※知らない方のために。この世界のヨンベさんジヨンさんスンリくんは三人で仲良く付き合っています。
クソ小説失礼致しますm(__)m
ヨンベさんにとって幸福にあふれる一年でありますように。
“ごめん、ヨンベ。リハーサル抜けられそうにない”
“ヨンベヒョン、ごめん。俺も仕事が……”
三人だけのグループに、ジヨンとスンリからメッセージが入った。
今日はヨンベの誕生日。予定が合えば集まろうと話していたが、今年は三人ともソロ活動で忙しいから仕方あるまい。
“スンリ、お前は行けよ。何とかなるだろ。分裂でもなんでもして”
“無茶言わないでよ。そんなこと出来るわけないでしょ”
“頑張れ。お前なら出来る”
“無理だってば~”
ヨンベが返事をしないでいると、二人がそんな言いあいを始めた。何年経っても二人は相変わらずだ。こういう些細な言いあいを二人が楽しんでいることは知っている。だが、こんな日に自分をネタに喧嘩されると、困ってしまう。仕事だから仕方がないのに、二人が恋しくて我が儘を言ってしまいそうになる。
“ジヨン、スンリ。もういいよ。気持ちだけで嬉しい。ありがとう”
ヨンベは、二人にそう告げて、スマートフォンを助手席に投げた。それから一度だけ溜め息を吐き、自宅に向けて車を走らせる。
自宅に帰ると、部屋は当然真っ暗だった。本当に一人ぼっちなのだなと実感して、少し寂しくなる。
(全く、俺も情けないな。子供じゃあるまいし)
誕生日に会えないくらいでなんだ。今日は無理でも、またすぐに会えるはずだ。
そんな風に、自分を励ましてみる。
だけど、3年前のちょうど今頃、二人と結ばれてから、ヨンベの誕生日は、三人の恋が始まった記念日のような位置付けになっていたから、二人と過ごせないのは、やはり寂しかった。
暗い気持ちをどうにも出来ないまま、ヨンベは部屋の明かりを点けた。
その瞬間、パーンという破裂音が部屋中に響き渡る。
「ヨンベ」
「ヨンベヒョン」
「誕生日おめでとう」
「は?」
明るくなった室内を見て、ヨンベは唖然とした。
クラッカーを鳴らし、ヨンベを出迎えたのは、いるはずのないジヨンとスンリ。しかも、二人は上半身裸で、色違いの派手な下着をはいている。頭には動物の耳がついたカチューシャを乗せ、首には可愛らしいリボンが。こちらも色違いだ。
「お前たち、どういうつもりだ」
「ごめんな。ヨンベ。驚かせようと思って嘘吐いたんだ」
「本当は先に帰って準備してたんだよ。ごめんね」
「いや、そんなことはこの際どうでもいい」
一体どうして二人揃ってそんなふざけた格好をしているのか。まずはそれを聞きたい。
「どうしてって、誕生日プレゼントに決まってるじゃん」
ジヨンはそう言って胸を張った。半裸で威張られてもどう対応してよいものか。その横でスンリはくしゅんとくしゃみをしているし、早速身体が冷えてしまっているじゃないか。
ヨンベの反応が期待と違っていたせいか、ジヨンは不服そうに言った。
「なんだよ。ヨンベは俺たちとイチャイチャしたくないの」
「そういうわけじゃないけど」
せっかく二人がこうして来てくれたのに、最初からそういう流れに持ち込んでしまったら、それだけで体力を使い果たし、あっという間に朝が来てしまうじゃないか。
久しぶりに三人で集まれたのに、それではあまりに味気ない。
「忙しい時間を割いて二人が来てくれたんだ。俺は、一緒に音楽でも聞きながら、三人で話をするとか、そういう風に、ゆっくり過ごしたいよ」
「ヨンベ」
「ヒョン……くしゅん」
ヨンベの気持ちを聞き、ジヨンはヨンベの頬にちゅっとキスしてくれた。スンリも何か言おうとして、またくしゃみをしている。ヨンベはクスッと笑って、自分の上着をスンリにかけてやった。
「ありがとう。ヒョン。くしゅんっ」
「まあ、お前はそう言うと思って
、ちゃんと料理と酒も用意してあるんだけどな」
「だったら、初めからそっちを見せてくれよ。スンリ、風邪を引いたんじゃないのか」
「洒落だろ。洒落。笑ってくれよ」
「はは…」
「くしゅんっ!」
三人の生活は、相変わらず騒がしい。ヨンベはいつも二人の起こす騒動に驚かされてばかりだ。
だけど、それがないと寂しいと感じてしまうのだから、ヨンベはこれからも、この騒がしい二人を手放せそうにない。
「その下着とカチューシャ、わざわざ買ったのか?」
「スンリが日本で買ってきた」
「ヨンベヒョンのもあるからね。くしゅんっ」
「は、はは」
二人のおかげで、今年の記念日も賑やかで楽しいものになりそうだ。