長梅雨に置き忘れし傘 数えみる | 自由俳句 「風薫」(ふうくん)

自由俳句 「風薫」(ふうくん)

宇都宮で自由俳句の会「風薫」を主宰している陽子です。自由な感覚で俳句を詠み合う句会を月に1回開催しています。俳句集もすでに10集集目を刊行しております。

風薫の第5集が刊行されました。今回はサムネイル代わりに小さな写真を入れてみました。
さて、毎日のように雨が降り、気持ちまで晴れない日々が続いています。そんなときは、なるがままの気分でいるほうが心地よいものです。晴れない気分もまたよろし。こんな頃だからこそあらためて陽ざしがありがたく新鮮です。
7月5日に句会を開催しました。


■ 大倉 美和

衣替え 子ども半纏 雨の降る

誰がためにめかしこみたり半夏生

隣家まで伸びゆく南瓜 雨の間や


■ 田代 由美子

夏祭り うちわも踊るざる豆腐

ゆかた似合いし 売り子さんレジを打つ

郭公や歌口ずさみ朝支度

サルビアの赤燃ゆる家 雲遠し


■ 小林 祐子

めぐみ雨 食卓かざる文月よ   ※トマト:アイコ

掃除機の滑り心地や 雨季節

暗闇に黒猫の居る 傘たたむ

臼薄空 色鮮やかに稲の苗

ミニトマト 苗のうぶ毛の銀の露


■ 刈谷 吉見

おっ母に逢いに来る子に星の道 ※天の川 

アゲハの子 ライチの葉食む七夕や


■ 斉藤 乃亜

賑わいの人混み高く浮かぶ月

遠花火 静かに散るは 夢のあと

人混みに強くつなぐ手 幼き子

来る別れ知りつつもがき迷い道

心声を隠して2人あてどなく
目覚めると愛しい人の名 鳥の声


■ 佐藤 宣明

喜雨唄ひ庭に来住するもののあり

踏み出せばひょいと蜥蜴の日和なり

人も蚊も生き物なれば仕方なし

ほうたるのありのままあるがまま

梔子の蕾青白き「おとうさん!」と弾みし声す ※クチナシ


■ 福冨 陽子

露に知る涼し夜明けの雨上がり

夕暮れの濃き朱の色に鳥の飛ぶ

神輿蔵 梅雨の空見て 息をつく   ※眠るみこしの蔵の戸が開き