さらに角 出すや最後の夏あざみ

ツートンの日焼けの足に傘を持つ


■ 田代 由美子

雑草といたちごっこの晴れ間なり

門前の睡蓮咲きて背を伸ばす

濁流に台風の規模知らされる

好物の桃を供えし昼下がり


■ 半沢 美恵子

ジトジトす コーヒー店で熱き甘酒に会い

六淑女 おひとりずつの映画涼しや

酢らっきょう作りしも食べす贈る

楽したしビール飲みたやバーベキュー

買いにいくも足はそのまま冷し中華店へ


■ 白石 洋一

朝露に ジャガイモの葉 湿りたる

梅雨近し 空芯菜は 虫食われ

梅雨入りて 行き先知らぬ 夢を見る

老い猫に 餌を切り分け 与えたる

明日まで 生きて行こうと ホーホケキョ

雨休憩 自転車こいで 深呼吸

木を切れば 長い時間も 倒れける


■ 佐藤 宣明

演林は声も聞こえず濡れアヤメ   ※戦場ヶ原周辺。東戦場(湯導管)~宇大演習林

演林の径に惑いし金鳳花

雨上がり蓮華躑躅が炎たち     ※れんげつつじ


■ 刈谷 吉見

水やりぬホース丸める人踊り

アイヌ像 鈴と思ひて頭をポン


■ 福冨 陽子

雨あがり 蝉いっせいに鳴き謀る

黒飴を差し出すも断られ夏の日や

開くより走るほうがまし じらし傘

気晴らしに出た買い物や本気となり

退院したのについ見上げる病室 蛙道