正直なところ、私には詩というものが分かりません。ただ、単に好きか嫌いか、心に残るか、それ
だけを基準にしている位でしょうか。それでも、稀には好きな詩のフレーズがふと口をついて出る
こともあります。特に、今日のように暖かな風が吹く日に歩いているときなどには特に・・・。
こんにちは、本日の季語は「桜草」(さくらそう)・・・春の季語です。園芸植物としての桜草は
よく御存知ではないかしら?余り詳しくはない方でも、実物を見れば ああ、この花か。よく見か
けるよね、と納得されるような・・・。
温室咲きではもう年明け頃から鉢植えで出荷もされますし、丈夫でお値段もリーズナブル。
ことさらに目新しくもないし、有難味も無いというか? ”桜”と名前に付いても、春の大スター
である桜の花に比べると、どうしても影が薄くなってしまうかもしれません。
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さて、桜草と一口にいっても、実は非常に幅広い品種の花たちを指しています。季語としても同様
ですが、古くからの日本桜草、また園芸品種として改良されたものも全て含まれていると考えます
↑上の3点の花は楽天市場のものですが、すべて”桜草”なんですよね、広い意味で・・・。
向かって左端の花は、九輪草(くりんそう)として知られているし、真ん中は濃色深山桜草(のう
しょくみやまさくらそう)で、左端がヒマラヤ深山桜草で、これが日本桜草に比較的近いかも?
ちなみに、この下の左手にあるのが日本桜草・・・多分、原種(10数種アリ)に近い感じかなあ?
お値段が園芸物とは比べ物になりません (^^; ↓右の花はプリムラで、これも桜草の一種です


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お馴染みのプリムラから、日本の野生種の桜草まで、これだけの桜草の種類があるわけですね
そのせいかどうかは分かりませんが、季語も非常に多く、桜草以外には「プリムラ」「常盤桜」
(ときわざくら)「乙女桜」「雛桜」「化粧桜」等々、どれも皆、愛らしく可憐な花を彷彿させます。
日本では古くから、原野の湿地に自生する桜草を園芸用に改良して来ました。江戸時代の後期より
伝わる伝統的園芸植物といって良いでしょう。今ではもう自生地も限られてしまいましたが、さいたま
市の桜草公園は有名ですよね。確か、国の特別天然記念物に指定されているはず・・・
【三十六花撰」/東京戸田原さくら草/二代広重作 ↑こちらは部分拡大図】
桜草という名前は、ピンクや薄紅色の色彩も含めて五弁の花びらが桜に似ているからでしょう。
その意味では、コスモスを秋桜と呼ぶのと同じなのかな。ただ、あの桜の花の持つ妖しさは余り感
じられませんね。草花だけに、桜よりも優しく穏やかな印象のある花です。
我国は草もさくらを咲きにけり 小林一茶
朝夕かたはらに笑む桜草はたかたはらに泣くさくら草 与謝野晶子
一茶の句、「草もさくら」をというのがさすがに上手いよね。晶子の歌は、「桜草」「さくら草」と
使い分けているところに作者の思い入れを感じさせます。
─── 私は、桜草のピンクの淡い夢のような可憐な花びらが好き。文字通り、”草”の花なので
桜の花の吸い込まれそうなほど圧倒的で妖しく、厳かな魅力ではないけれど、忘れがたい詩の
一節を口ずさむように・・・言葉がひとひらの花びらのように、美しい詩のように心に響く。
今日の句は、そんな桜草の、花びらが優しくふるえる桜草を詠んでみました。
ふと、くちずさみたくなる詩については・・・改めて”本日の FAvorite 詩歌”として記事にする
予定です。きっとあなたも好きになるかもしれない、多分・・・もしかしたら・・・。
それでは今日はこの辺で・・・またね。

