8seconds妄想祭りその2です。
「スンリ」
名前を呼ばれたので、何気なく振り返った。その瞬間、シャッター音がして、フラッシュが光る。
ヒョンがカメラを構えて、俺の写真を撮っていた。
「ちょ、やめてよ。俺、今、全裸なんだけど」
「大丈夫。ちんこはまだ撮ってないよ」
「まだって何っ!?怖いなぁ、もう…」
俺は慌ててタオルで下半身を隠して、とりあえず下着を吐いた。ヒョンなら本当にヤバイものまで撮りかねない。
「ふふ、スンニ。今日も可愛い」
「…………。ヒョン、頼むからうっかりインスタに上げたりしないでね」
「うん。表では気を付ける」
「裏も駄目だよ」
これは、駄目だ。公開されたら不味い写真は撮られないように、自衛するしかない。
ヒョンがこんなだから、俺はヒョン以外の友達と遊ぶ時も、こっそり写真を撮られるのが怖くて仕方なくなってしまった。だから隠し撮りされる前に、逆に堂々と一緒に写真に写る。
「そんなに撮って楽しい?」
「うん」
「毎日撮っても変わらないよ」
「そんなことないっ!」
俺の言葉に、ヒョンは熱を込めて反論した。
「今この瞬間のスンリは、今しかいないんだぞ。少しも逃さないように思い出に残したいじゃん」
「……………………」
いや、ヒョン。怖い。キモイ。ウザいし重い。
そう言えば、この前日本に行った時、何かのアニメでこんな人見た気がするなぁ。
「えーっと。あ、そうだ。たまちゃんのお父さん」
「たまつぁん?何?」
「何でもないよ」
まあ、愛情なんだよね。
めちゃくちゃ重いけど。
「ヒョン、写真はいいから。こっちでまったりしようよ」
「えー」
「紙の中の俺と、喋って動いて触れる俺、どっちがいいの」
「…………っ!」
俺がちょっとむっとしながら、誘うような視線を向けると、ヒョンはすぐにカメラを置いて、俺に飛び付いてきた。
「喋って動いてエッチなこと出来るすんつぁん」
「最後のは言ってない」
まぁ、いっか。撮られるだけで何もしないよりましだ。
にこにこしながら、俺にベタベタしてくるヒョンを抱き寄せて、こめかみにキスをする。
せっかく履いたけど、下着はまたすぐに脱ぐことになりそうだった。