鳳仙花 といえば 赤一色の花を咲かせる草花という印象があったのですが、
最近は随分華やかで様々な色をした種類があるのですね。
園芸店などでは、園芸品種のインパチェンス(アフリカホウセンカ)の方が
珍しい色や華麗な花びらのものが多いので 人気があるのかもしれません。
こんにちは、本日の季語 は 「 鳳 仙 花 」 で 「 秋 」 の季語になります。
夏から秋にかけて丈夫で育てやすい一年草として殆どの方はよく御存知でしょう。
この花の特徴は、種子が弾け飛ぶ様子でしょう。熟すと、ほんの少し指を触れた
だけで種子が勢いよく飛び出します。
今日の句は、以前参加していた句会に出したもので、種子の飛ぶ様子がヨイと
結構評判は良かったのですが、いま読むと「ただそれだけの句」ですね。
紅い花びらの色素が美しく、水を赤く染めたり、爪にも色を付けて遊べるので
爪 紅 (つめくれない・つまべに) というキュートな名前も付けられた花・・・
しかし、”鳳仙花”で 私が真っ先に思い出すのは 下記に引用した一文です。
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猫じゃらしの穂を扱いた御飯に、白木蓮の花片(はなびら)を細かく叩いて
丸めた挽肉料理、紅い鳳仙花を絞った葡萄酒、なぞを並べ、「三越」
(昔あった雑誌)の色刷り頁を参考にし、与謝野晶子氏に戴いた千代紙
(それは極上の和紙に刷った大判の美しいもの)を真似たりして、色鉛筆で
染めた友禅の着物に、鶸色無地の折紙の帯の、紙人形の令嬢がお客、という
豪華版のままごとを楽しんだ昔から、私は料理を造ることが好きだったようだ。
★━━━━━━━━━━━━【 新潮文庫・一部抜粋 】━━━━━━━━━━★
さて、この文章を書いた作家は・・・御存知の方、ピンと来る方には深い敬意を捧げたいなあ。
私の敬愛する 森 茉 莉 氏の 『 私 の 美 の 世 界 』 中の 『 貧乏サヴァラン──料理と私 』 の
冒頭の文章なのです。
森鴎外の長女として誕生し、後に作家として独自の世界を築いた 稀 有 の 作 家 ・・・
私自身は森鴎外作品を全部読んではいないのですが、鷗外を「好もしい文学者」として
位置付けているのは、森茉莉氏の「 パ ッ パ 」だから ww
今日は、この森茉莉氏を引用したくて 鳳仙花の句をアップしたのかもしれません。
さてさて、本日も気温は35度超えらしい、とため息をつきながら、今日はおしまい。
