やはり、すべてにおいて「ほどよい」のはありがたいものです。
■ 大倉 美和
美人だと見惚れるきゅうり 日の暮れり
さらに角 出すや最後の夏あざみ
ツートンの日焼けの足に傘を持つ
■ 田代 由美子
雑草といたちごっこの晴れ間なり
門前の睡蓮咲きて背を伸ばす
濁流に台風の規模知らされる
好物の桃を供えし昼下がり
■ 半沢 美恵子
ジトジトす コーヒー店で熱き甘酒に会い
六淑女 おひとりずつの映画涼しや
酢らっきょう作りしも食べす贈る
楽したしビール飲みたやバーベキュー
買いにいくも足はそのまま冷し中華店へ
■ 白石 洋一
朝露に ジャガイモの葉 湿りたる
梅雨近し 空芯菜は 虫食われ
梅雨入りて 行き先知らぬ 夢を見る
老い猫に 餌を切り分け 与えたる
明日まで 生きて行こうと ホーホケキョ
雨休憩 自転車こいで 深呼吸
木を切れば 長い時間も 倒れける
■ 佐藤 宣明
演林は声も聞こえず濡れアヤメ ※戦場ヶ原周辺。東戦場(湯導管)~宇大演習林
演林の径に惑いし金鳳花
雨上がり蓮華躑躅が炎たち ※れんげつつじ
■ 刈谷 吉見
水やりぬホース丸める人踊り
アイヌ像 鈴と思ひて頭をポン
■ 福冨 陽子
雨あがり 蝉いっせいに鳴き謀る
黒飴を差し出すも断られ夏の日や
開くより走るほうがまし じらし傘
気晴らしに出た買い物や本気となり
退院したのについ見上げる病室 蛙道
