※スンリ東京?の一報を受け、勢いで書きました。
「ん…?」
明け方まで仕事をして、昼過ぎまで寝入っていた俺は、玄関で物音がすることに気が付いて目を覚ました。
「スンリ?」
「あ、ごめん。起こしちゃった?」
玄関に歩いていくと、スンリが出掛ける準備をしていた。
そっか。日本で仕事があるんだっけ。
スンリは何処に出しても恥ずかしくない自慢のマンネだけれど、一人で仕事に行かせるのは、今でも少し心配だ。過保護過ぎる自覚はあるけど、多分一生治らない。本当はついて行きたいくらいだけど、俺にも仕事があるからそうもいかない。
「ちょっと待ってろ」
「…………?」
俺はスンリを玄関で待たせ、クローゼットから最近愛用している自分のブランドの帽子を持って来ると、スンリの頭に乱暴に被せた。
「ふぇっ?」
前が見えなくなるほど深く帽子を被らされたスンリは、変な声を上げて、不思議そうに帽子に触っている。
「持っていけ」
「え?でも、これ、ヒョンの」
「いいから持っていけ」
初めはきょとんとしていたスンリが、やがてふわりと可愛らしく笑う。
「うん。ありがとう。頑張ってくるね」
「ああ…」
はっきり伝えなくても、帽子に込めた俺の気持ちは、スンリにしっかり伝わったらしい。
出掛けていくスンリの背中は、いつもより少し晴れやかで、いつもより少し頼もしく見えた。
「頑張れよ」
スンリが出掛けて行ったあと、俺は、閉まったドアに小さな声で囁いた。
画像拝借致しましたm(__)m